2話:コミュ障??な少女
えぇ~間に合わず。ほんまに、すんません。
数日後、俺は坂倉さんとカフェで会うことになった。ちなみに、凪は風邪をひいたらしい。何したんだか。ただ、昨日奇声あげてたからなぁ~。
「やぁ。ごめんごめん。遅れた。」
「あぁ、大丈夫ですよ。…それと、坂倉さん。貴方の腕に絡みついているこの女性の方は?」
「俺の後輩だ。ただ、初対面の人付き合いとかが苦手でな。」
「そういうことでしたか。坂倉さん。取り敢えず何か頼みませんか?」
「そうしよっか。」
会話をいったん切り落として坂倉さんと隣の…名前分かんないな。取り敢えずAさんにしとこ。Aさんも含めメニュー表に視線を移動した。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
張りつめてもないし、じゃあほんわかしてる?と言われたら答えづらい雰囲気が生まれたんだけど。う~ん、とりあえず店員よ…
「すいまーーーーー」
「じ~~~。」
「…すんません。まだ大丈夫です。」
「ムフ~。」
誰か!!通訳の方!!!この擬音の解読をお願いしますっ!!
「おう、いいか?幸助。」
「大丈夫ですよ。ちょうどいいんで聞きたいんですが、後輩さんの名前教えてくれません?さすがに名前もわからない状態で話を聞くのは大変なんで。」
「すまん、言い忘れてたな。この子は川合涼音。年は俺の一つ下の22歳。そして、スリーヘブンズをやめさせられた。」
「はぁ。」
「まぁ、なんでこんなに喋んねえかは、こいつ初対面の人に対して警戒心むき出しなんだよ。それと、俺がいた時もこいつ、俺としかコラボしてないし。何言えばいいんだ、高校時代の後輩だからずっとついてくるんだよなぁ。」
サイですか。じゃあ、仕方ないか。でも、何かこの日と裏が絶対あるんだよなぁ~。坂倉さんが話してる時だけ表情がすっげぇ百面相になってんだけどさ。
これ、何を意味してるのかが全然分かんないな。まぁ、気にしたら負けか。…おっ、来た来た。シフォンケーキとコーヒー。これがまた、絶品なんだよなぁ~。ほんのりとしたシフォンケーキにミルクを入れたコーヒーに合うんだよ。
坂倉さんは、おぉ~紅茶にロールケーキ。いいですね!!一方で川合さんはキャラメルラテにガトーショコラを口いっぱいに入れて微笑ましく食べている。
「うん、ここの店はいいなぁ、窓から見える風景とかもよ。」
「そうですね。ここは、結構俺が息抜きするときによく来てたんですよ。」
「…そう、なんだ。」
「はい、ここは…って、喋った!?!?」
「ムッ、何か…失礼過ぎない?私、仮にも、年上。」
あ~、なんかすみません。でもさ、今まで喋らずに百面相で意図を汲み取ろうって問題なら、まず初対面にはキラーパスだよ。それ。あと、川合さん。本当に……コミュ障なんですかね?
そんな彼女は、坂倉さんと話しながらケーキを頬張っていた。
それから、食べ終わり、飲み物を飲みながら窓からさす太陽を浴びる花を眺めていると坂倉さんが口を小さく開けた。
「あぁ、すまんな幸助。完全に置き去りにしてたわ。」
「別に大丈夫ですよ。ですけど、坂倉さん。そろそろ本題に移りましょうか。」
「だな。それじゃあ…花助丸さん、私、涼音、そして星宮さんを含めた4人でグループを作りませんか?」
その日の雲一つない快晴にあふれる木漏れ日が目の奥にある水晶体に差し込まれていく。