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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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あまりにも悲壮過ぎて

 ウォードの記憶が戻るのでは、と不安になっていたが。

 事故から十日経ったが、ウォードに変化はない。

 変わらず忙しいが、なんとか食事の席に着こうと、努力してくれているのが分かる。会食や接待などで外食をしていない日は、夕食の席に現れ、そして――。


「若旦那様が、夫婦の寝室に来て欲しいとのことです」


 夫婦の寝室で過ごす日もでてきたのだ。


 といっても。

 話をして、終わるとそれぞれの部屋に戻るだけだ。

 しかもその際、ウォードが私に話していることは……。


「シルクを積んだ船に、護衛の兵を乗せた船をつけることにした。おかげで今のところ、海賊に襲われることはない。他の船では被害が出たそうだから、これはシャルロンのおかげだよ」


「父上の蚕の養蚕場では、産卵する前の蛾で、検査を行うようになった。病気への感染予防を進めている。それに施設の大規模清掃を行い、清潔な環境で、養蚕ができるようになった。おかげで元気な蚕が育ち、父上も大喜びだよ」


「バロス兄弟の海賊船の引き上げの計画書が業者から届いた。こんな感じになっている。これでよければ、GOサインを出すのは、シャルロンだ。まずは見てみるといい」


 夫婦の寝室なのに甘い会話はゼロ。

 代わりにとても真剣にビジネスについて話している。その話が終わると、「おやすみなさい」の挨拶をして、健全にそれぞれの部屋に戻っていた。


 その一方で、ソアールとカシウスとは、競馬を観に行き、アルモンド公爵家の領地の村をいくつか訪問した。ある村では、名産品となっているチーズ作りの様子を見せてもらい、たっぷりのチーズ料理を食べさせてもらった。別の村では、これまた村を代表する編み物を体験させてもらい、ティーポットの下に敷くティーマットを作成した。


 ソアールは初めて体験することばかりで、大喜びしている。編み物は、これから暇な時にやりたいと、いくつもの毛糸を買い、村人を喜ばせた。さらにカシウスは、ただそこにいるだけで、女性の村人に活力を与えている。そのカシウスは、さりげなく村人の生活水準や、文字の読み書きレベルなどもチェックしている。そこはもう、未来の皇帝として、いろいろ学んでいるように思えた。


 そんないろいろと充実した日々を過ごす中で、朗報がもたらされる。


 それはなんと!

 バロス兄弟の海賊船の引き上げに、成功したと言うのだ!


 早速、内部の調査が始まり……。

 前世のゲームのプレイ記憶は間違っていなかった。

 わんさか出てきたのだ。金銀財宝が!


「ぜひ事業主である、アルモンド公爵家の若奥様に、このお宝をお見せしたいです」という手紙が届いたのは、まさにホリデーシーズンが始まった頃だった。


 リアベラ海のあるサウス地方は、冬でも温暖で有名。よって冬の寒さを避け、この地へ向かう避寒ひかん地としても知られている。冬でも平均気温が二十度はあった。さすがに海沿いは風もあるが、そこを離れれば、冬の陽射しを心地よく感じられると言う。


「シャルロン、おめでとう! 君の予想は正解だった。海賊船にお宝はあったわけだ」


「はい。これで村に学校を作ることができます!」


「では学校に経営に詳しい人材を集めた方がいいだろう。何人かワイリーにピックアップさせるから、そこから選ぶといい」


 この日の夕食の席には、商会の幹部はいない。コバルトブルーのセットアップを着たウォード、そしてラベンダーブルーのドレスの私と、給仕のために控えているメイドしかいなかった。


 そしてしばらくは学校に関する話をしていた。でも会話が途切れたタイミングで、海賊船の引き上げに成功した、マリン・サーチ社のダニエル・デ・ラ・クルーズから届いた手紙のことを話した。


 つまりは引き上げた金銀財宝を見に来ないかと、ダニエルから誘われている件だ。


 ホリデーシーズンの後半、ソアールとカシウスは、母国に帰国することになっていた。よってその時期であれば、教育係としてのお役目は休みとなる。つまり、リアベラ海のあるサウス地方へ向かうことも可能だった。それをウォードに話すと、その顔が輝いた。


「シャルロン、ではリアベラ海へ行こう! わたし達はハネムーンをしていない」


「え、それはウォードと一緒に行くと言うことですか……?」


 こう問い返した時のウォードの顔は、あまりにも悲壮過ぎて、ぎゅっと抱きしめたくなるものだった。「まさか一人で行くつもりだったのか……」と落胆し、しゅんとしたその姿を見ては、「一人で行くつもりでした」とは言えない。


 一人で行くつもりだった……それはウォードが忙しいから、リアベラ海へ行く暇などないと思っていたのだ。もし一緒に行けるなら、とても嬉しい。勿論、供の者を連れて行く。それでも男性が横にいるか、いないかで、防犯面でも大きく変わる。


「執務に問題がないようでしたら、一緒に行きましょう」


 そう訂正すると、ウォードはまるで地獄から生還したかのように、その表情を輝かせた。それはもう、眩しいくらい!


「絶対に行けるように調整する」と答えたウォードは、その場ですぐ、ワイリーを呼び出した。おそらく別室で夕食を摂っていただろうに。ワイリーは慌ててダイニングルームにやって来た。そしてウォードから「この期間は執務を休んでリアベラ海へ行く。ハネムーンだ」と突然言われ、目を白黒させている。


 でもハネムーンと言われては、ワイリーも「ダメです!」とは言いにくい。本来、結婚直後の一ヵ月にとるものを、とらずに執務をしていたわけで……。そこは休ませてあげるしかないと、瞬時に悟ったようだ。「……分かりました」とワイリーは青ざめながら部屋を出て行こうとしたが、チラッと私を見る。

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