# 29. スキル
翌朝、スパークルスプリングスのメンバーは、「きらめき泉の水遊び場」に集合した。
「よう!試験はどうだったんだい?」
「ああ、二人共無事に合格したよ。ブロンズ-(マイナス)だ」
「そうか、おめでとう!
じゃあ、スキルが使えるな!」
「スキル?」
昨日の試験合格時にはそんな事は言われなかった。
エヴィが腕を組んで自慢げに話しだす。
「『スキル』ってのは、人間装備と、M.A.C.S.ドライバー両方にあるものなんだけどよ、戦闘を続けると、敵のクセや隙といったものがわかってくる。個体によってそういうのは差があるんだけど、そういった瞬間を狙って特別な攻撃をするのが『スキル』ってやつさ。M.A.C.S.の場合は、チャージアタックっていうんだ」
「チャージアタックなら一度使ったことあるので知っている」
「それなら話が早い。チャージアタックは、通常攻撃と同じく砲弾や弾丸を使用するのは変わらないが、排気熱や運動エネルギーをうまく攻撃に乗せて使うと威力の強い攻撃ができるんだ。『スキル』は特に名称がついていなくて、皆好き勝手に名を付けて使ってるよ!」
エヴィは更に続ける。
「俺が借りたレンタルM.A.C.S.がドラゴンフライで少しがっかりしただろう?
でも、チャージアタックをうまく使うことによってランクの低いM.A.C.S.でも結構行けるんだぜ!」
なるほど、そういうわけだったのか、とネイトは納得した。
ただいたずらに強いM.A.C.S.を使えばよいというわけではない。特性や相性をうまく考えて乗りこなすのが一流のM.A.C.S.ドライバーというわけだ。エヴィの言うことは色々と勉強になる。
「カッコイイ名前の『スキル』を使いまくろうぜ!」
とガッツポーズをしながらエヴィが喋る。
「名前か…」
以前、ネイトとキャシーはアシストグループの名前を考え出すのに3時間も掛かったことを思い出した。
「今日は、ランクも上がったことだし、ブロンズランクのクエストに挑戦しようと思う。並行して『スキル』の名前も考えていこう」
一行は、クエストを受注するため、カポカーに乗ってHoMEへ向かった。
しかし、カポカーは便利だ。ダーファス・コロニーでは徒歩での移動がほとんどだったので、混んでいたこともあって意外と疲れたからだ。
AI技術が発展して、様々なところに導入されている。もちろん、カポカーにもAIは導入されていて、他のカポカーや人間などの移動体に衝突しないようになっている。また、カポカー同士が通信し合うことにより、全体的に効率の良いコースを算出することができる。
HoMEにあるクエストを受注するための対話式パネルに着いた。
ライセンスカードをかざして、それがスキャナーカメラに検出された。
「カクニンシマシタ。ブロンズランクノ クエストヲ ヒョウジ シマス」
ずらりと表示されるクエストリストを見て、
「なるほど…」
とネイト。
アイアンランクは収集や人探しが多かったが、ブロンズランクになると討伐が多くなってくる。
クエストはHoME毎に独立していて共有はされない。数千キロ離れたクエストを受注することができないからだ。いくらリンカーンが優秀とはいえ、移動に時間がかかりすぎる。
そのため、基本的にはクエストを発行するHoMEの所在地に近いものがリストアップされている。
どれにしようか迷っていたところにエヴィが、
「ネイト、これにしてくれないか?」
と、あるクエストを指さした。
「討伐クエスト、エ・ギン異形種2体の討伐。報酬は4,000ヴェル、その他報酬は…、M.A.C.S.パーツ!?」
「そうなんだ、この報酬のパーツがあれば、俺のM.A.C.S.が完成するんだよ。今はドッグにばらばらになっているけど、そのパーツが貰えたら、あとは組み立てるだけなんだ!」
「なるほどな。よし、ではこのクエストを受けよう」
「サンキュー!助かるぜ!」
「ピピッ…ジュリョウシマシタ。
エクスプローラーズ・オブリュージュ!」
クエストはパーソナルハンドヘルドコンピューターに転送され、いつでも見ることができる。
また、ターゲットに近づくと改めてアナウンスが入る仕組みだ。
今回のクエストの有効期間は3日だ。場所はビッグフット東部80キロにある砂漠地帯とのことだ。
「よし、俺はドラゴンフライを借りてくるぜ!」
「わかった、皆準備して、スフィアエントランスに集合だ!」
「了解だよー!」
それぞれが準備を行うため、バラバラになった。
ネイトは、準備は既に終わっているということもあり、一足先にスフィアエントランスに着いた。
ちょうどそこに、「ボーンズ」が通りかかる。
「昨日はどうも。これからクエストかい?」
「そうだ。討伐クエストを受けたので、これから出発するところだ」
と、ロンロがパーソナルハンドヘルドコンピューターを見る。
「ネイト、もしかしてブロンズランクになったのかい?」
「ああ、そうだ。これまでの功績が評価されたらしいんだ」
「おめでとう!すっかり追い越されてしまったな…。
俺達は地道に頑張るよ」
「運が良かっただけだよ」
「運か…」
と話していたところに、キャシーとエヴィが合流する。
ボーンズは、じゃあ、と言いながら去っていた。
エレベーターが降りてくるのを待っていた。
「俺の愛車!だけど、それも今日で終わりかな!」
ドラゴンフライに顔を擦り付けるエヴィ。
よほど愛着があるのだろう。
エレベーターが動き出しても、ずっと顔を擦り付けていた。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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