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【4/15書籍発売!】隣国の王太子様、ノラ悪役令嬢にごはんをあげないでください  作者: 秋色mai @ノラ令嬢4/15発売!
ボナペティート!

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書籍発売記念SS. シーフードと迷い猫

詳しくは活動報告にて!



「……どうしましょう」


 悩みに悩んでいたら、いつの間にか知らないところにいた。


         *


「なぁノラ」

「?」


 結婚したって何も変わらない。なんてことのない午後の執務室。いつも通りエド様の膝上にいたら、急に反応が返ってきた。仕事が終わったのかと手元を見たけれど、そうでもなさそう。


「今日はお祝いだからご馳走にしようと思うんだが、何が食べたい?」


 オイワイ。ゴチソウ。……ご馳走!?

 思わず頭を上げたら、エド様の顎に直撃した。痛い。恨みがましい目をしたら、理不尽だと言われた。なぜ。


「あてて……分かった。嬉しいのは分かったから、考えておいてくれ。なんて言ったって今日は……」


 もう頭の中にはシーフードしかない。春といえば鯛。アクアパッツァが美味しい。他にもエビのリゾットだっていいし、ホタテのクリームパスタも最高。


「おい、聞いてないな?」

「うむむ。美味しいものがありすぎるわ」

「聞いてないんだな」


 なんか頭上のエド様がうるさいけど、どうでもいい。脳内食べたいものレースの真っ最中なんだから。アクアパッツァとクリームパスタが乱戦だわ。どっちもどっちというか、これは長引きそう。


「……んで、そろそろ決まったか?」

「決まらないので散歩してきます」

「なるべく早く帰ってこいよ」


 ぴょんっと膝の上から降りて、そうして思いつくままにふらふらと散歩しに行った。


         *


 あたりをキョロキョロと見回しても、まったく見覚えがない。何の変哲もない住宅街だけど、私の行動範囲外だ。本当なら焦るべきなのだろうけど、でも。


「いい匂い……」


 いろんなお家から香る晩御飯の匂いに鼻をひくつかせる。

 ここのお家はズッパ、向こうのご家庭はペペロンチーノ。イカ墨な家もあるみたい。

昔はマーレア料理どころか自国の料理さえ全然知らなかった。けど、この国に来てからエド様にたくさん作ってもらって、たくさん食べて。今では匂いだけで何の料理か想像できる。


「お腹すいたわ」


 私も、お家に帰ろう。

 実は焦る必要がない。たとえここがどこかわからなくても、家の方向はなんとなくわかる。どこを向いていても、まるで磁石のように方向がわかる。

 さて帰ろうと家の方に振り向いたら、足元に猫がいた。どうやら魚屋から盗んできたところらしく、口に魚をくわえている。


「……これって、そういう運命ってこと?」


 今日のご馳走のリクエスト、決めた。

 迷いがなくなったら足取りが軽くて。美味しいごはんを想像しながら、夕焼けの中をスキップで帰った。ずいぶん遠くに来ていたし、水上都市・マーレリアでの徒歩移動は不便なのもあって、離宮に着いたときには辺りは真っ暗になっていた。


「私のご馳走が待って……」


 あ、でも、遅くなったからもう無理かしら。

 ドアを開ける前に今更思ったけれど、また鼻をひくつかせる。ううん。大丈夫。さすがエド様だわ。


「どこ行ってたんだ、まったく。帰ってくるのが遅くなるなら先に言え。ご馳走はもう作ったが、文句は聞かないからな」


 帰ってくるなりエド様がくどくど言ってくるけれど、そんなの聞こえない。

 だって……。


「これ、食べたかったやつ」


 テーブルに、綺麗に盛られた鯛のカルパッチョが並んでいた。思わずエド様をのぞき込むと、ふはっと息を吐くように笑う。


「……だと思ったよ」


 エド様の満足気な笑みに迎えられて、テーブルに着く。


「いただきます!」


 我ながら、良い飼い主に拾ってもらったわ。

 って、あれ。……そういえば、今日ってなんのお祝いだっけ?



 ……発売記念です。

 書籍には挿絵が八枚。電子・アニメイト・メロンブックス/フロマージュブックス特典があります。

 本屋さんで見かけましたら、お手に取っていただけると嬉しいです。

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