# 4. 探索者としての身支度
ライセンスはひとまず揃った。
だがこれだけではまだ「外」へ行けない。
ネイトにはM.A.C.S.が無いし、キャシーには人間装備や移動するためのバギーがない。
買うにはお金が必要だが、しっかり働いてきたキャシーはともかく、日雇いだったネイトには資金がない。
どうするか・・・。
ネイトは昨晩読んだ資料を思い出していた。
人間装備には無いが、M.A.C.S.にはあるもの。
傾向的にM.A.C.S.は維持費や購入費が高額になる。
M.A.C.S.乗りがM.A.C.S.に乗れないとはお話にならない。
その救済処置として、「レンタル」がある。レンタルM.A.C.S.というわけだ。
レンタルしたM.A.C.S.は強化・改造できないが、一定の使用料金を支払うことによって乗ることが可能だ。
初級のM.A.C.S.乗りの殆どがレンタルM.A.C.S.を使用しているので、恥ずかしいことでもなんでもない。
「俺はM.A.C.S.を借りてくる。キャシーは人間装備をそろえとけ!
準備終わったら、スフィアエントランスに集合だ!」
「うん、わかった!」
二人は一旦別行動となった。
――ネイト
まずはレンタルM.A.C.S.屋に走った。
なんでもいい、とにかくM.A.C.S.を借りて一旗揚げたい。
いくつかのクエストをこなせばお釣りが来るだろう。
いつぶりだろうか、こんなに動こうと思ったのは。
普段は工業区の日雇い労働者で、その日その日の稼ぎをしていたが、今はキャシーを守って地上を探索するという大きな責任と使命がある。
おいそれと投げ出すわけにはいかないので、確実にM.A.C.S.を借りたいところだ。
幸い、HoMEに加入した時点でいくらかのお金はもらえた。
それを元手にM.A.C.S.を借りる。まずはそこからだ。
レンタルM.A.C.S.屋に着いたネイトは、ずんと並んでいるホログラムディスプレイに映し出されたM.A.C.S.を見て品定めを始めた。
だが、借りれそうなのは2台ほどしかなかった。
一台目は、軽量で身動きが取りやすい「ドラゴンフライ(Dragon Fly)」。
弾薬や砲弾は多くは詰め込めないが、操作が軽い。初心者おすすめといったところだ。
二代目は、「アーマードビークル(Armored Vehicle)」。装甲が厚く、多少の攻撃にはびくともしない。
その代わり、足回りが若干重く、操作にクセがある。
数刻悩んだ末、ドラゴンフライを借りることにした。
レンタルサービスで、借りるときには弾薬・砲弾が満タンとなるサービルがある。助かった。
だが、ドラゴンフライには、主砲が装備されていない。副砲で我慢するしか無い。
装甲の厚い敵には有効なM.A.C.S.ではないだろう。
クエストを慎重に選ぶ必要がありそうだ。
ともかく、探索の準備はこれでOKだろう。
――キャシー
人間装備屋に着いたキャシーは、ワクワクしながら陳列されている装備を見つめ回した。
ネイトと同じく、いくばかりかの軍資金がありこれまでためてきたお金と合わせ、それを元手に装備を整えるつもりだ。
遠距離や、硬めの敵はネイトのM.A.C.S.にまかせて、それ以外の敵を一掃しようと考えた。
防具は、ヘルメットに防弾チョッキ、シールドスパッツという序盤装備ながら、武器の方は少し奮発して、ジェットハンマーを購入した。
これは、ハンマーの後部に推進機が取り付けられていて、スイッチを押すと急加速して攻撃力が増すというすぐれものだ。タクティカルナイフやアサルトライフルと言ったいかにもらしい武器も選択肢にはあったが、ジェットハンマーを見た瞬間、それらの考えはすべて吹き飛んだ。
(これで敵をケチらせられる。ふふふ・・・)
キャシーの意外な一面を見れたかもしれない。
移動手段は、人間装備の場合はバギーやバイクといったものが通例である。
これらはドライビングライセンスを必要としないので、キャシーのようなファイタータイプにはお似合いなのだ。
亡き父親の遺品として、バイクがあった。トリリウム反応を利用しない古いタイプのバイクではあるが、丈夫で乗りやすく、よく手入れしていたのでとてもきれいな状態を保っていた。
移動はこれを使おうと、キャシーは決めた。
お金が多少余ったので、カツカツであろうネイトのために、レーションをいくつか購入しておいた。
この辺は女の子らしい。
これで二人共装備が整った。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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