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ハレは始まりの合図  作者: まっきよ
7/9

ハレ両成敗?ハレ落ちどころ

えー、先ほど眼鏡魔にケータイを取り上げられた湊です。絶賛暇を持て余しております。


それというのもあのうざったらしい眼鏡魔、そして休み時間にもかかわらず、通話アプリで話しかけてきたはぐれSときたらもう許せん。


そもそも、電子書籍すら許されないのかこの学校は、マジで学校前の銅像とか尊くないからな、ツルツルだからな。


そんな校則作った奴は、ヅラと利便性をどっかにおいてきてる痴呆症だわ。


そのようなわけで、教室で一人寂しいわけではなのだが、この教室に何やら近づいてきたようだ。


お、ノックするのか、律儀だなってお前ははぐれSじゃないか。


何でわざわざこの教室に?いや待てよ、さっきの女子たちの遭遇の時はたいして何もなかっただろ。


もしかすると、あいつもあの眼鏡に何か取られたんじゃないか。そうだ、そうに違いない。


やったぞ。気分が上場企業並の成長率だ。お前としたことがな、こうやって他人のケータイに嫌がらせなんてしてな、ほんと、五千円札に謝れ。


あれか、他人の不幸は蜜の味ってやつか。クマの気持ちがわかる気がする。うん、こうなることはわかっていたのだ。性格乙。


そんなこと考えていたら、何やら不機嫌なSがもう目の前にいるではないか。殺されるかな?


少し腰が引けるような感じで、港は構える。すると、桜庭さんはにっこり笑って




「あなた、さっきうちの担任にケータイ没収されてなかったかしら?隣のクラスで先生の話し声が聞こえて、確かさっき戻ってきたときに教室に縮こまっていたのはどなたでしたっけ?」チラッ




などと普通に教室にいたともいわず、寂しそうな表情でもなく嬉々としていう桜庭に、港は思わず、




「訂正しろ、俺は寂しくここにいたわけじゃないし、あまりにもみんながだらだらしてるから先に来てただけだからな。体力有り余ってるし!優等生なの!大体お前こそ俺に小言言いやがって、だから三鶴木にケータイとられたんじゃないのか?」


とこれまた口調を崩して反論する。すると桜庭は、




「え?私は別に没収されてないわよ。先生に、母から電話があったのでって言ったら、気をつけろとしか言われなかったわよ。

もしかして、あなたは相当な悪事をしていて、私と違って信頼関係がなかったのかしら?

それならあなただけ没収されたのも納得できるわね。しかも、あなた一人しかいないから教室はがらんどうですぐ見つかるわね。

そもそも、自分で優等生って言ってしまうのは、かなり恥ずかしくてよ。だから、あなたの口調もケータイもボロボロなのよ。」




これを聞いた湊は、「あ、そう。」と干からびたようになっていた。


マジで何なんだあいつ、しかも僕の口調とケータイがボロボロだと!まあ、口調に関しては何も言えない悔しいけど。


だけどケータイもって何だ?あいつ見たのか?もしや、先に注意されたのはあっちで、それを見越したあいつに没収の決定的瞬間を見られていたとでもいうのか?恥ずか死ぬわ。


そんなこんなで、自分が一方的に不幸になっていたことに、思わず教室の隅にでも縮こまりたくなったが、クラスの奴らに笑われそうなのでそれはやめといた。


しかし、まだ体育の一限終わりだぞ、先が思いやられる。もうあいつ怖い。




そうしてこうしてやっと放課後になった。豆腐メンタル湊はよく乗り切った。


途中授業で当てられても、昼休みなぜか弁当がのどを通らなくても、港はやり切った気持ちを感じていた。


ケータイもなんとか今日中に帰してもらえた。三鶴木にしては聞き分けがいいな。


そして、自分のテリトリーである自宅に戻ろうかというときに、「あ、いたいた、春巻くん。」とそこにはクラス委員の三上さんが立っていた。




「今日さ、臨時の委員会があるんだって、それで、申し訳ないんだけどお願いしてもいいかな。」




上目遣いでお願いしてくる三上さんに湊は思わず、「マジかよ...」と言葉を漏らす。


多分、相手が三上さんでなければ、「今日さ、ムカつくことがあったんだ。申し訳なくても殴るわ。」くらいのことはしていた湊は、「うん、いいよ。」といって、集まりに行くためにふらふらと移動する。


三上さんはその集まりに行けないとはいえ、心配な表情で湊を見送るのだった。




そして委員会の集まり、そこには憎き桜庭の姿はなかった。おもわずほっとする湊。


そこからの仕事は中々に快活だった。臨時の集まりであったためやることが少なかったのだ。


先輩たちはもちろん、あいつではない隣のクラス委員、つまり男の奴も割と働いてくれていたはずだ。


解散をして、やっと下校に追いつけた。そこからは湊は走って帰った。


ろくに弁当も食べれなかったのに、無理して走っているようで呼吸は荒いし、汗も多くかいている。


そのまま、何も考えず玄関のドアを開けたので、玄関にいた麗夢を勢い余って押し倒してしまった。


そこで何となく力が途切れた湊はどうやら気を失ってしまったようだ。妹の麗夢は、起き上がろうとして湊の顔が目の前にあったので、ふぇ?となってえええええええーーー?と大きな声を上げると、「仕方ないもんね」といって、目をつぶる。


そしてそのまま湊の顔を持ち上げて、自分の顔に近づけようとして所を母親に見つかって、即座に、「兄が疲れて急に倒れたらしいから人工呼吸」と一人慌てる様子だったのを湊は知らない。


そのあと、二時間後くらいに湊は目を覚まし、通知が三件あるのに気付いた。


一つは、母親からご飯をきちんと食べておきなさいということだった。確かに食べれていなかったと湊は心の中で反省するのであった。


二つ目は、妹からで、「急に倒れてきて恥ずかしかったんだから、べー。」と体当たりについて怒っているのか、論点はそこなのかと湊は悩む悩んで、今度詫びに何か買ってあげようと思うのだった。


そして、三つめはあのはぐれSだった。この送り主を見たとき、港は寝起き早々いやな顔をした。その内容は、「今回は言い過ぎたわ、あなたの豆腐メンタルを鑑みて一応の心配をしておくわ。できる人っていうのは他人のカバーも忘れないものよね。」と明らかに挑発しているような文章だった。


そんな文章に、湊はまだ疲れが残っているのか、「あいつらしい一番の迷惑メールだな。」とあきれ返るのだった。














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