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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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24/71

妻の部屋は?

 扉が閉じ、部屋の中が急に静かになった。


「若奥様、申し訳ありませんでした。かかりつけ医と若奥様が部屋を出てから、若旦那様は着替えをしたり、朝食を摂ったり、しばらく普通だったのですが……。すべてが一段落したところで若奥様の所在を聞かれたので、『先程、かかりつけ医の馬車がエントランスを出て行くのが見えたので、若奥様は間もなくお部屋に戻るかと思います』とお伝えしました」


 私の方へ歩み寄ったチャーチャが、何が起きたかを話し出した。それを聞いてまず驚いたのは、ウォードが私の所在を聞いたことだ。何か目立つことを私がしなければ、私がどこで何をしようと、ウォードは気にしていないと思っていた。つまり記憶喪失になる前のウォードなら間違いなく、私の所在なんて気にしない!


「ウォード様は、私の返事を聞くと『そうか』と応じ、そのままお部屋を出ようとされたのです。てっきり執務室へ向かわれるのかと思い、従者と部屋の片づけをして、私は若奥様の部屋へ戻ろうと思いました」


 ところがしばらくするとウォードが部屋に戻って来た。何か忘れ物でもあったのかと、チャーチャが声をかけると、ウォードはこう言った。


「妻の……妻の部屋が思い出せないんだ。どこに……あるのだろうか?」


 思い出すも何も。ウォードは私の部屋がどこにあるのか、知らない。私の部屋なんて、ウォードは一度も訪ねたことがない。


 でも離れで暮らすことが決まった時、私はウォードにこの部屋を使いたいと、説明はしていた。あの時のウォードは「部屋数は多い。どこを使おうと君の自由だ」と言っていた。


 どの部屋を使おうと構わないと言われたことに、私はテンションが上がっていた。優しいわ!と。どうでもいい相手なので、勝手にしてくれ……という気持ちでウォードが言っていたかもしれない言葉なのに。


 ともかくウォードは、私の部屋の位置を、ろくに確認していなかったのだろう。だからひとつ屋根の下で暮らしているのに。分からないのだ。私の部屋がどこなのかを。


「これまで若旦那様が、奥様の部屋へいらしたことはございません。突然訪問されたら、若奥様が驚くと思いました。ですがそれを使用人に過ぎない私から、若旦那様に指摘できず……。やんわりと『お着替えをしているかもしれないので』と、阻止しようとしたのですが……」


 そこでチャーチャはまたも困り顔で私に告げる。


「若旦那様は『他でもない妻なら、着替え中に訪問しても、怒らないはずだ』と言い出し……。思うに、本気で着替えをしている部屋に踏み込むつもりではなく、言葉のあやで、そう言っている気がしました。つまりやんわり私が、若奥様の部屋に案内しないようにしている――そのことに気づかれているようで……」


 最終的にウォードに押し切られ、チャーチャは私の部屋に、彼を案内することになったというわけだ。一方のワイリーとヘッドバトラーは、ウォードの元へ向かい、そこに彼の姿がないため、ビックリしたことだろう。どこに行ったかと使用人に探させ、最もそこにいる可能性の低い私の部屋で、ウォードを見つけることになった。さぞかし仰天したと思う。


 ともかくウォードは、部屋からいなくなったので、恐縮するチャーチャには気分を変えてもらおうと、お茶の用意を頼んだ。一方の私は、書きかけの手紙に取り掛かる。


 お茶を出し終えたチャーチャには、ウォード宛のお見舞いの手紙が届いていないか、確認してもらう。その間にも私は、カシウスとソアールへの手紙を書き終えた。そこにチャーチャが手紙を抱え、戻って来る。


 ヘッドバトラーが想像した通りで、ニュースペーパーに掲載されたウォードの事故を見て、沢山の貴族がお見舞いの手紙を届けてくれていた。合わせて花束も届いていたようで、メイド達が花を花瓶に飾り、ウォードの部屋へ続々届けているという。


 もうその後は大忙し。カシウスとソアール、両親への手紙を書き終えると、それはチャーチャに頼み、そのまま直接、ホテルと屋敷へ届けてもらった。さらに私自身もニュースペーパーに目を通し、そしてウォードの事故が実際より大袈裟に書かれていることに気が付く。これではみんな、ウォードが危篤だと思っている可能性もある。そこで実情をシンプルに伝え、かつお見舞いの御礼を書き添えた手紙を書くことになった。


 お見舞いで屋敷を訪問したいという申し出も多いが、本人は既に執務に戻っている状態。よってお見舞いは不要である旨も、手紙に加えることになった。こうして完成した手紙をワイリーとヘッドバトラーに見てもらうことにした。さらにお見舞いの手紙をくれた人、花を贈ってくれた人をリスト化し、そして届いた手紙と花束に添えられていたカードも整頓し、ウォードの所へ届けさせた。


 こうしていると、あっという間に時間が過ぎ、お昼になっている。


 忙しかった……。


 そう思うが、充実していたと思う。


 一番仰天してしまったのは……。

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