# 36. 再びダーファス・コロニーへ
「彼女の足取りを追う感じで、まずはリンカーンでダーファス・コロニーへ向かう。その後、南西部にあるキャンプ、更にそこから南へ200キロ進んだところにあると言われているアイネリンド・タワーを目指そうと思う。5日程度で着くだろう」
「うん、わかったよー!」
「なるほど、了解だぜ!」
「リンカーンは、エレベーターが地上に付くくらいの時間に到着するように呼んである。
今度は待つこと無いぞ!移動は6時間だがな…」
30分後、地上に出た一行は、既に到着していたリンカーンに乗り込んだのだった。
グォングォンというジェットエンジンの待機音がすごい。
しかし、中ではそんな気にならなかった。防音が効いているのだろう。
リンカーンに乗り込み、席に着く。
程なくして離陸。ダーファス・コロニーへと進路を定めた。
「機体が安定しました。シートベルトを外し、おくつろぎください」
エヴィは我先にとシートベルトを外し、走り去っていった。遠くから、
「キュリィうまいなー!」
とエヴィ。
リンカーンは、長時間移動の退屈さを和らげるいくつかの設備があった。
キュリィ(味のついた炭酸飲料。コーラのこと)の飲み放題もそのうちのひとつだ。
「ボーンズの人たちどうしてるかなー」
そうだ、ビッグフットに着いたら「トラットリア・ボーンズ」に寄ると約束していた。
だが、キャシーの負傷でそれどころではなかった。
今度改めて行こう、ネイトはそう決めたのであった。
30分後。
キャシーはいつの間にか寝ていて、エヴィはここぞとばかりにまだ飲み食いしている。彼の胃袋は底無しなのだろうか。
ネイトはいつもどおりパーソナルハンドヘルドコンピューターの資料を読み漁る。
「今回は、何かのクエストを遂行するわけでもないし、リンカーンの座標登録をするわけでもない。もうほぼといって良いくらい、キャシーの負傷に対する行動でしか無い。それに何も言わず着いてきてくれるエヴィ、本当に助かる…」
更に、
「ドクターマッセイが素直に仲間になってくれるとは限らない。命を守ることと引換えに膨大なヴェルを要求してくるかもしれないし、無茶な難問を投げかけてくるかもしれない。どうなるかは実際に会ってみないとわからない。ええい、今それを考えてもしょうがない」
考えが堂々巡りになってしまう。
いくら考えても答えは出ないのはわかっている。
今少しだけ忘れたい。どうしたらよいか…。
「よし」
と、エヴィのところへ駆け寄る。
「エヴィ、俺も食うぞ!」
「よっし、そうこなくっちゃな!」
二人で料理をガツガツ食べ始めたのであった。
合成食材から作られた料理ではあるものの、そのバリエーションは多く、肉料理の他、野菜料理…いわゆるサラダや麺料理なども提供していた。
「俺は肉だけぜ良いぜ!」
と、ポテコを片手に肉を頬張るエヴィ。
「俺はこの、ラーメン?ってやつを頂こう。初めて見るな」
ネイトは麺料理を器に取り、そして食べた。
「変わった味付けだけど美味いな」
「肉もうまいぜ!」
やがてお腹いっぱいになったのか、二人は眠り始め仮眠を取った。
ダーファス・コロニーまであと2時間の距離である。
入れ替わりに起きてきたキャシーが、
「私もなにか食べよう」
と、食事スペースへと移動した。
女の子らしく、ハムやチーズ、野菜とバランスよく取り揃え食べ始めた。
そして食す。
「とても合成食材から作ったとは思えない味ね…!」
キャシーは満足して食事を終えてまだ行ったことのない展望デッキへと一人で向かった。
時間的に夕方になり始めた頃である。
地平線のスレスレのところにオレンジ色に輝く太陽が見えた。
「わあ、きれい!」
何度か地上には出てきているものの、クエストのほうが忙しく、太陽をじっくりと見ることはなかった。
こうしてゆっくりできるのも今のうちだろう、とキャシーは思った。
やがて太陽は完全に隠れて夜を迎えた。
少し遠くに、小さくはあったが人工的な明かりが見える。あれがダーファス・コロニーなのだろうか。
「ポーン!まもなくダーファス・コロニーに到着します。
お間違え、お忘れ物など無いようにご利用ください。ポーン!」
リンカーンのアナウンスが流れる。
もう少しで到着するらしい。
ネイトとエヴィは起き上がりキャシーも展望室から降りてきた。
前回は、800キロを走破してようやくたどり着いたが、今回は安全にしかもたったの6時間で到着した。ご飯と睡眠のおまけ付きだ。
数分後、リンカーンはコロニーより少し離れたところに着陸して、3人とM.A.C.S.とバイクを下ろしてどこかへ去っていった。
ちなみにリンカーンはいわゆる相乗りや途中乗車・下車が無い。ホーム座標を登録していないところにも降りられる可能性があるからだ。だから基本的には貸し切りになる。なので、時間と搭乗場所を指定することも可能なのだ。
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