# 359. シンドゥール・コロニーでの夕食
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
コロニーに着いてから、約5時間が経過した。辺りはもうすっかり暗くなり、繁華街やメインストリートの自動灯とドックを照らす眩しいライトが輝いていた。
エヴィの全車のメンテナンスは終了して、補給も行い、いつでも出発できる状態になった。
「皆、ダイナーに集まってくれ。食事しながら今後の計画を話す」
20分もかからないくらいで、メンバー全員が繁華街にあるダイナーに集合した。
そして次々と料理を注文していった。
「皆、そのままでいいから聞いてくれ。これからのコースなんだが、まず3日ほどここのコロニーに滞在する。その間、クエストをひとつ完遂する予定だ。明日行こうと思うので、明日朝に駐輪スペースにまで集合してほしい。その後は…」
とネイトの説明が続く。
その途中で注文した料理がサーブされ、一気に大食事大会になった。
ネイトも食欲には敵わないと、自分が頼んだ料理を食べ始めた。
エヴィが聞いてくる。
「ネイト、そう言えばよ!ゴールドランクに昇格するための条件のひとつ、『HoME指定のクエストをいくつか完遂する』っていうのはやらないのか?」
「いずれやろうとは思っているんだが、今じゃないな。クエストを完遂すれば昇格はすぐにでもできるだろうが、その後の準備が追いつかないだろう。怠れば『第二の洗礼』を受けることになる。もっとも、ゴールドクラスは新設された上位のクラスに上がるために躍起になっていそうだがな」
「たしかに違いねぇ!」
ピリピリとした話題だったが、わははとエヴィが笑い、その場が和んだ。
ゴールドランク上がるためには、HoME指定のクエストか膨大なヴェルが必要だが、昇格クエストの完遂も必要で、ゴールドランクから上になると信頼性が大切になってくる。今までエネミーを倒して経験や知見を得てシミュレーターで試験を受けていれば良かったランクと比べてより一層、探索者としての心づもりや覚悟、資質が問われてくる。
「資質…かぁ」
と今度は逆に頼りなくなった。
「ゴールドランク以上のコックは居るのか?」
その問いにドクターが答える。
「シェフだけど、居るわよ。エヴィなら聞いたこと無いかしら?ウィット・ハーベーン、プラチナランクよ」
「ウィット・ハーベーン…聞いたことあるぞ!確か探索隊には良い食事が必要だと訴え続けて、その必要性を証明した人物だよな?まだ生きているのか?」
「ご存命よ。アンチエイジングで見た目や臓器は30代そのものよ」
「ひぇー!そうなのか!しかもプラチナランクだなんてすごいな!」
「ヘカテリオン・リージョンのユグドラシルIIに『ウィッツ(WITT's)』という店を出しているから、正装で行ってみると良いわ」
ドクターは、ウィット・ハーベーンを料理関係で知ったわけではない。彼女もまたアンチエイジングで若返っている。その技法を調べている最中に、同じくアンチエイジングで若返った人物として、たまたま料理界の権威であったウィット・ハーベーンを知ったのだった。
「料理関係といえば…」
ドクターはふむふむと何かを思い出したように話し始める。
「この前のエヴィとアマリアの結婚式で久しぶりにルギーと話したんだけど、ボーンズとスパークルスプリングスのコックを同時出演させてみない?って」
「そんな話が出ていたのか!」
「ええ。その時は、機会があったらと言う感じで終わったんだけど、チャッカムあたりでまた1ヶ月ほど滞在するようなら、その時にタイミングを合わせてスケジュールを調整してみてはどうってこの前連絡が来たわ」
「イエニッツと話せるのか!それは出演したいな!」
「そういうと思って、許諾しておいたわよ。ボーンズ側も了承していて、詳しい日時はあたし達に合わせるそうよ」
「よっしゃ、やったぜ!とびきりの服を用意しておかないとな!」
「ラジオだから見た目は関係ないわ…」
「そ、そうだったぜ…」
ここで長距離を通信する技術を解説する。20世紀初頭にニコラ・テスラという科学者が考案した惑星規模の超巨大な通信網のことを指す。その粒子はニコラ・テスラ自身も生涯に渡っても発見していない、また、現在においても未だに全貌を掴みきれていない光速に近い速度で伝搬する「テスラ粒子」を使って通信を行う。
同様にセンサーやレーダー等を無力化するミストと呼ばれる粒子もあるが仕組みはデータを通すか遮るかの(それでも反射なのか散乱なのかも不明)違いだけであるという。
ただ、宇宙空間にまでその粒子があるわけではないので、使用は地上圏までに限定されるが、非常に光速でデータのやり取りをすることができる。
キャシーがよく使っているバイノクスのオービタルサイトは宇宙空間に浮かんでいる人工衛星を使用するので、この粒子は使えない。だからリアルタイムに近いレイテンシー以内で送受信するには、データは点集合として扱う必要がある。よって、使用者を中心とした中央部は鮮明だが、半径が広がるほどその精度が悪くなるのだ。
反対に、ラジオなどは未だに古典的な方法で電波を送信している。仕組みが簡単なため、安易で量産が効き、故障してもすぐに取り替えられるのが特徴だ。
こうして、チャッカムでの楽しみのひとつが増えた。
「ネイト、明日のクエストは何のためのクエストなの?」
とキャシーが聞いてくる。
「そうだな、以前行った戦力調整の再確認もあるが、最近それ以外の稼ぎを目的としたクエストを受領していないと思ってな。しなくちゃならないわけではないが、移動が多いこともあったし、強いて言えば『たるみ』防止対策だな」
「なるほどねー!」
「難易度はシルバーランク-(マイナス)くらいなので、そう高くない。が、気を緩めずに真剣に遂行してほしい」
「ああ、もちろんだ」
とベルダが頷く。
だが、ネイトには誰にも言っていないもうひとつの目的があった。
そう、「シルバー潰し」である。
「シルバー潰し」とは、ゴールドランクに手がかかっている高レベルのシルバーランク探索者あるいはアシストグループに対して、ゴールドランクになったばかりか、もしくは、あえてランクを上げない探索者が「杭打ち」することを言う。ゴールドランクになった時点での「第2の洗礼」と同じく、ゴールドランクになる直前での「シルバー潰し」が蔓延っているのだ。
今回のクエストは、高確率で…というかほぼそれと遭遇するであろうクエストをわざと受注したのだ。
それはもちろん、今現在ネイト達がゴールドランク達とどれくらいの戦力差があるのかを知りたいためである。
ネイトはメリーゴーランドを蹂躙したゴールドランクの「タンホイヤー」を見ている。少なくともそれに近い戦力がなくては、ゴールドランクは夢のまた夢なのである。
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