# 11. ダンジョン
翌朝、スフィアエントランスに集合した二人。
二人共遅刻しないで合流した。
「よく眠れた?」
「まぁまぁだな。問題ない。
昨日はどうしたんだ?」
「ふふーん!これを見て!」
と、背中に装備していた武器をネイトに見せた。
「これは…」
「そう、インフェルノキャノン(Inferno Cannon)よ!
これで、遠くからエ・ギン異形種に火属性のダメージを与えることができるはず!」
エ・ギン異形種は、ネームドとはいえ、動物の一種であり、本能的に火を怖がるのにはかわりない。
他に、寒さにも弱い等と聞くが、一番手っ取り早いのは火炎放射だろう。
なので、キャシーの武器の選択は間違っていないと言える。
「ネイトはどうしたの?」
「新しいM.A.C.S.を借りてきた」
「ほぉ~!なんだか強そうだね!」
「今回のクエストのためにレンタル料を奮発したからな!」
多分、キャシーにはこのM.A.C.S.の強さの半分を伝わっていないと思う。
根っからのファイタータイプには、M.A.C.S.の魅力が伝わらないのがほとんどらしい。
エレベーターが起動し、「外」へと上昇し始めた。
ビッグフットの外に出るのもこれで3度目となる。
少しは慣れたつもりだが、エレベーターのゲートが空いたときの眩しさは未だに慣れない。
「ダンジョンの座標はパーソナルハンドヘルドコンピューターに転送済みだ」
「わかったよー!行こう!」
「スパークルスプリングス初のクエストだ、頑張ろう!」
目的地はビッグフットから約180キロ先にあるダンジョンだ。
今の速度なら4時間もあれば到着するだろう。
二人は、アシストグループチャンネルを通して様々な話をしていた。
戦闘のコツや、過去のクエストの失敗談、そしてお互いの得意な戦闘スタイルについて語り合う。
キャシーはタイタータイプなので接近戦が得意で、特に格闘技術には自信がある。
ネイトは精密な射撃と戦術的な判断が持ち味だった。
「ねぇ、エ・ギン異形種ってどのくらいの大きさなの?」
「データによると、体長は5メートル、体重は450キロってところだ」
「デカいな…近づかれる前に仕留めないと厄介だな」
「だからこそのインフェルノキャノンよ!」
徐々に会話が減り、目的地が近づくにつれ口数は少なくなり、いつしか無言になった。
そして4時間後…。
「着いたな」
「着いたね!」
目の前には巨大な洞窟の入り口がぽっかりと開いていた。
内部は暗く、奥の様子はまるで見えない。
「キャシー、ナイトアイを頼む」
「了解!」
キャシーはバイノクスを装着し、ナイトアイモードを有効化した。
視界が暗闇の中でもはっきりと見え、岩壁や奥の通路の形状が浮かび上がった。
「うん、大丈夫。奥に進めるよ」
「よし、M.A.C.S.で先に入る」
ネイトが操縦するM.A.C.S.がゆっくりと洞窟内へと進入していく。
キャシーはその後を歩いて追いかけた。
内部は湿気が多く、壁には苔のようなものがびっしりと生えていた。
足元は滑りやすくなっており、慎重に歩を進める必要があった。
「思ったより暗いね…」
「ナイトアイのおかげでよく見えるよ。
壁には無数の爪痕がある。エ・ギン異形種の仕業かも」
「警戒しよう。ここからは慎重にならないと」
さらに進むと、突然、背後でガラガラと岩が崩れる音がした。
「…!」
二人は素早く振り返ったが、そこには何もいなかった。
「気のせい…じゃなさそうね」
「このまま進もう。エ・ギン異形種はまだ先だ」
ダンジョンの奥へ進むにつれ、空気が徐々に冷たくなっていく。
時折、遠くで獣のような唸り声が聞こえた。
「ネイト、M.A.C.S.のセンサーには何か反応ある?」
「微弱な熱源反応が複数ある。
エ・ギン異形種ではなく、小型のモンスターかもしれない」
「気をつけよう。突然飛びかかってくるかもしれないし」
二人は慎重に進みながら、ダンジョンの奥へと向かっていった…。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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