表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/71

また無関心・無反応な

 気づけば声を出し、泣いてしまっていた。


「……シャルロン?」

「へっ」


 寝ていると思ったウォードが、目覚めている。

 朝になれば目覚めると、医師は言っていた。目覚めるなんて、思ってもいなかった。


「ご、ごめんなさい!」


 慌てて手で涙を拭う様子を見たウォードが「やめるんだ」と少しキツイ声音で、私の動きを制止した。


「ハンカチはないのか?」


 咎めるように指摘されていると感じ、サーッと血の気が引きそうだった。


 これは記憶を……取り戻したのではないか?


 チラッと私の着ている服に目をやると、ウォードはベッド脇のサイドテーブルの引き出しに、手を伸ばす。一段目の引き出しにはウォードの持ち物が入っており、そこにもハンカチがあった。


「ほら、これを」


 少ししかめ面のウォードが、ハンカチを差し出す。

 そのハンカチを受け取ろうとして、手が震えてしまう。


「ウ、ウォード、記憶を……取り戻したのですか?」

「記憶……?」


 眉をくいっとあげたウォードの様子が、かつてのウォードと重なり、絶望的になった。


 記憶を取り戻したんだ。


 きっともうあの優しいウォードには戻らない。

 これまで通り、また無関心・無反応なウォードになってしまう。


 それを思うと、涙が再び、溢れ……。


 居た堪れなくなり「ごめんなさい!」と叫び、病室から出て行こうとウォードに背を向けた瞬間。


「待て!」


 手首を掴まれ、「……っう」という唸り声に、私の動きは止まる。

 慌ててウォードを見ると、彼は私の手首を掴み、もう片方の手で掛け布団をぎゅっと握っていた。連動して私の手首を掴む手にも力が入る。


 顔を伏せているウォードだが、その表情は苦しそうに見えた。


「ウォード……どこか具合が悪いのですか……?」


 まさに恐る恐るで尋ねると、ウォードはなんだかその整った顔を崩した、トホホな表情で私を見上げた。


「……こんな顔、シャルロンに見せたくなかった」


 少し拗ねたような声でそう言うと、瞳に涙を浮かべている。


「ど、どうしました!?」


「……痛い」


「えっ……」


「鎮痛剤はないんだよな? すごく……痛い」


 そこでじわじわと理解する。

 なんだか口調がきつく、しかめ面なのは、痛みを我慢していたから?


「もしかして背中の傷口が痛み、口数が少なく、口調がきつく、しかめ面になっていたのですか?」


「そう、その通りだよ、ごめん、シャルロン」


 情けない表情のウォードを見て、私は全身の力が抜けてしまう。

 記憶が戻ったわけではないようだ。

 それが分かったので、ベッドのそばに置いた丸椅子に、へなへなと脱力するように、座り込んでしまった。


「ごめんな、こんなトホホな顔で」

「い、いえ、大丈夫です。傷口が痛むのですから、それは仕方ないことです」

「……それでシャルロンは、どうして泣いていた?」


 これにはドキッとして、なんと答えようか迷ってしまう。

 でもウォードは、自身の痛みを我慢していたが、それが限界であることを、私に打ち明けてくれた。ならば私も素直に話そう。


「ウォードが深い眠りについていると、医師に言われました。通常、こんな風に寝込まないと。そこでもしかしたら記憶喪失の時と同じで、今度は記憶を取り戻すのではないかと、不安になったのです。さらにウォードにもらった青い真珠のピアスも、あの闇組織に取られてしまって……。いろいろ悲しい気持ちが溢れ、そうしたら自然と涙が止まらなくなっていました」


「そうだったのか。……青い真珠のピアス……取り戻せないか聞いてみよう。でも大丈夫だ。もし見つからなくても、新しい真珠を……そうだ。ワイリーが言っていた。自分だけの真珠の買い付けをできると。つまりは母貝への核入れ体験をして、一年間、育ててもらう。そして自身で取り出すか、取り出してもらい、出来上がった真珠を贈ってもらえるサービスがあると。二人でこの地に来た記念で、この買い付け体験をしてもいいかもしれない」


 ウォードのこの素晴らしい提案には、一気に気持ちが上向いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ