# 203. オロッパス・コロニー
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
海洋フェリーが出向して、20数時間が経過した。
時間的にはそろそろ到着するのだが、霧が深くて先が見えない。
この霧を利用して捕食しようとするエネミーも存在するという話だ。ネイトは念の為皆を客室内に集めた。
「それにしても幻想的ねー!」
「不思議な光景だけどよ!この中にエネミーがいるかも知れないと考えるとちょっとな…」
窓ガラス一枚隔てた外側は濃い霧の世界だ。
その中をブルーウェーブはゆっくりと進んでいく。
更に数時間後、汽笛とともにアナウンスが流れる。
「間もなく、オロッパス・コロニーへ到着致します。お忘れ物、お間違えの無いように下船してください。本日は海洋フェリー『ブルーウェーブ』をご利用いただき、誠にありがとうございました」
「ようやく到着だぜ!今回はあんまり酔わなかったんだぜ!」
船体が大きいと揺れが少なくなるのか、揺れを吸収する仕組みがあるのだろう。
ビークルを降ろし、コロニーの駐車スペースに停める。
久しぶりのオロッパス・コロニーだ。
「ここでベルダと出会ったんだよー!」
とキャシーがアマリアに言う。
「あのときはここにいたくなかったからな。
良さそうなアシストグループを探していた。それがネイト達だったんだ」
ドミニオン・シンジケートの元工作員ということは伏せておいた。
もう奴らとは縁を切っているし、わざわざ言うことでもないからだ。
「今日はここで一泊して、明日ヤマトへ向かう予定だ。各自宿を取って、ダイナーまで来てほしい」
気づけばもう日は傾いていて、あたりは暗くなっていた。
オロッパス・コロニーはヒートレンガの産出地として有名で、至るところにヒートレンガが置かれており、それが熱源となってコロニー中を温めているのだった。
皆はそれぞれ適当な宿を取り、一休みした後ダイナーへと向かった。
そして料理を注文して、晩御飯を食べるのだった。
「さっきも言ったが、明日からヤマトを目指す。4日ほどで着くだろう。その後はヤマトに1ヶ月間ほど滞在する。ドクターの家に御世話になるつもりだ。1ヶ月後、南進してサハル・リージョンを目指す」
「ドクター、またよろしくね!」
「ええ、もちろんよ」
「よっしゃ、レーションの研究進めるぜ!」
皆それぞれ夕食を楽しみ、そして自然と自由行動となった。
その後ベルダは、ドミニオン・シンジケートの残党が居るのではないかと心配して、宿から出ることはなかった。そこで最近ハマっている「禅」というものをやっている。室内などの座る場所さえあれば集中力を高められるからだ。
胡座をかいて心を波うたたせず水面に下ろすかのように深層意識下に沈める。これが難しく、最初は足が痺れてそれどころではなかったし、雑念が入って心を落ち着かせることもできなかった。それが今では5分程度あれば禅の体制に入れる。これを1時間1セットとして、2~3セット行うのが日課であった。
これをやると集中力が研ぎ澄まされ、僅かな動きも見逃すことはなかった。また、視界外…つまり背後の動きもわかるようになってきた。その半径は次第に大きくなり、今では1.5メートルほどになった。
ベルダはこれを「球体触覚」と呼んでいる。今は気配を探るのが精一杯だが、達人の領域になると落ちてくる木の葉の数もわかるのだろう。
リコは来たるべくハウス建設のための資材の試算を繰り返し行っていた。
考える度にこれは必要だ、あれは不要だと結果が違ってくるからだ。ハウスに関してはネイトから一任されている。今後もメンバーが増えることだろう、そのために部屋は多めに作っておきたい。ゲストルームも必要だ。メンバーが出ている間のハウスの管理はメイドロボタイプのエチャリーに任せたいし、逆にメンバーが居るときはエヴィの手を煩わせることなく補給や修理を行いたい。
最初は小さく、そして要求に応じて大きくと考えていたが、ネイトから「どうせ大きくなるんだから、最初から大きいのにしよう」という提案でハウス案が巨大化した。
メンバーから希望を聞いて、エヴィからは調理室、ドクターからは診察室及び研究室、アマリアからは生まれてくる赤ちゃんのために将来的にはしっかりした部屋になるベビールーム、ベルダからはジム、キャシーからは展望室(望遠鏡付き)、ネイトからは特にこれと言ったものはないが、強いて言えばコンピューターのソフトウェアを開発できる部屋というものになった。
ビークルのガレージや修理改造を行うドッグなども考えると、地上3階、地下2階といった非常に大きなハウスになるかもしれないとリコは試算した。
「エレベーターが必要かもしれない」
リコはぼそっと漏らした。
そしてオロッパス・コロニーの夜は更けていった。
次の日の朝、スパークルスプリングスのメンバーはエントランスゲートに集まった。
「これから4日間、南進してヤマトへ行く。何人かは一度は通ったことのある道だが、何が起こるかわからない。気を引き締めていこう」
ネイトの「何が起こるかわからない」は、ドミニオン・シンジケートの工作員との戦闘も当然視野に入っている。ネイトは以前、キャシーの死によってユニークスキル「ギド」を発動させドミニオン・シンジケートの支部を単身で壊滅させたことがある。
「奴らだけは絶対に許さない」
とネイトは言っていた。
「よし、出発だ」
ネイトの掛け声と同時に、ビークルは進みだした。
イースタン・リージョンの北部は山岳地帯になっていて、細い道をうねうねと進んでいくしか無い。
そのうち日は昇り、昼食の時間になった。
ネイト達は手頃な広場を見つけて、M.A.C.S.を警戒モードにして昼食を摂る。
「ピピピピピッ」
と警報が鳴る。警戒モードだったM.A.C.S.はすぐに反応して副砲を発射。
瞬時にエネミーを駆逐したのだった。
「ピピッ、ベルノイドを3体、討伐しました」
「M.A.C.S.を警戒モードにしておいてよかったぜ!」
キャシーとベルダも戦闘態勢になっていたが、食事をしていて初動が遅すぎた。討伐後に構える感じとなった。
「気が抜けないねー」
とキャシー。
「ああ、全くだ」
とベルダ。
そして全員昼食を摂り終わり、ビークルに乗って南進を始めるのであった。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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