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【完結】隣国の王太子様、ノラ悪役令嬢にごはんをあげないでください  作者: 秋色mai @コミカライズ企画進行中
夏のプリモピアット

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22. アヒージョはほぼ油である


 腕まくりをしてエプロンを締めたエドアルド様。手には……オリーブオイルが二本?


「まずは鍋にピュアオリーブオイルを引く」


 おお……凄い量だわ。ドボドボって。そして包丁の横でたくさんのニンニクを潰して、その中に投入。鷹の爪も忘れずに。あと、オレガノも追加。臭み消しなのだとか。


「ここで気をつけるのは焦がさないことだ」


 いつにもまして真剣な顔だわ。ハマっていただけあってこだわりがあるのかしら。……横から見ると鼻が高いってわかりやすいわね。


「最初はマッシュルームを入れる。味に深みが出るからな」


 こちらに見せてから、スッと縦半分に切って投入。そして包丁を洗って。シンクに入れておいたのに、また逃げ出そうとしていたあれを掴む。


「まあそろそろ捌いておいた方がいいだろう」


 さようならタコさん。美味しくいただきます。

 というわけで……言語化はやめておきましょう。頭を裏返すとか臓器を取り出すとか、脳内でもちょっと戸惑うくらいにはグロテスクだわ。へなちょこに思っていたけれど、やっぱりマーレリア王国の王太子殿下なのね、エドアルド様って。ちょっと尊敬するわ。


「今回入れるのは、このタコにエビ。あとはプチトマトとブロッコリーだな」


 ジュワジュワジュワッと音を立てているオリーブオイルに具材を順番に入れていって。


「水分をしっかり切っておくことで、うまみが薄まらないようにする」


 あとはじっくり煮るだけ。ここで重要なのが加熱しすぎないように気をつけること。食感とオリーブオイルの風味を損なわないようにするらしい。ああニンニクのいい匂い……。

 そして煮ている間にバゲットを切っているエドアルド様。そ、そんなに切るんですか……?


「気になるか?」

「……私は海鮮の方が好きです」

「まあ待て。あとでのお楽しみだ」


 バゲットを切り終わったエドアルド様はなんと……鍋にオリーブオイルを足した。しかも違う色の瓶のやつ。どういうことなの?


「これはエクストラバージンオイル、つまりオリーブでも一番しぼりで香りの強い貴重なものだ」


 嗅いでみるか、と言われたので素直に嗅ぐ。確かに香りが強いし高級な感じがするわ。

 そしてパセリを入れて、塩胡椒で味を整えて……。


「ほら、できたぞ」


 味見してみろとタコを差し出されたのでパクりと。こ、これはっ……。

 思わずエドアルド様を見ると、満足気にニンマリとしている。もう一個食べたくて口を開けたけれど、あとは食卓でと鍋ごと運ばれてしまった。ケチ。匂いに引っ張られるようにしてついていく。


「あれ、食堂じゃないんですか?」

「たまにはバルコニーで食うのもいいだろう。あそこは風通しが良くて涼しい」

「ふぅん」


 どうやら気分がいいらしい。何かいいことでもあったのかしら。

 バルコニーでは、エドアルド様がテーブルと二人分の椅子を用意して、クロスをかけて、セッティングして。その間私は代わりにアヒージョの鍋を持っていたのだけれど……よだれを我慢するので必死だった。美味しそう。


「よし、準備できたぞ」

「やっとですか! ……いただきます!」


 そうして金色に光る油に浸かった海鮮たちに手を伸ば……したところで掴まれた。え、なんですか?


「まずは、バゲットからだ」

「えぇ……」

「いいから。騙されたと思ってやってみろ」


 海鮮達が私に食べられるのを待っているのに……と思いながらも浸して食べてみる。

 じゅわっと海鮮の旨みが広がり、上質なオリーブオイルの香りが鼻を抜けた。鷹の爪と塩胡椒がピリリと味をしめて……。


「お、おいしい……」

「ふん」

「油なのに海鮮だわ!!」


 エドアルド様のドヤ顔がむかつくのにむかつけない……逆にケチとか思ってごめんなさい。


「口にあったようでなによりだ」

「おいしいです!」

「そうか」


 油につけて、食べて。つけて、食べて……。そうしてるといつのまにか油が少なくなっていた。


「ここが、海鮮を食べる時だ」


 そう言われたので、タコ、エビを口に放り込む。ぎゅもぎゅもプリプリ……食感が楽しい! プチトマトはオリーブオイルと混ざり、ブロッコリーはシャクシャクとしつつも油を吸っていて……。


「ふっ」


 そんな私を凝視しつつ、アヒージョを食べもせずちびちびとお酒を飲んでいたエドアルド様。今日はもう仕事はおしまいらしい。お顔が真っ赤。


「かわいいなぁ……」


 ……どうやらお酒に弱いらしい。

 なんだか、嫌な予感がする。




我が家のアヒージョです↓

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
アヒージョはオイルに浸した油をバケットで吸い取って食べる料理でもありますね!!炭水化物だいすき日本人の血が騒ぐやつ。 海鮮とトマトとキノコとハーブという出汁しか出ないやつですもんね……!!!たまらんで…
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