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サイドアーム  作者: 闇鍋太郎
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第四戦期 左腕と過去

その日ラックスは自店で近距離用弾道落下計測機能付き光学サイトを入手し、知り合いのテクノロジーアームを営んでいる人物に交渉を持ちかけていた。

「そう、お固くなんなよ旦那ぁ」

「てめぇに旦那なんて言われると寒気がして夜も眠れねぇよ」

「いいじゃないいですかぁ腕の一本や二本ただで頼みますよぉ」

「普段の俺なら本当に困っているやつがいたらたしかにただにする場面だな。でもよぉ、今回は状況が違うんだよ。いいかラックス、もしお前が腕のいい義手屋で」

「腕のいい?」

「うむ、てめぇに何発か食らわす話は置いといてだ。そいでもっていきなり昔からの友人から、俺、敵の女と組んで政府ぶっ潰すことにしたからさ、その女に腕付けてくんね?もちろんただで...って言われたらどうするよ」

「え?引き受ける?」

「お前の頭はいつでもお花畑だな、水の代わりに機械油指してやるよ」

「やめてくれぇ」

「いくら古くからの友人と言っても引き受けられない仕事もあるんだよ」

「そこをなんとか頼むよだんなぁ」

「だから旦那はやめろ、それにその女はお前にとって本当に信用していいのか?いつ背後から殺られるかわからないぞ?」

ラックスは少し考えたが

「ありえないね」

と返した。

「あいつの目は人間の目じゃないね、何かに支配され貪られていた目だ、そんな気がする」

「じゃあ尚更危険じゃないか」

「だけどな、面白いことに俺があいつのある質問に答えたときそいつの目の色が一瞬だが変わった、そこで察したよ。俺はおそらくあいつを変えるための何かであいつもその何かを知っている。過去の記憶やトラウマからの束縛から逃げ出したいのだとあいつが考えているなら俺は絶対に殺られない。お前もな」

長い沈黙が続く。

「それで?」

「?」

「それでどんな腕がいい?長さは?強度は?戦闘用に軽量化するのか?内蔵武器を仕込むのか?どうするんだ?」

「ありがとう、やっぱりお前は頼りになるなレックス」

「ちげぇよ、ただ借りを返しただけだ」

「そうか、まぁなんでもいい、協力感謝する。」

そんなわけでラックスはシャーリーの義手を無事手に入れることができた。



一方シャーリーは愛用武器、この時代には珍しい「弓」を作っていた。

シャーリーの家はもともと猟師で野生動物とともに過ごしてきたと言っても過言ではない。

彼女の弓技術は群を抜いている。

静止している目標なら150mまで、移動している標的でも風速5m未満で障害物さえなければ80mは狙えるという。

彼女が教官に銃ではなく弓を使うと言って承諾してもらったのは他の何でもない彼女の実力だった。

薄々ラックスも気がついていたが彼女には大きな特徴があった。

彼女は嗅覚が人間離れしているということだ。

狩猟時代は持ち前の嗅覚を使い獲物の風下に常に位置し絶対に気づかれなかったらしい。

そんな彼女にとって戦争という人殺しごっこは目標は多いものも的が大きくなって移動も遅ければ気づかれる可能性が低いという生ぬるいものであった。

そう、あの日までは。

あの日彼女は重大なミスをおかした。

彼女は基本的に嗅覚とエコーロケーションを使って索敵する。

エコーロケーションというのはイルカやコウモリといった動物が人間には聞こえない周波数の超音波を出し反射させたものを自身の耳で受け取ることで障害物、標的間の距離を測るという生態である。

foxの戦闘員が標準で装備している無線機のみで聞き取ることができる超音波を特殊矢で出すというエコーロケーションそのままの原理を応用した新しい索敵方法だった。

彼女は特別前線派遣班の指揮官として本軍とは5キロほど離れた先で活動していた。

その日彼女は特殊矢、今回の場合索敵矢を射出した際敵信号を受信しなかったためそのまま部隊を進軍させた。

彼女は一歩踏み込んで異様な匂いに気づいたが違法ドラッグのもととなる植物が生えていたため、気に留めなかった。

とてつもなく大きな音が聞こえたのはわずかだった。

猛烈な熱風と無数の金属球体が隊員たちの身体を脅かした。

そう、百数十年前の大戦から使われてきた非常に強力なトラップ、地雷である。

違法ドラッグのもととなる植物のような匂いはシャーリーの嗅覚を知ったmexが地雷の設置に気づかれないように撒いたものであった。

当たり前だが地雷が起動すると近くに潜伏している捕獲部隊が襲いに来る。

そんな中地雷の起動で二人が即死、二人が両足を失い出血多量で死亡。

シャーリーの相棒は片腕が吹き飛んだシャーリーを周辺の草むらに隠し、少しの応急措置をした後、シャーリーを隠していることを悟らせないようにするため、一人で前線に突撃した。

彼女はその後しばらく経ってから目を覚まし、自分の片腕がないことに気づき数歩歩いた後再び気を失い、谷のそこへ落ちていき、谷底の川に流されて、ラックスに介抱されたということだった。



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