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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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初めて見せる優しい笑顔

 平常心を保つため、スイーツに視線を移し、ウォードに尋ねる。


「契約書の件、説明お願いします。そして海賊船の引き上げ業者の件も、詳しく聞かせてください」と。ティードレスについて褒められているのに、それを一切無視し、本題を話せと言ったのに。


 チラリと見たウォードは怒っている様子もない。「分かった」と書類を取り出していた。


 こうして約一時間半のお茶の時間が終わった。


 ウォードに反応しないよう努めた結果、スイーツを食べる回数が増えた。あんなにテーブルにはスイーツが並んでいたのに。かなり減っていた。それを見たウォードは……。


「良かった。シャルロンが好きなスイーツだけ、集めた甲斐がある」


 そう言った後、柔和に微笑んだ。

 こんな慈しみのある微笑み、ウォードがするのは初めてのこと。

 なるべくウォードを見ないようにしているのに。

 うっかり見てしまい、胸がトクンと反応してしまう。

 なるべく感情が出ないように注意しながら、御礼を伝える。


「いろいろ気を遣っていただき、ありがとうございました。とても美味しかったです」


 それだけ言うと、ウォードの反応を見ないで、背中を向ける。

 これもウォードがよく、私にしていたことだ。


 そこで、ふと思う。


 もしウォードも何か理由があって、私を見ないようにしていた……なんてこと、あるのかしら? 今の私みたいに、感情を隠すため、背を向けていたなんてこと……ない、ない。


 どうしたって自分の都合のいいように考えてしまうのは止めよう。


 こうして部屋に戻ってから、夕食までは、お茶をしている間に届いた手紙の対応だが、一番はアルモンド公爵夫妻! 伝書鳩が到着していたのだ。手紙を見ると、明日の朝には王都へ到着するという。ということはもう、汽車に乗ったようだ。


 ウォードは執務ができるぐらい元気だった。わざわざ戻って来なくても……と思うが、無事な顔を見ないと、安心できないというのはあるだろう。そこで明日、アルモンド公爵夫妻が帰宅することを、両親に知らせる手紙を書いた。おそらく明日の晩は、両家揃い、母屋で夕食会だ。


 そうしているうちに時間が過ぎ、イブニングドレスへと、着替えることになる。


 ラズベリー色の生地に、クリーム色のレースや刺繍が飾られた、落ち着きのあるドレス。チャーチャは「夕食も絶対に若旦那様は来ると思います!」と言い、外食や舞踏会に行くわけでもないのに、随分と煌びやかなネックレスとイヤリングを着けるようすすめる。苦笑しながら私はそれらを身に着け、準備が整った。


 そこでワイリーが部屋にやって来た。


「若奥様。ウォード様はこれから宮殿で、国王陛下と私的な夕食を摂られることになりました。お見舞いの御礼を伝えるためでもあります」


 そう伝えるワイリーは、なんだか疲れ切っているように見える。

 それを指摘すると……。


「ウォード様は、ちゃんと執務をしてくださるんです。出される指示も、これまでより斬新で、でも最適解。その一方で、突然、海賊船を引き上げるだとか、エクレアを買ってこいだとか、突拍子のないことを言い出す始末……。その度に振り回され……。こんなこと、以前のウォード様にはなかったのに。失礼しました。これは愚痴ではないですよ」


 これには苦笑するしかない。というか、国王陛下と私的な夕食……私の同伴は?


「急ですが、ご同伴をお願いしてもいいですか?」


 やはり。偶然だがチャーチャが選んだネックレスとイヤリングのおかげで、宮殿に向かってもおかしくない装いに仕上がっている。ゆえに「承知いたしました」と答えた後、思わず尋ねてしまう。


「国王陛下から早馬で連絡が来たのですか?」


 するとワイリーは困惑し、でも打ち明けた。


「いえ、事前に手紙が届いていました。ですがウォード様が『同伴をお願いしたら、断られるかもしれない。夕食にあわせ、どうせドレスを着替える。そこで声を掛け、有無を言わさず、連れて行こう。考える時間を与えてはダメだ!』とおっしゃった結果です」


 このワイリーの説明にも、苦笑するしかなかった。でも確かにこれは「ノー」の選択肢はない。謁見を意識したわけではないが、一応はきちんとした装いをしている。しかもあまりにも直前過ぎて、お断りの理由も用意できない。というかそもそも国王陛下との私的な夕食会の同伴を断るなんて、あり得ないこと。こんな直前に言われなくても、断ったりしないのに。


 私はそんな風に思ってしまうが、ウォードは違うようだ。でもウォードがそうなる理由も理解できている。なぜなら私が散々、ウォードからしたら、冷たいと思える態度をとってしまったから……。


 ともかく「行きます」と返事をして、エントランスホールへ向かうことにした。


 チャーチャに、白い毛皮のついたパウダーピンクのロングケープを羽織らせてもらい、部屋を出る。エントランスホールに到着し、暖炉の前のソファに腰を下ろすと、すぐにウォードがやってきた。

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