# 34. かすかな知らせ
ネイトは、ここ数日何もしなかった。
というより、何もできなかったのだ。
キャシーの負傷が頭から離れなく、睡眠もそれほど取っていないようだった。
応急処置ではなく、本格的な治療をその場で行えるようにしたい。
が、どのようにしたら良いのかわからないのが現状であった。
ともかく動かないことには進展はない。
なにかヒントはないかと、HoMEへ立ち寄った。
相変わらず騒々しいが、その中のファイターと思われる探索者に話を聞いてみた。
「ちょっと聞きたいんだが…」
「おう、どうしたい?」
「怪我や深刻な負傷をした時、どうしてる?」
「そうだなぁ、教えてやっても良いんだが…」
その男は、親指と人差指の先をくっつけ、輪っかのようなジェスチャーをした。
「金次第、というところか。
わかった、2,000ヴェル出す。これでどうだ?」
「兄ちゃん、話が早いね!
俺達のようなファイタータイプが負傷すると…」
要約するとこんな感じだ。
多少の怪我なら、ヒールパッドを傷口に貼るだけで大抵のものは治る。
骨折したり、内出血した場合は、可能な限り早く戦前から離れ、メディカルカプセルを飲んで回復に努めるのだそうだ。このカプセルは、病院にあったリペアサージには及ばないがそれでも応急処置以上の効果は見込めるとのこと。
「あとは逃げるときに煙幕を撒いたり、敵対機械の場合は、サーマルボムやノイズスプレッダーとかを使って追ってこれないようにするぜ。
戦闘前は、フィジカルタブを飲んで強化することもお忘れるなよ!」
「なるほど、これまでそういう準備はしたことがなかった。
良い話をありがとう」
「大したことないさー、頑張りなよ!」
知らないことだらけだった。
M.A.C.S.のことばかりに注力しすぎて、人間装備での戦闘はキャシーに任せきりだったのだ。
キャシーの退院は明日だ。それまでにできる準備をしておこう。
ネイトは初めて人間装備屋に入った。
「へい、いらっしゃい!
何用で?」
「戦闘前に飲むフィジカルタブ、それに治療用とエスケープ時の道具を買いたいのだが」
「あいよー、それぞれ一式お買い上げだ。色々合わせて、12,000ヴェルになるぜ」
買い求める探索者が多いのだろうか、手慣れた手つきで店員は品物を準備する。
結構な出費だが、これで命を繋ぎ止められるのなら安いものだ。
「良い買い物をした。ありがとう」
「まいどあり!」
そしてM.A.C.S.屋に寄る。
いつもはレンタルM.A.C.S.屋や修理などのために補給屋ばかりで、純粋なM.A.C.S.屋に入ったのはこれも初めてである。
「いらっしゃいませ!」
「サーマルボムと、ノイズスプレッダーが欲しい」
「かしこまりました。合わせて30,000ヴェルになります」
さすがM.A.C.S.に搭載する装備なだけあって高額である。これも、背に腹は代えられない。
「まいどありがとうございます。
ハンガーにお送りしますので、ハンガー番号を教えて下さい」
「B-47で頼む」
「かしこまりました!
お送りしておきますね」
買い物を終え、ネイトは思った。
「最初からこうしておけば…。
だが、これで準備は整った」
探索者になったばかりの頃は、お金もなくランクもアイアンでできることは限られていた。
それに、パーソナルハンドヘルドコンピューターに資料はあるとはいえ、実戦の経験や知識も乏しかった。
これからは事前調査と準備を怠らないようにしよう、とネイトは思ったのであった。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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