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変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~

ガラスの靴の悲劇 (変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~ 第39夜より)

作者: Ak_MoriMori

変な夢を見た。


  私は、神の視点で、今からお話しする寸劇を眺めていた。


  【登場人物】

   シンデラー      主人公        

   チョイヤク王子    王子

   ジュード       従者

   他 多勢           


  【舞台背景】

   シンデラーは、叔母の家に置いてもらっている少女。

   そのため、叔母の家族に逆らうことはできず、彼らの言いなりになってい

   る。心の中で彼らに復讐を誓うも、それは果たせずにいる・・・。

  

  【第一幕 概要】

   シンデラーは、今日も叔母とその娘にいびられていた。燃え盛る復讐心か

   ら、ついに、悪魔の書を手に入れることに成功した。

   今日は、お城で舞踏会が開かれる。叔母とその娘は着飾り、シンデラーに

   玉ねぎの皮むきを命じると、お城へと出かける。

   シンデラーは、玉ねぎの皮むきを途中でやめ、悪魔召喚を行った。


  【第二幕 概要】

   悪魔「リンカーン」が、シンデラーにより、呼び出された。

   リンカーンは、シンデラーの魂と引き換えに、シンデラーの復讐を手伝うこ

   とになった。

   リンカーンは、このように提案する。

  

  「ご主人様、まず、舞踏会に行きなさい。

   お召し物は、わたくしが用意しましょう。

   ご主人様の美貌があれば、必ずや、王子の心をわしづかみにできますよ。

   そうしたら、すぐに帰るのです。

   その時、わたくしが用意するガラスの靴を、わざと、片方だけ、脱ぎ捨てて

   きなさい。

   さすれば、王子がご主人様を見つけ出し、必ずや、にっくき叔母とその娘を

   手痛い目にあわせてくれましょう・・・。」


   シンデラーは、リンカーンが準備したドレスとガラスの靴を身に着けると、

   リンカーンと共に、お城へ向かったのだった。



  【第三幕】

  

  (開幕)

   

   お城の舞踏会の会場。多くの者たちが優雅にダンスを踊っている。その中に

   は、シンデラーの叔母とその娘の姿も見られる。


   チョイヤク王子(以下、王子)が、従者のジュードを引き連れて、下手より

   登場。王子、舞台を歩き回り、女性たちを一人ずつ眺める。


  (王子、ジュードに向かって)


   王子   「ちッ・・・。今日はしけていやがる・・・。

         いい女が、一人もいない・・・。」


   ジュード 「まあ、そう、おっしゃられずに・・・。」


   王子   「いや、ダメだ。私は、もう、引き上げる。」


   ジュード 「あッ! 王子!」


  (そのとき、シンデラー、上手より登場。舞台中央に駆けよる。

   その姿を、王子、眺めやる。)


   王子   「おお、可憐な方だ。あの方こそ、まさに私の求めていた女!

         ジュード! あのお方を私の元へお連れしろッ!」


   ジュード 「ハッ・・・。ただいま!」


  (ジュード、シンデラーの元へ駆けよる。

   そして、シンデラーを王子の元へと連れていく。

   シンデラー、うろたえながらも、心の中でつぶやく。)


   シンデラー「ウフフッ! カモが、ネギ背負しょってきた。来た、来たッ!」


  (シンデラー、王子の前で挨拶をする。王子、シンデラーの手を取り、その手

   にキスをする。)    


   王子   「おお・・・美しい方。私と踊って頂けませんか?」


   シンデラー「ええ、喜んで。」


  (シンデラーと王子、手をとって、舞台中央で踊り始める。

   シンデラーの叔母と娘、それを見て)


   叔母   「あのムスメ・・・シンデラーに似ているような気がするけ

         ど。」

  

   叔母の娘 「まさか、今ごろ、家で玉ねぎの皮をむいているはずよ。」


   叔母   「それもそうね・・・。」


  (シンデラー、踊りながら、叔母と叔母の娘に向かって、アカンベーをする。

   王子も、それを真似て、叔母と叔母の娘に向かって、アカンベーをする。)


   王子   「アハハハ、美しい方。あなたは、じつにキュートだ。」


   シンデラー「ありがとうございます。」


   王子   「ところで、この後も、私につきあって頂けるのかな?」


   シンデラー「光栄でございますが、残念ながら、わたくしは、もう、帰らな

         ければなりません。」


   王子   「いや、ダメだ。私は、あなたを離さない・・・。」


   シンデラー「申し訳ございません・・・。」


  (シンデラー、そう言うなり、王子を押しのけて、上手から退場。)


   王子   「ああ、美しい方。待っておくれ・・・!」


  (王子、あわてながら、上手に向かって走り、そのまま上手から退場。)


  (暗転)


  (舞台中央に急な階段が設置されている。てっぺんにシンデラーが現れ、階

   段を下り始める。

   そして、途中で止まると、ガラスの靴を片方脱ぎ捨てる。)


   シンデラー「よしッ! タネは・・・まいたぞッと!」

   

  (シンデラー、階段を下り終える。その時、王子が階段のてっぺんに登場。

   シンデラーは、急ぎ、上手から退場。)


   王子   「ああ・・・ああ・・・美しい方。まってくれー!」


  (王子、階段を下り始める。途中でガラスの靴を踏む・・・。)


   王子   「あっ! 今、何か踏んだ・・・。」


  (セリフが終わると同時に、階段を転げ落ちる。

   そのまま、下まで転げ落ち、ピクリとも動かない。

   しばらくたってから、仰向けになり、右腕を天に突き上げて・・・)


   王子   「ああ・・・ああ・・・目が・・・目が見えない。

         ああ・・・ああ・・・光が・・・光が見える・・・。

         ああ、美しい方。さようならです・・・。

         私は、今、天使たちと共に・・・。」


  (セリフが終わると同時に右腕を下ろし、王子、息絶える。

   ジュードが、階段のてっぺんに現れる。しばらく左右を見渡した後、階段の

   下に倒れている王子を見つけ、飛び上がる。)


   ジュード 「ああ、王子!」


  (ジュード、階段を下りる途中、ガラスの靴に気づき、それを手にする。

   王子の元に駆けより、王子が死んでいることを確認する。)


   ジュード 「王子っ、王子!

         ああ、ダメだ・・・。

         死んでいる。なんということだ・・・。」


  (ジュード、手に持つガラスの靴を見て、思案をしながら、あちこち歩き回

   る。やがて、舞台中央でガラスの靴を両手でかかげる。)


   ジュード 「これを履いていたものが、王子を殺害したのだ!

         明朝より、捜索を始め、見つけ出し次第、はりつけにしてくれよう

         ぞ!」

   

  (第三幕 閉幕)


そこで目が覚めた。


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