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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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喜んだまさにその時

 しばらくは青い真珠について、話をすることになった。

 真珠と言えば、白やクリーム色が主流だったので、青い真珠はかつて粗悪品扱いされていたという。でも近年になってから、その美しさが見直された。そして今やリアベラ海を代表する宝飾品になっていたのだ。


 青い真珠についてウォードが詳しいのは、遊学でこの地を訪れていたからだだろう。


 そんな風に話しているうちに、無事、銀行に到着した。


 立派な銀行だった。


 重厚なレンガ造りの建物で、三階建て。屋上には国旗がはためいている。


 馬車から降りた時、遠くで聞き慣れた声が聞こえた気がした。

 でも気のせいだろう。


 そう思ったが、ウォードの動きが止まる。

 どうやらウォードにも聞こえているらしい。


 ということで声が聞こえたと思った方角を見ると、馬車道を挟んだ向こう側に、瀟洒な建物がある。そこはどうやらカフェになっているようだ。その二階にはルーフバルコニーがあり、テラス席になっていた。そしてお茶をそこで楽しんでいるのは……。


「ソアール皇女、カシウス殿下!」


 ◇


 私の腕に絡みつくようにしているのは、ソアール。


 白のフリルがたっぷりあしらわれた明るいアップルグリーンのドレスを着たソアールは、ニコニコと私と並んで銀行の通路を進んでいる。


 頭取と共に、先頭を歩いているのは、ウォード。その後ろに護衛の騎士が一人、その後に続くのは、ダニエル、隣にはカシウスがいる。さらに護衛の騎士を一人挟み、ソアールと私だ。私達の後ろには、二人の護衛の騎士、最後にカシウスの側近や銀行の警備員である兵士達がついてきており、実に物々しい雰囲気に感じる。でもソアールはこう言った警備状況に慣れているようで、いつも通りリラックスしていた。


 ということで前を歩くダニエルとカシウスを見ると。


 ダニエルはワイン色のシャツに白のスーツ姿で、相変わらず髪型は海賊っぽい。一方のカシウスは、ゆったりとした白の貫頭衣姿で、ウエストには宝石も飾られたゴールドのベルトをつけていた。ガラージオの洞窟からは一転。高貴なオーラを漂わせ、どう考えても皇族にしか見えない。


 海賊と皇族が並んで歩いているなんて、不思議な光景に思えるわ。


 そんなことを思いながら、銀行の奥深くの金庫へと向かう。


 そう。


 カフェにいるソアールとカシウスと合流することになった。金庫に保管しているバロス兄弟の海賊船から引き揚げたお宝を見るため、銀行に来たと話すと……。


「えええ、海賊船のお宝! わたくしも見てみたいです、シャルロンお姉様!」となった。話せばそうなると思っていた。本来、部外者をそう引き連れて金庫には入るものではない。だがソアールは皇女。カシウスは皇子。お宝を見たところで、盗もうと考えるはずがない。


 ということで二人も加わり、金庫に向かうことになった。


 ウォードはきっと「え」と思っただろう。でも皇女でもあり、まだ幼いソアールが純粋な好奇心で「見たい!」と言っているのだから、「ノー」とは言えなかった。


「こちらが特別金庫室です。審査を通ったお客様だけのお金やゴールド、宝飾品などをお預かりしている部屋です」


 重厚で分厚そうな木製の扉を開けると、そこは窓もない、完全な石壁の部屋になっている。そして部屋の中央にはソファセットがあり、その奥に見えるのは、巨大な金庫の丸い扉だ。重量もありそうで、難攻不落に思えた。


「当行の金庫の扉は『からくり扉』と呼ばれる特殊なものを採用しています。もし強盗が侵入した場合。完全に彼らを閉じ込められるように、このバーを下げた状態で扉を閉めるようになっています。そうしますと自動でロックがかかり、それは二十四時間後にならないと開きません」


 ちょび髭で、豊かなお腹を抱えた頭取が、自慢気に微笑んでいる。


「開けるには特殊な鍵が必要ですが、それも隣街の当行の支店にありますので、取り寄せるには、半日はかかるでしょう。おかげで過去、何人もの強盗を閉じ込め、逮捕することができています。二十四時間閉じ込められては、さすがの強盗もぐったりです。抵抗せず、おとなしく捕らえられてくれますよ」


「えー、もし誤って銀行の職員が閉じ込められたら、どうなるのですか~?」


 無邪気にソアールが尋ねると、頭取はドヤ顔で答える。


「大丈夫です。実は床下に備蓄した食料や水が隠されているのです。でもそれを知るのは当行の行員と……ソアール皇女様。強盗犯は知りませんから。もうフラフラな状態で発見されます」


「足元に物資があることを知らないなんて、憐れな強盗。でもいい気味よね。悪いことをしたんですもの」


「ははは。そうですな。それでは金庫を開けます。ここから先は入る人数を調整させていただきます。アルモンド公爵家の若旦那様と若奥様、ラエル皇国のカシウス皇子殿下とソアール皇女様、マリン・サーチ社のクルーズ様、あと護衛の騎士二名と、銀行の警備員二名のみです」


 こうして頭取が難攻不落の金庫の鍵を開けると、中に入り、扉を閉じる。もちろん、例のレバーは下げていないので、閉じ込められることはないが、少しドキッとしてしまう。そのまま私の名前で契約している貸金庫に向かうと、頭取が順番にその金庫を開けて行く。二名の銀行の警備員が、金庫の中のものを取り出し、部屋の中央に置かれたテーブルに順番に並べてくれる。


「見て、シャルロンお姉さま! なんて大きなダイヤモンドなの! 見て、あれはルビーですか? レッドダイヤモンド? あ、あれは……」


 ソアールはお宝の数々に目を丸くしている。そんなソアールをカシウスが宥め、ダニエルとウォードと私は、目録を見ながら、チェックすることになった。


「これは……本当にすごいな。何より状態がいい」


 ウォードが感嘆すると、ダニエルがすぐに応じる。


「引き揚げて、明らかに高価な宝飾品と分かるものは、ケアを行いました。ただ真珠だけは、ダメでした」


 確かに土台はゴールドで劣化していないが、形や色が変容してしまった真珠の指輪、イヤリング、ネックレスがある。真珠がダメでも、ゴールドだけでも大変な価値があるだろう。


 一つずつの目録チェックになると、さすがに時間がかかる。ソアールとカシウスは一旦、金庫から出て、ソファで待つことになった。


 こうして午前中いっぱいかけ、ウォードと私は、目録と保管されているお宝のチェックを終えた。


 金庫から出ると、ソアールが「お腹空いちゃいました~、シャルロンお姉さま!」となり、皆で昼食を摂ることになった。


 頭取に挨拶をして、銀行のエントランスまで見送ってもらい、カシウスとウォードはどこで食事をするか話している。ソアールはウォードと私が乗って来た、白馬の白い車体のフェートンを見て、瞳を輝かせた。


「シャルロンお姉さま、席に座ってみてもいい?」

「ええ、いいわよ」


 そこで私が先に座席に座り、ソアールは私と護衛の騎士の手を借り、席へと乗り込んだ。


「こういう馬車は、防犯のためで、普段乗せてもらえないの。屋根もないと開放的で、景色もいいわ!」


 そう言ってソアールが喜んだまさにその時だった。


「うわぁ」という叫び声がしたと思ったら、不意をくらった護衛の騎士が転倒させられ、突然、見知らぬ男が席に乗り込んできた。

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