# 21. ダーファス・コロニー
「ダーファス・コロニーまであと4キロだ。もう少しで着くぞ!」
「ようやくだね!」
残り20キロあたりから岩石地帯が増えてきたが、4キロを切ったあたりで視界が開けてきた。
目の前に待ち焦がれた久しぶりの巨大な人工物が見えてきた。
十数分後、1週間弱ほど掛かったが遂にダーファス・コロニーに到着した。
「着いたぞ!」
「長かったね!こんなに移動したのは初めてだよ!」
「着いてそうそうで悪いが、まずはHoMEに行こう。そしてここのホームポジションを登録してリンカーンで来れるようにするんだ」
「それが目的だったもんね!」
コロニーに入ろうとしたところで、二人は止められた。
「止まれ!ダーファス・コロニーへの訪問理由と証を見せよ!」
ゲートキーパーによる検問であった。
「俺達は、ビッグフットから来た探索者だ。HoMEでの登録もしていてライセンスも取得している。ランクはアイアンクラスだ」
「ほう、メタルセルから。しかもアイアンランクとは」
そう、アイアンランクが何百キロも移動することはあまり聞かない。
せめて、活動報告の義務がなくなるブロンズランク以上だ。
しかも自前のM.A.C.S.ということもあり、不安視する、つまり偽造のライセンスで、違法のM.A.C.S.なのではないかと疑いをかけられていたのだ。
「これがライセンスカードだ」
と、ネイトがカードを見せた。
「ふむ…、どうやら本物のようだな。M.A.C.S.はどうやって手に入れた?」
「アイアンランク+(プラス)の緊急クエストがあり、その報酬がM.A.C.S.だった」
「なるほど。わかった、良いだろう。M.A.C.S.とバイクは入って右手にある広場に停めろ。通れ」
「ご苦労さま」
そうだ、ここはメタルセルではない。コロニーなのだ。HoMEにも若干の抵抗があるだろう。
そもそも、もともとはひとつのWUCだったのがそれぞれの思想からWUCがみっつに別れ、メタルセルとコロニーでは思想の違いでたまに衝突するらしい。ただ、大げさにならないのは、2144年に締結されたオルテン条約(お互いの思想を尊重し、争わない、協力し合う)があるためだ。それでも水面下ではピリピリしていることがよくあるらしい。
「緊迫感あったねー!」
「ここはコロニーだからな。完全アウェイだよ」
ダーファス・コロニーは、民間で最大規模を誇るコロニーで、その収容人数は約2,000名である。大きさは、10ヘクタール(おおよそ100,000平方メートル)にも及び、居住区の他に公共の施設やプラント、ファクトリーが併設されている。
二人はHoMEへ急いだ。
コロニーには、カポカーが無い。よって、徒歩で移動することが当たり前となる。
ヴェルを支払う文字通りのタクシーもある。もっとも、人々の往来が激しくすぐに渋滞に巻き込まれるため、あまり実用的ではない。コロニーの道路は基本的に人混みで混んでいるものだ。
久しぶりのHoMEの建物だ。実に1週間ぶりである。
HoMEの中は普段通り騒がしく、探索者で賑わっていた。
まずは換金だ。
ビッグフットを出発してからの戦闘は何度かあり、シュートダウントラッキングシステムでもそれは確認できる。
「いらっしゃいませ!換金ですね。
ライセンスカードをお願いします」
「ああ、頼む」
係は手慣れた手つきでキーパッドコンソールを操作して、戦果を教えてくれた。
「合計で、32,000ヴェルになります」
「ありがとう」
「いいえ、どういたしまして!
エクスプローラーズ・オブリュージュ!」
久しぶりに聞いたセリフだ。
HoMEの用事はこれで終わった。次は、ホームポジションの登録だ。
と、登録はダーファス・コロニーのゲートをくぐった時点で自動的に登録されているのであった。
パーソナルハンドヘルドコンピューターを見てみるとリンカーンでの移動可能箇所がビッグフットとダーファス・コロニーの2箇所になっているのが確認できた。
「これでリンカーンが使えるな!」
「もう一週間も掛からないんだね!」
「そうだな、ビークルの移動に比べて遥かに早い時間で安全にビッグフットへ戻れるぞ」
ネイト達は、ようやく航路をひとつ開拓したのである。
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