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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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相当焦った

 また臆面もなく「好き」と言われてしまい、耳がジーンと熱くなる。一方のウォードは、とても真摯に答えてくれた。


「あの頃のわたしは、こんな風に考えていた。夜遅くに帰ってこようと、どれだけお金を使おうと。好きなようにさせていたのに、突然、離婚を切り出された。驚き、頭にもきていたわけだ。よって売り言葉に買い言葉……のような会話になっていたと思う。大人げないな。申し訳なかった。ごめん」


「冷静に考えれば、ウォードの言う通りです。あの時の私は、ウォードに愛されることはないと悟り、ある意味、自暴自棄になっていました。それではいけないと気が付き、離婚するしかないと考えてしまったのです。でもあれだけ自由を許してくれていたのに。それ以上何を求める……となっても、おかしくないと思います」


「シャルロン……」


 遠慮がちにウォードが私の手に触れる。まるで少年が少女の手に、初めて触れるように。でも我慢できないというように、ぎゅっと握りしめ、私の手を自身の額に押し当てた。


「……辛い思いをさせてしまい、すまない。本当にごめん。わたしは……大バカ者だ。愛する人を苦しめるなんて」


 なんだかウォードが、また泣いてしまいそうだった。


 ウォードは記憶喪失になってから、涙をこぼし、何度も謝罪の言葉を口にしてくれた。それだけ彼が私にとっていた言動を、後悔しているということだ。


 記憶喪失になったからと言って、手のひらを返したように態度が変わるなんて!とは、もう思わなくなっている。例え元のウォードに戻ることがあっても。彼は前言撤回しないと宣言してくれている。何より私は……記憶喪失だった時のウォードのことを、忘れないと思えた。


「もう売り言葉に買い言葉になっていたのは、仕方ないと思います。それでも最終的に、ソアール皇女の教育係になることを、認めていただけました。そこは今も感謝しています」


 すると自身の額から私の手をはなし、ウォードは苦々しい顔になってしまう。そして私が想定した通りの言葉を口にした。


「だがそのせいでカシウス皇子が君に」「何もありませんから、皇子とは!」


 子犬のように瞳を潤ませるウォードが、私を見つめた。

 嫉妬の必要なんてないのに。

 そう思うがウォードとしては、不安なのだろう。

 自身の態度が、私にどんな影響を与えていたのか、それを知ってしまったのだから。私が自暴自棄になっていたと知ったのだ。その上でウォードは、いまだ自分が私から愛されると確信を持てていない。そこに私を絶賛するカシウスが現れたとなると……。


 しかもカシウスは皇子なのだ。影響力もある。ウォードが嫉妬してしまうのは……当然といえば、当然だった。ならばもう少し、ちゃんと伝えよう。


「カシウス皇子は、妹思いの優しい方です。時間が許す限り、妹であるソアール皇女のそばにいようとされています。でもそれだけです。私はソアール皇女の教育係であり、それ以上でもそれ以下でもありません」


 ウォードは「分かった……」と、少し拗ねたように返事をして、それはとても可愛らしい。カシウスの件は、一旦頭から忘れて欲しいと思い、別の話題を振ってみた。


「朝食の席に、急に現れるようになりましたよね? あれはどうしたのですか? 仕事で忙しく、食事は同席できない……はずでしたよね?」


 これにはまたウォードがたじたじになっている。こんな反応をされると、母性本能がくすぐられ、ウォードのことをぎゅっ抱きしめたくなってしまう。


「それは……君から離婚を切り出されたんだ。夫婦らしいことが、何もないと言われて。君からすると、冷静沈着に見えたかもしれない。でも実際、わたしも相当焦った。だが二人の関係改善のため、すぐにどうにかする勇気は……ない。だからせめて食事を共にしようと考えた。それでも忙しく、毎朝同席はできなかった。これが……わたしの精一杯だ」


「え? 本当ですか? 今はぐいぐいきていますよね?」


「そ、それは……」


 ウォードの顔や耳、首まで、瞬時に赤くなっている。

 その様子を見て、今日の所はここまでだろうなと思った。


「ウォード、私の疑問に答えてくださり、ありがとうございます。気になっていたことは、だいたい聞けたと思いました。でもまた何か思ったら……その時はその場ですぐに聞くようにします」


「ああ、そうしてほしい」


 改めてソファで横に並び、ウォードと向き合った時。

 胸がドキドキしていた。

 暖炉の火に照らされたウォードは、なんだか情熱的な気配に包まれている。


 キスの一つをしたところで、罰は当たらないと思う。

 私達は夫婦なのだし、いろいろ話を聞くことで、誤解もとけたのだから。

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