# 210. ドクターの医療行為
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
ドクターは怪我や病気になった人を治すのが仕事だ。
また、そうならないように予防を施すのも、仕事のひとつと言って良い。
スパークルスプリングスに入って、ネイトとキャシーは一度は命を落としたが、奇跡的に回復して今に至る。大なり小なりはあるが、そう言った医療行為を日誌として書き残していた。似たような症例のとなど、治療のヒントになるかもしれないからだ。
価値にして数百万ヴェルにはなるだろうその日誌を、ドクターは最初の方から読み返していた。
「そんなこともあったわね」
と日誌を呼んでドクターは独り言を言う。
彼女の医療行為はと判断は的確で、その正確さは全アシストグループにいるドクターの中でも上位の方であろう。もしかしたら片手で数えられるくらいの序列に入っているかもしれない。
ヤマトの医療施設は充実している方で、切り傷擦り傷から、不治の病まで様々な怪我・病気に対応している。そういった状況下で育ったドクターは、自然と医療の道を歩き始めていったのだった。
彼女の最大の武器は、その膨大な知識量にある。
ちょっとの症例から瞬時に原因を特定し治療するのだ。
かつてのアマリアのように、精神面における治療もドクターの手によって行われた経緯がある。
また、ベルダの松果体に埋め込まれていた何らかの制御装置を発見し取り出しに成功したのもドクターである。
ドクターがいなかったら、スパークルスプリングスは恐らく5回以上全滅していたに違いない。
それくらい、ドクターの比重は大きいのだ。
そう考えていると、アマリアがやってきた。
「ドクター、定期検診を…」
「あら、もうそんな時期だったかしら」
「うん、一ヶ月経ったよ」
「わかったわ、そこのベッドに横になって」
アマリアはベッドに横になると、ドクターは生体スキャナーでアマリアの身体をスキャンする。
スキャン結果はすぐに3Dホログラムへと反映される。
「そうね、血流に異常なし、脳波問題なし、循環器系、消化器系にも以上わ無いわ。
健康そのものね」
「赤ちゃんは…?」
「順調に育っているわよあと5が月後には出産ね」
「うー、緊張するー」
「子供を生むということは、女性にしかわからない喜びのひとつよ。
あたしがサポートするから大丈夫。安心して」
「うん、ドクターの腕は疑っていないよ」
「それは良かったわ。
それから、今後つわりが酷くなってくるわ。昔は我慢するしか無かったんだけど、今は薬が出ているからそれを処方しておくわね」
「ドクター、ありがとう!」
「いいのよ。はい、これ。結構強いから服用は一日一錠までよ」
アマリアは、ドクターから錠剤の入ったタブレットケースをもらった。
そしてその後、カポカーに乗り、医療施設へと向かった。
「ヤマトの医療施設は久しぶりね…」
区画の半分を占めるその医療施設は、そこに通う患者で人の往来が激しかった。
どうやら、「百日風邪」に掛かる患者が多いようで、それで多くなっているとのことだ。
ドクターは医療施設の中に入り、係の者に告げた。
「私はドクターをやっている。なにか手伝えるkとはない?」
とライセンスカードを提示した。
「…!シルバーランクのドクターをされているんですね!アイアンやブロンズランクからの申し出はあるのですが、お願いしても医療事故を起こしてしまって…。でもシルバーランクなら安心です。こちらへどうぞ」
ドクターは、医療施設の奥にある、何度もゲートをくぐった先の病棟に案内された。
「ここで重い病気を患っている患者さんを扱っていまして、高度な医療知識を持つ医者が少なくて困っているんです」
案内された病室の患者は、その肌にぽつぽつと黒い斑点ができているのを見つけた。
「黒斑病(黒斑病)ね。カルテを見せてもらえるかしら」
「はい、こちらのコンソールから確認できます」
ドクターはコンソールディスプレイに表示されている症状を確認した。
「なるほどね。命に別状はないけど、人によってはびっくりするわね。
この患者の場合、心拍が大きくて毛細血管が破裂してそれで黒くなっているようね。
黒斑はそのうち治ると思うけど、再発が心配だわ。定期的に心肺低下薬を投薬することをおすすめするわ」
「さすがドクター!良い目をしています。確かに他のドクターも同意見でした。
試したようで申し訳ありません。本当に見てほしい患者は更に奥にいます」
試されていたのか、とドクターは軽くため息を付いた。
その後通された部屋の患者は、表向きどこにも以上がないように見えた。
コンソールディスプレイでカルテを見る。
「なるほど…。記憶の断片化に神経的ブラックアウト、幻覚や幻聴に筋肉の誤作動…。脳に関する疾患ね」
「原因わかりますか?」
「まだ憶測の域を出ないけれと、『ニューロフラクチャー』かもしれないわね。脳神経ネットワークの微細構造が断裂して、意識や運動、記憶や感情といった機能が断続的に切断・誤作動する病気ね」
その患者は、時折脈打ったように体がびくんとうねり、急に割り出したかと思えば次の瞬間泣き出したりと症状はかなり進行しているようだった。
「これは放って置くと体力が消耗して、精神にもトラウマができてしまうわ。
これは以前、あたしのアシストグループのメンバーが精神異常になって、そのときに使おうと思っていたものだんだけど…」
ドクターはコンソールディスプレイとパーソナルハンドヘルドコンピューターをリンクして、ナノマシンを映し出した。
「このナノマシンを使って、血管から注入しシナプスや軸索の微細断裂を修復するわ。ナノマシンは症状が良くなれば勝手に排出されるのよ」
「なるほど…。早速処置の方をお願いできますか?」
「ええ、わかったわ。このデータ通りにナノマシンビルダーを動かしてちょうだい。200体程度でいいわ。できたら腕の血管から動脈注射して。それで症状が良くなると良いんだけど…」
「ありがとうございます!さっそくやってみます!」
「ええ、お願い。あたしはここで診ているわ」
ナースは受け取ったデータを元に、ナノマシンビルダーを起動してナノマシンを複製した。
数十分後、ナースはナノマシンが入ったアンプルを持ってきた。
「できました!」
「ありがとう、早速注射するわね」
ドクターは患者の腕にある動脈に駐車してナノマシンを注入した。
「ナノマシンが脳に届いたら、結果はすぐに出るはずよ」
ごくり、とナースは息を呑む。
数分後、患者に繋がっているバイタルメーターからサインが送られてきた。
「ナノマシンが脳に到着したようね」
更に数分後、驚くべきことが起こった。
患者が目を覚まし、声を発したのである。
「おお…、俺は…一体…」
「デルアイアさん!意識が戻ったんですね!すぐに良くなりますよ!もう少しの我慢です!」
デルアイアと呼ばれたその男性は、みるみると回復していき、小一時間後には筋肉の収縮も収まり、普通に会話できるまでに回復した。
「あたしの出番はここまでね」
「ドクター、ありがとうございます。あの…お名前を聞いても?」
「マッセイ・ヴァイオレットよ」
「ヴァイオレットさん、ありがとうございました。これでひとり救えることができました!」
「いいのよ」
そしてドクターは帰路についたのであった。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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