# 156. オースタスの休日、ドクター編
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
ドクターは医療についての調査を行っていた。
最後の大手術は、ネイトの心臓を人工心臓クリムゾン・ネクサス・コアに取り替えた施術である。
施術後、状態が安定するまで48時間の絶対安静時間を必要とし、それはドクター主導のもとでセルフクエストとして取り扱った。
あのような事態は、可能な限り無い方が良い。しかし、常に最悪なケースを想定するのが医療の現場である。
「装備もそうだけど、個人個人の戦闘能力の強化も必要だわ…」
そこで、ドクターは全員を集めて生身による模擬戦闘訓練を行うことにした。
模擬戦闘施設はHoMEにあり、ヴェルを払って空間を貸し切ることで自由に使うことができるのだ。
「全員、明日の朝10時にHoMEの模擬戦闘室に集まってちょうだい」
次の日の朝、皆模擬戦闘室に集まった。
「何をするんだ?」
「オースタスに滞在中の間、毎日2時間の模擬戦闘を行ってもらうわ。武器やスキルの使用は無し。生身の力のみで戦ってもらうわ。そうやって、皆の基礎戦闘能力を磨いていくのよ」
「なるほど…。でも、M.A.C.S.ドライバーもなんで生身なんだ?」
「怪我をするときは、大概搭乗していないときでしょう?
気を抜いて外に出て射抜かれる状態になっちゃ元も子もないわ」
「そうだな…」
「まずはネイトとリコね。立ち位置に立ってちょうだい」
ネイトとリコは模擬戦闘室の中央にある印の書かれたところに立った。
「良い?繰り返すけど、武器やスキルの使用は禁止よ。あと、この円の外に出ても行けないわ。その時点で負けになるわよ」
「わかった」
「では、模擬戦闘開始!」
ふたりは戦闘態勢を取り、距離を維持する。
相手の出方を探るようににじりにじりと距離を詰めていく。
ふたりの手の甲が合わさったとき、試合は動いた。
先に動いたのはリコで、ネイトの片手を掴み、後ろに振り向いたかと思うと背負い投げをした。
あっという間の出来事で、ネイトは何故床に倒れているのかわかっていないようだった。
「ブラッドクレストにいた頃は、屈強な男たちに囲まれて、日常茶飯事だったからな。この程度どうってこと無い」
「流石鍛え上げてるのは違うぜ…」
「次、キャシーとベルダよ」
近接戦闘二人による、ある意味本日の大注目カードである。
「よろしくねー!」
「お手柔らかに頼む」
「では、模擬戦闘開始!」
開始するやいなや、お互い相手の手を掴もうとし、それを跳ね除け、転ばそうと足をすくおうとしてジャンプでかわす。
両手による小競り合いが続き、お互い攻守ともに譲らない状況だった。
皆がその試合に息を呑む。
先にへばったのはベルダの方だった。
戦闘活動限界の5分を過ぎたのである。
「私の負けだ。もう体が動かない…」
と、倒れそうになったベルダをキャシーが支える。
「ふたりとも、なかなかやるわね
次、エヴィとあたしよ」
「ドクターも戦うのか?」
「模擬戦闘なんだから当然よ。
ネイト、合図をちょうだい」
ふたりが中央に対面して立ったのを確認すると、試合開始の合図をする。
「よし、模擬戦闘開始!」
エヴィがドクターに向かって走り出す。
それも見たドクターは、少しかがんで、肘をエヴィのみぞおちに一撃を入れる。
うぉ、とエヴィが漏らしたが、ドクターの追撃は止まない。
片手を持ち、しゅっと動かしたかと思うと、エヴィの体は何回転もして床に伏した。
「な…何が起こったんだぜ…」
「あたしはね、戦闘をできないのではなくて、しないの。
でも、もしものことがあったときの為に、合気道を習得しているのよ。ヒューマノイド相手にしか効かないけどね」
流石は命を取り扱うことに長けているドクターと言ったところか。
「全体的にM.A.C.S.ドライバーの個体戦闘能力が足りないわね。
明日から基礎体力づくりと模擬戦闘を繰り返して行うわ」
大変だが、強くなるためと割り切って皆は頑張ることにした。
「模擬戦闘が終わったら、バランスの良い、栄養価の高い昼食を摂ること。
特にエヴィ、ラブタばかり食べてはいけないわよ」
「わ…わかったぜ…」
「午後は自由時間ね。戦闘訓練を行うのでもいいし、繁華街に出かけるのでもいいわよ。
これをオースタスを発つときまで毎日繰り返すわ」
この後約2週間、特訓メニューが続くのであった。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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