表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/71

あなたを奪いたい

「分かった。ではそうしてくれ」


 カシウスがそう応じると、騎士はそのまま小走りで先へ進む。


「この病院のすぐ隣にレストランがあるそうですよ。見舞客がよく訪れるレストランで、味の評判もいいとのこと。先程の騎士が、病院の職員に教えてもらったそうです。そこに行くのでいいですか?」


「あ、はい。勿論です」


 正直、食事を楽しむ気分ではない。ただ体力のために食べるだけ。どこでもよかった。それに食事が喉を通るだろうか。今の私の状態で。


「シャルロン様は、ウォード殿が深い眠りについていることが、気がかりなのですか?」


「えっ……」


 そこで夜間出入り口に到着し、外に出た。

 風の冷たさを感じ、思わず身震いしてしまう。

 夏のような日中に比べ、夜はやはり気温が低くなっている。

 するとカシウスは着ていた上衣を脱ぎ、私の肩にかけてくれた。


「ありがとうございます」と御礼を言うと「どういたしまして」と微笑んだカシウスは、再び私をエスコートして歩き出す。


「怪我をした兵士や騎士は、みんな寝ていますよ。薬を塗ったり、縫合したり、手当はしています。ですが安静にして体を休めるのが一番です。他の動物達もそうでしょう?」


「それはそうですよね……」


 単純に回復のためで休んでいると分かっているなら、気にならない。

 でも私は別のことで悩んでいた。


「回復のために休んでいることは理解している。でも他に気にかかることがあるのですね?」


「はい。それをお話することはできませんが……」


「無理に聞き出すつもりはありませんよ。ただ、それはウォード殿に深く関わることなのでしょう。そしてそのことをシャルロン様が、とても心配しているのだと分かりました」


 病院横の馬車止めのスペースを抜けると、そこには確かにレストランがあった。前世で言うファミレスみたいな作りで、夜の営業だがアルコールよりも食事をメインに営業しているのが分かる。よってファミリー層の客も多く、白衣姿の男女も見えた。つまり病院の職員も利用しているようだ。


 開放的な席ばかりと思ったら、意外にも個室があり、そこへ通してもらうことになる。これはカシウスの立場を鑑み、先に店へ向かった騎士が、個室を押さえてくれた結果だ。


 個室に入ると、そこは抑えられた照明に、左右の壁には海を描いた絵画。

 絨毯は濃紺で、水色のテーブルクロスが敷かれている。

 花瓶に生けられた白い花が映える素敵なコーディネートの個室だった。


 早速、席に着き、あまり食欲がないことを打ち明ける。すると、「ではこうしましょう」とカシウスは大皿の魚料理を注文し、あとはパン、スープそれぞれという形の注文をしてくれた。大皿の魚料理は、テーブルに出されたものを、店員さんが骨を取り、サーブしてくれる。よって二人でシェアできた。これなら私が少食でも、大丈夫そうだった。カシウスの配慮に感謝だ。


「シャルロン様」

「はい」


 グラスの水をお互いに飲み終えたタイミングで、カシウスが口を開いた。

 ブラックオリーブ色の瞳を細め、微笑を浮かべると、カシウスはこんなことを言い出す。


「なんて勝手なことをしたのですか――そうあなたに怒られそうです」


「!? 一体なんの話ですか??」


 驚いて尋ねると、カシウスは「実は……」と、驚きの話を始めた。


「シャルロン様がソアールの教育係となり、あなたが夫であるウォード殿から軽んじられていると分かった時。僕は……許せないと思いました。シャルロン様はとても聡明で、お優しい。それなのにウォード殿は、なぜそこに気づけないのか。僕はあなたの良さを手紙にまとめ、それをウォード殿に送りつけたのです」


「え、え、え……」


 驚き過ぎて、間の抜けた言葉しか発することができない。

 そこにスープが到着し、配膳されている間に、カシウスの今の発言について考えることになる。


 カシウスは……私の長所を手紙にしたため、それを……ウォードに送りつけていた。ウォードはそれを読んでいる。だから……なるほど。合点が行く。ウォードがカシウスを必要以上に意識していた理由が。


 そこで美しく澄んだコンソメスープが、目の前に置かれた。


「あ、いい香りですね」「本当だ。これはきっと手間暇をかけたのでしょうね」


 これはカシウスと二人、まずは味わうことになる。


 そう。さすがリアベラ海の街なだけある。

 コンソメスープも、魚介で作られていた。

 セロリの風味がいいアクセントに感じる。

 すっかりスープで気分が和んだまさにその時。

 ニコニコしているカシウスは、思い出したようにこんな一言を告げた。


「ウォード殿に送った手紙の最後に書いていたんです。もしシャルロン様が不幸になるようなら、僕が奪うと。ラエル皇国では、ハーレム制度が認められていることもあり、結婚に対しても寛容です。よってシャルロン様が婚姻経験をお持ちでも、妻に迎えることができます。ですからいざとなれば、国王陛下に申し出て、ウォード殿とシャルロン様を離婚させます。その上で私の妻にシャルロン様を迎えることもいとわないと、書いたのです、手紙に」

お読みいただき、ありがとうございます!

本日夜遅め更新となりますので、お体の負担にならないよう、ご無理なさらないでくださいね。


※順番間違えて更新し、一瞬、別のものが表示されました。

 超パニックでしたが、多分一瞬のはずです。

 もし見てしまった方は本当にごめんなさい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ