# 15. M.A.C.S.
ハンガー番号B-47に格納されているM.A.C.S.は、型名「ランドクロウラー(Land Crawler。地を這うもの)」と呼ばれている。
その名の通り、地上を這うように進むことを目的として設計された機体であり、脚部ではなく無限軌道を採用している。
一般的な車両よりも速度は出ないが、重厚な装甲と火力を備え、過酷な環境でも安定して運用できるのが特徴だ。
メインとなる主砲と、補助として装備された副砲によって、高い戦闘力を発揮する。ただし、特殊砲身は装備されておらず、酸弾などの特殊攻撃はできない。しかし、それは後の改造次第でいくらでも補える。
M.A.C.S.の基本構成は意外にもシンプルだ。まずコアとなる操縦席があり、ここには各種計器と操縦用のレバー、そして通信装置が備わっている。その中心に位置するのが、すべてをコントロールするCPUである。この時代においては、メモリーやストレージなども含めて総合的にCPUと呼ばれることが一般的だ。
エネルギーを供給するジェネレーターも重要な要素で、これが無ければM.A.C.S.は動かない。
さらに、外観を決定づけるボディー、移動を司る駆動系、攻撃力を左右する砲身、そして弾薬庫や補給物資を積むための格納庫など、多岐にわたるパーツで構成されている。これらのパーツはすべて交換・カスタマイズが可能であり、自分好みのM.A.C.S.を作り上げることができる。
中には改造を重ね、余ったパーツを使って二台目、三台目のM.A.C.S.を組み立てる探索者もいる。
また、メカニックライセンスを持つ者が廃棄パーツや戦場から回収した部品を寄せ集め、一台のM.A.C.S.を組み立てて販売することも珍しくない。
市場にはさまざまなカスタマイズが施されたM.A.C.S.が出回っており、オリジナルの機体を持つことは一種のステータスとなっている。
新世紀歴時代において、M.A.C.S.はもはや探索者の任務に欠かせない存在となっていた。
戦闘はもちろん、資源の運搬や建築作業、災害救助など、さまざまな用途で使用されている。そして今、ネイトの目の前には、彼自身が手に入れたM.A.C.S.が静かに佇んでいた。
「これが、俺の…」
ランドクロウラーの姿は、まるで巨大なイモムシのようだった。
スタイリッシュなデザインとは程遠く、武骨で機能美を追求したフォルムをしている。
だが、それこそがこの機体の魅力であり、まさに実用性の塊だった。
無限軌道を備えているため、その場で回転することが可能であり、狭い空間でも自在に向きを変えることができる。
ドラゴンフライやライノベーターのように車輪を採用した車体では、その場での回転が不可能であったが、ランドクロウラーはその問題を解決していた。
ネイトは、ランドクロウラーの外観をじっくりと観察しながら、これから施すべき改造の計画を頭の中で練っていた。どのパーツを強化するべきか、どの武装を追加するべきか、慎重に思案を巡らせる。
しかし、改造には膨大なヴェルが必要となる。新しい装備を揃えるだけでも莫大なコストがかかり、それを補うためには数多くのクエストを完遂する必要があった。
さらに、スパークルスプリングスの加入者も募らなければならない。
安定した生活を送るためには、仲間の協力が不可欠だ。レンタルM.A.C.S.を使用していた頃と比べて、やるべきことは格段に増えている。
「忙しくなるぞ」
ネイトはそう呟くと、ランドクロウラーの装甲を軽く叩いた。
その感触はどっしりとしていて、彼の新たな相棒としての信頼感を与えてくれるものだった。
これからの戦いは、きっと厳しいものになる。
だが、それを乗り越えた先には、より強力なM.A.C.S.へと進化したランドクロウラーが待っている。ネイトの心に、静かな闘志が灯った。
ネイトはランドクロウラーのハッチを開け、慎重に操縦席へと乗り込んだ。内部は意外にも広く、座席には調整機能が備わっており、長時間の運用でも疲れにくい設計になっているようだった。目の前には主操縦パネルがあり、複数のモニターがステータスを映し出している。起動スイッチを押すと、ランドクロウラーのシステムが静かに立ち上がり、各部のチェックが開始された。
「動作テストをしないとな」
ハンガー内ではフィールドテストは不可能だが、シミュレーションモードを使えば各種機能のチェックはできる。ネイトは端末を操作し、CPUの処理速度、ジェネレーターの出力、駆動部の稼働状況などを確認していった。メインモニターには各パーツの状態が表示される。
「ジェネレーターの効率が少し悪いな……交換するなら、ハイパワージェネレーターか」
ジェネレーターはM.A.C.S.の心臓部とも言える部分だ。
出力が安定していないと、砲撃時のエネルギー供給が不十分になり、連射性能が落ちる。
できるだけ早めに何かしらの対策が必要だ。
「それと、主砲の口径をもう少し上げたい。
現状では火力不足が否めない……」
ランドクロウラーの主砲は標準装備のものだが、ネイトの戦闘スタイルに合わせるなら、より威力の高い砲身へと換装する必要がある。問題は、それに見合うだけのエネルギー供給と弾薬管理が必要になることだ。
「エネルギー管理システムを強化しないと、改造しても意味がないな」
エネルギー管理システムを向上させることで、火力と防御力をバランスよく強化できる。しかし、ハイエンドのシステムは高価で、手に入れるのも容易ではない。
「やることが山積みだな……」
ネイトはシートにもたれかかりながら、今後の資金調達方法を考えた。クエストをこなして報酬を得るのが最も確実だが、それだけでは足りないかもしれない。パーツの売買や、企業スポンサーを探すのも選択肢の一つだった。
「まずは今の状態で、どこまで戦えるかだな」
ネイトはシミュレーションモードを起動し、仮想戦闘プログラムを実行した。モニターに映し出されたのは、戦闘エリアの再現データだった。これを通じて、ランドクロウラーの性能を試すことができる。
「主砲、発射!」
トリガーを引くと、機体がわずかに揺れ、砲口から弾が放たれた。仮想ターゲットに直撃し、モニターにはダメージ計算が表示される。現状の火力では、大型の敵には十分なダメージを与えられないことが分かった。
「やっぱり威力不足か……副砲も試してみるか」
副砲を連射しながら、機体の旋回性能をチェックする。無限軌道の効果でスムーズに動くが、加速が遅いのが気になった。
「エンジンの調整も必要だな」
こうして、ランドクロウラーの改造計画はさらに詳細なものになっていった。
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拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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