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ハレは始まりの合図  作者: まっきよ
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ハレ図書会話

図書委員の鴨新さんを発見した湊は、狭い車内の中、何とか距離を縮め、早速話しかけるのであった。


「いや、久しぶりだね、鴨新さん。最近も小説読んでる?僕は昆虫図鑑しか読んでないな。虫克服するために、早く違うジャンルが読みたいんだ。」


そういうと、鴨新さんは、手を口に当てて「うふふ。」と上品に笑いました。


あー、これだよこれ、あいつにはできないやつですわー、いや、やってもただの口の悪いマダムだわあいつがやると。


「春巻くんは全くお茶目ななんですから。


虫は確かに苦手方がいらっしゃると思いますが、そうやって毛嫌いするように図鑑を眺めても実態に触れなければ克服なんてできませんよ。


私はその、風流を感じる虫、鈴虫、蝉などは関連づけて好きだったりしますよ。


だから、アニメでも小説でもいいので、自分が読んでいる本、付箋のところからでもいいから頑張って探してみてください。


流れ行くストーリーに気になるキャラ、焦らずゆっくり思い出してあげてください。」


少しふざけてしまった僕にこのような言葉をかけてくれるこの人はなんて徳を積んでる方なんだ!


しかも、萌音さんらしいのがすとーりーやら、気になるキャラ、付箋を貼るような本て、もう小説って言ってるようなものですよって。


確かに、萌音さん推理小説好きだからなー。


言い回しがもうそれ、思い出しては推理してだね。(隠語)


萌音さんに虫克服アドバイス及び、小説アドバイスありがとうございます。


推理小説は難しいけれども、時間があったら読ませてもらいます。


虫の図鑑は妹の部屋にこっそり仕舞っておこう。


僕の中で、不況の波が回復していったのでバイブスももちろん上がっていく。


あれ?バイブスだと反比例な気もするが、もうわからん。


萌音さんに別れを告げ、図書室を出る。


図書室ではなかった。電車を出る。


もうダメだわ。浸っていたわ。学校という名のあいつのテリトリーに戻りたくない。


あぁ、なんで僕は図書委員にならなかったのだろう。


確かに、バイトはしているけども、面白くもないコンビニの店員だし、給料目当てしかないだろホント。


横浜は確か、最低賃金が1,200円だったような…うちもっと上げろや。


いかんいかん、僕は萌音さんに相応しいような図書友になるんだ。


こんなところで足を痛めてる場合じゃない、クソ、あの車内で俺の足がソーセージの腸詰めぐらい圧を受けてたはずだ。


隣の加齢臭のおっさん、臭いより、鞄パタパタするのやめろ、居心地悪いのも暑いのも分かるが。


俺の足に当たるし、なんならワイヤレスのやつマジムカつく、あいつらは割と害悪になってきた。


周りを気にしないランキング第1位だからな奴ら。


そうして、痺れる足をアスファルトに踏みとどまる湊だが、歩くたびに痺れた痛みが発生する。


なんとか、学校には着いた。階段がキツかった。先生はいなかった。


朝の通話心痛、膝の痺れ痛を患った湊は、机に突っ伏した。


体が座ることを求めていた。これで、1時間目体育ならもう怒るところだったが、体育だった。


くそがぁぁぁぁぁぁぁぉぁぉぁぉぁぉぁ!





体育という実技科目は、正直やる意味を見出せない。


サッカーなぞ子供の遊び、バレーなぞ身体的不利。


バスケなぞ技術が物を言う。野球はバント。


授業らしきものは全てスポーツだったというオチに本でも読んでいたい本音を押し殺して湊はマラソンをするのであった。


そして、体育が少し早めに終わり、自分も早めに教室に戻る。早く着替えて本を読みたい。


そう言って、今は手持ちに亡き紙媒体に代わり電子媒体を読む湊。


いやー、紙媒体ないのは焦ったよー耄碌したかな。


でもね、この学校で電子書籍読む背徳感ときたらね。


もうね、学校なんておれの家。庭なんて言わせない。


小説探そうはマジでいいサイトだよ。実は萌音さんも使っているらしい。


今は時代だからね、paperless World OK?


根絶はしてないけど、電子書籍寄りが増えてる。


家では紙だけど、手間暇とかじゃないからな。


そうして電子書籍を読んでいると、どうやら女子が僕の教室を通過するように戻ってきたらしい。


ニクラス合同なのか、はぐれSもいた。


大分、息が上がってるように見えるが、あいつ苦手なのか?


あんなに、キレキレなのに態度は。


冗談を返してくるようなドSではあるが、Mなのか?


不覚にも2秒くらい見てしまった。そして、目線を、元に戻す。


なんか後で女子ならこっち見てたんだけだ〜とかなったらやだわ、風評被害じゃん。


そういうの良くないと思うなー、フェイクニュースやってる奴くらい良くないと思うなー、悪・即・干。


電子書籍を見てたら、Sから通知が。




「あなた、女子を見比べてたわよね?」


「そんなことしてないで、「たけくらべ」でも読んだら?」


「淡い物語はあなたの軽口とは違っていい意味で淡いのだから。」





なんか、電子書籍読んでたら、スッゲードンピシャで言われたような気がする。怖いわ×2。


見比べてはないし、そっちが勝手にいただけで。帰って胸糞悪いです。


僕の口は軽口じゃない。「たけくらべ」って5000円札のだろ?確かに読んでないな。


いや、まてよ。僕は萌音さんから啓示を頂いたのだ。


だから、推理小説から情景や風流を感じて虫の存在を改めなければいけないのだ。


なのに、何故、「たけくらべ」が気になってしまうんだ。


クソッ、5000円札の力はこういうことなのか、偉大だ。


この上が、「学問のすゝめ」になるのか。学問はやだな。うん。


あーでもなー、どっちも読みたい、読みたいーどっちm…。


「お前なんで携帯使ってるんだ?」


三鶴城、お前は黙っt、うわぁぉぁぉぁぉぁぉ!


見事に携帯を没収されて、途方にくれる湊であった。






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