# 191. ユニークスキル
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
移動しては食べ、日が落ちたらテントを張り、たまにキャンプで宿泊をして、遂にクライオス・リージョンとの境界付近まで来ることができた。実に10日ぶりである。
外はもうすっかり寒く、雪がちらつくことも珍しくはなかった。
「クライオス・リージョンに入った。ペルマフロストを目指す。ここからは最短距離で行く」
凸凹や陥没を迂回する以外は道なりにペルマフロストを目的地として進む。
突然、
「ピピピピピッ…」
警報が鳴る。レーダーを確認して状況を判断する。
「何かに囲まれている…!」
「30体ほどに囲まれているわ」
「12秒後にインターセクトする。注意するんだ!」
キャシーとベルダはバイクから降りて戦闘態勢を取る。
更にキャシーのバイクがコンバットモードに変形する。
「レイダーだ。ベルダ、行けるか」
「問題ない」
ベルダがレイダーの群衆へ殴り込む。フェイズシフトと胡蝶の舞で次々と倒していく。
キャシーも遅れまいとジェットハンマーを握りしめ飛びかかる。
数秒後、レーダーに映る光点に異変が起こる。
敵と認識されている光点が逃げるような動きを見せているのだ。
目視で確認するためにネイトはM.A.C.S.から降りてあたりを確認する。
衝撃的な光景を目の当たりにする。
キャシーが血を吹いて倒れていた。
ベルダはそれを認識し、ドクターに声を掛け、安全を確保する。
コンバットモードに変形したバイクは敵が逃げ出したためかバイクモードに戻っていた。
「ドクター、急いで!」
「今診るわ」
「エヴィ、リコ、周囲を警戒だ。ドクター、どうだ?」
「これは…手術が必要ね。あと、これ、ネイト宛てのようよ」
一枚の紙が手渡される。レイダーが置いていったものらしい。
『これ以上ドミニオン・シンジケートに手を出すな。この程度じゃ済まないぞ』
「見せしめか…。ドクター、キャシーはどうだ?」
バギーの簡易テントを展開し、無菌室となった内部にキャシーが運ばれた。
アマリアも助手として中に入っている。
「まずいわね。バイタル急速に低下。ショック症状を引き起こしているわ。輸血以上の出血をしている…。手のひらサイズのクラスター爆弾をモロに食らったようね。装甲が貫通して…傷口が多すぎるわ…」
クラスター爆弾の破片が体中に刺さり、それが出血の原因となっていた。
ピーーーと無情な音が聞こえる。
「助けられなかったわ。死亡ね…」
「そうか…」
ネイトの心臓はクリムゾン・ネクサス・コアになっていて、その所為もあってか他の人に比べて感情が抑制されている。それが逆にネイトの思考を冷静に…させたのかどうか不明な行動をした。
「今から指揮権をドクターに譲渡する。指示に従ってペルマフロストへ向かってくれ」
「ネイトは…?」
「駆逐してやる…」
ネイトはキャシーのバイクに跨り、ひとり出発した。
スピードを出し、逃げたレイダーの方向と、マップとバイノクスを同期させてドミニオン・シンジケートの拠点を算出した。
「駆逐してやる…駆逐してやる…駆逐してやる…」
ネイトは静かに怒りに燃えていた。
いつも隣りにいたキャシー、だが、今はいない。失って初めて分かるキャシーの存在感。
好きだとかそういうものではなく、男女を超越した大親友のような存在。
それを奪ったドミニオン・シンジケートをネイトは許すはずがなかった。たとえ刺し違えても奴らを潰す、そう決心した。最悪を想定して指揮をドクターに任せた。ドクターなら大丈夫だろう。
やがて前方にコロニーが見えてくる。ドミニオン・シンジケートの拠点だ。
工作員が入口に集まって、銃火器をいつでも発射できる体制になっていた。
ネイトは冷静にその数十メートル手前でバイクから降りて、一歩また一歩と距離を詰めていった。
「撃て!」
工作員の号令で重火器が次々と発射される…が、ネイトに当たらない。
「当たらない」というよりは、フォースフィールドが発生していて、数十センチ手前で弾が消し去る感じだった。
「…ギド」
ネイトがそう言うと、眼の前に居る工作員が小刻みに震えて内部から破裂して即死した。
「撃て!撃てぇー!」
どんな攻撃も今のネイトには効かない。
ネイトの周囲の空気が超振動して弾は砕け散り、火炎放射は空気の遮断で届かない。エネルギー兵器はその軌道が反れる。何者も、このフォースフィールドが生成するグラビティーバイオレーション(重力振動)を破ることはできないのだ。
しかも、ネイトに近づくものはその超振動によって無機物有機物関係なく粉々になっていく。
キャシーを失った深い悲しみでネイトはユニークスキル「ギド」を取得した。これは心臓がクリムゾン・ネクサス・コアになったことによって初めて発動できるものだ。
やがてネイトは拠点中心部に到達した。
そして大きく深呼吸して再度ユニークスキルの発動である。
「ギド」
直径200メートルはあろうその拠点は、ネイトのグラビティーバイオレーションによって粉々に砕け散り、建物は砂と化し生き物は肉片に変わっていった。
そして数分後、更地となった拠点に唯一人、ネイトは立っていた。
「キャシー、これが俺の弔いだ…」
バイクに戻り、乗るのではなく追尾モードで追いかけるように設定。
ユニークスキルの効果がまだ残っているのだろう、ネイトの周囲にはまだ何らかのフォースフィールドが発生していた。
ネイトはその足でペルマフロストへ向かうのであった。
「キャシー…、助けられなかった…。
俺はこれからどうしたら…」
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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頑張って書きますのでよろしくお願いしますm(_ _)m




