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# 16. 冒険のはじまり

翌日、ネイトとキャシーはスフィアエントランスで合流した。


キャシーの防具が一変しているのが見て取れる。

ソルジャーメット、セラミックボディーアーマー、タクティカルパンツ。

寒暖対策に、サーマルマントを装備している。これは、サーマルセンサーにも感知しにくい特性を持っている。

結構なヴェルを消費したと思う。


「どう?良くなったでしょ?」


「そうだな!」


「今後はどうするのー?」


そう、これからどうするか。旅の準備は十分整っている。

M.A.C.S.も、人間装備もこれからの冒険に耐えられるだろう。


「昨日考えたんだが…」


「うんうん、何?」


「他のメタルセルに向かう前に、コロニーに行こうと思う」


「コロニー?」


「そうだ、メタルセル間の距離は遠い。でも、コロニーならいくつも点在しているから行きやすいと思うんだ」


「なるほど、それもそうね!

 それで、どこのコロニーを目指すの?」


「民間のダーファス・コロニーに行こうと思う。直線距離にして、ビッグフットから約800キロのところだ。

 峠を超えたり、迂回したりするから、日数的には1週間弱ほどかかる計算になる。

 HoMEもあるし、リンカーンの停留所にもなっているから、座標も登録していこう」


「うん、わかったよー!

 早速行こう!」


二人は、搬入出用エレベーターに乗り込み、「外」へ出るまでの30分間の間で色々と考えた。


コロニーとは、メタルセルに住居を移せなかった人々が、地上世界で、できるだけ安全圏に住居を構えたものである。

外界からの脅威を減らすために様々な仕組みが施されている。

WUC-G(World Unification Conference-Ground)がコロニーの支援をしているという話だ。


ネイトは、ビッグフットからできるだけ近く、また比較的安全に到達可能なコロニーを選んだ。

途中、キャンプと呼ばれる更に小規模な居住区を経由する。

食料や燃料、弾丸の補充はそこでしていく感じになる。


また、「テント街」というものもあるが、探索者がダンジョンの入口付近に集まってテントを立て、一時的に街として機能するものを指す。

人気のあるダンジョンの入口付近には、それは盛大なテント街が展開されているという話だ。


数日分のレーションを買い、嗜好品ではあるが、キュリィ(味のついた炭酸飲料。コーラのこと)も買った。

また、レーションだけでは飽きてしまうため、干し肉やお湯を入れてかき混ぜるだけの簡単な携帯食も買ってきた。格納庫をちょっと圧迫するが、食の多様さには変えられない。


大きなM.A.C.S.だと、内部にフードディスペンサーを持てたりする。

フードカートリッジを差し込むと、3Dプリンターの要領で料理ができあがるというわけだ。

本物の料理には叶わないものの、合成食の味は秀逸で、本末転倒ではあるものの弾薬庫を減らしてまでフードディスペンサーを置くM.A.C.S.乗りも珍しくないという。いわゆる、キッチンカーと呼ばれているやつで、テント街でよく見る光景なのだそうだ。


ネイトは、なるほどなと思いながら、旅の日程を考えていた。


旅の過程として、最終的にはコロニーを目指すが、補給のためにまずはキャンプへ到達することを目標としたい。

キャンプとキャンプを結ぶ最短距離を算出して、できるだけ早く着くのが良いだろう。

ランドクロウラーは、ドラゴンフライやライノベーターより移動速度が遅い。時速30キロくらいしか出せないのだ。

そうなると一日に移動できる距離も決まってくる。道路もあるとは限らない。むしろ悪路のほうが多いだろう。ベルノイドなどの敵性生体との遭遇もある。キャシーの体力の消耗も心配だ。


夜間は移動せずに、テントを張って過ごすから、1日あたりせいぜい80~120キロ程度の移動になる。


などと作戦を練っていると、あっという間に「外」に着いた。


「いよいよだね…」


「よし、行くか…」


二人は進み始めた。

ランドクロウラーの無限起動の音が心地良い。


目指すは800キロ先のダーファス・コロニーである。

どんな危険が待ち構えているかわからない。


ネイトはフットペダルを踏む足に、レバーを操縦する手に、力を込めていた。

ランドクロウラーに続く感じでキャシーのバイクが後を続く。


この世界にマップはあるものの、大陸は大雑把に書かれていて、細かい部分も正確ではない。

多くは探索者の地域データを元にしているが、日々変化する…例えば隆起や陥没、クレパスなどはデータとして記録することができない。


キャシーのバイノクスは優秀で、様々なセンサーを搭載し、その情報をゴーグルに投影する。

特にパストレーサーは、これまでの道順を記憶するため、迷子になったときにその逆を進めばよいので非常に重宝する。ただし、前述の通り、自然の地形が毎日のように変化するため、必ずしも同じルートで帰れるとは限らない。


800キロとなると、その当たりの不確定要素が多すぎて、移動には危険を伴う。

センサーをフル活用してリアルタイムでマップを更新していくしか無い。


また、危険地帯にはビーコンが置かれる。

ビーコンとは、小さな信号発信装置のことなのだが、探索者が「ここは危険だ」と判断した際にビーコンを置いていくのだ。

あとからやってきた探索者はその信号をキャッチして迂回などをしていくのである。


そのような感じで、危険と隣り合わせだが、ネイトとキャシーはダーファス・コロニーへと向かうのであった。


読んでいただき、ありがとうございます!


拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。

もしよろしければ、ブックマーク・★★★★★・リアクション・評価などをいただけますと嬉しいです。


みなさまからの応援が、私の何よりのモチベーション維持となります。

頑張って書きますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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