第二戦記 敵との交渉
「いいか、よく聞け!我々が強力な兵器を持ったmexに勝つために必要なのは我が惑星の開発した{亜空間転移装置}通称SMAを使いこなすことだ!」
教官は喋り続けている
「SMAは我が惑星の発見した{マイナスの世界}に一時的に自身の体、銃弾、投擲物、兵器を転移させるものだ。この{マイナスの世界}は亜空間と呼ばれ、基本的にすべての物質物体を転移させることが可能だが、今我々がいる{プラスの世界}に引かれ、13.4秒を超えた時点でプラスとマイナスが打ち消し合い原子核ごと消滅する。消滅した物体はどこに運ばれていくのかはまだ不明だが7年前にこの技術が発達したことで我々foxは連勝を重ね......」
「なんだ夢か」
私はつぶやいてみる。
「どうした?なんか思い出したか?」
ラックスは訪ねてくるが正直何も話したくない気分だった。
「なぁ、お前はfoxのせいで家族や友人が死んだりしたか?」
「...」
思い沈黙が続く。
「俺のおふくろが主要都市の市場に出かけていったら二度と帰ってこなかったな。それが本当にfoxのせいなのかは知らない。ただ、あの日、主要都市にはfoxの部隊が乗り込んできたと聞いた。治安保護予備軍が制圧を阻止したと聞いたがあまりにも損害が大きかったみたいでな、今ではもう人っ子一人いねぇらしぞ」
もう一度沈黙が続く。
「私を、恨んでるか?」
「俺のおふくろはうるさかったからな。いなくなったはいなくなったで良かったんだが...悲しいな、二度とおふくろのスープが食べれなくなっちまった」
ラックスはテーブルの上に置いてある冷めたスープへと涙をこぼした。
「そうか」
悪かったという言葉を私は出したかったがどうにも出てきそうになかった。
だって、私も。
彼に言いたかったのかもしれない。
なぜこんなことになってしまったのか。
なぜ数少ない女兵士になることを望んだのか。
理由や成り立ちを誰かに言いたかったのかもしれない。
でも、誰もいなかった。
そんな過去を思い出した。
「なぁ、なんで俺達はこんなクソ寒いとこで惨めに冷めたスープをすすってるんだろうな?戦争なんかなけりゃ俺達は平和だった。前に焼き払われた俺の家で保温機能のある倉庫に蓄えてる温かいスープを飲みながらお前と楽しく談笑もできたはずだ!なのに」
ラックスは静かに主張した
「なんで、、、か」
私も口を開く。
事の発端は約9年前。
我々人類は第三次世界大戦が終わったあと平和に暮らしていた。
人種的、性別的差別はなくなり、世界共通言語が開発され、世界が一つの国となりかけていた。
しかしある日とある宇宙開発機構がfox,mexといった惑星へと人類を移住させる計画が始まった。
実際問題地球はもう限界だった。
温暖化が進み真夏の平均気温は60度。
生態系が破壊され多くの動植物が絶滅。
新型ウイルスの蔓延でアフリカ全土は汚染区域となった。
唯一変わったのは人が人と戦わないという考え方が広まっただけだった。
そんななか他惑星の移住計画に賛同した地球人は少なくなかった。
彼らは自分の住みたい星を決め各々が未開拓の土地を開拓していった。
シャーリーの家族もそうだった。
しかし9年前に酸素不足に苦しむmexの開拓総督が近くにあるfoxの一部植物の移植を依頼した。
が、foxの植物生態系は限界でこれ以上破壊したら地球の二の舞いになると考えたfox開拓総督はこの依頼を拒否した。
そこでどうしても酸素が必要なmexの民間人複数が無断でfoxへと侵入。foxが民間人を拘束するとmexの総督が人権を守らない非道徳的な行為と批判し、武器を持って戦い始めた。
ラックスが静かに口を開く。
「俺はmexの政府が嫌いだ」
思いがけない言葉が出てきた。
「いや違うな、ここらに住んでるやつはみんな政府を嫌ってる。実は俺達の家が焼き払われたのは政府のせいだ。」
「え?」
なぜ?
「俺達の家は貧乏だからな、一番危険なS14地区に住んでたんだよ。だけどな、一番攻められやすい、逆に言えば迎撃しやすいS14地区すべての家に強制退出令状を出してそこを重要拠点にしたんだ。今じゃさぞかし立派な基地が建ってるだろうよ」
「そう、なのか」
「俺は政府が嫌いだ。お前もさぞかしmexが嫌いだろうよ。顔を見ればわかる。そこでだ、俺と手を組まないか?」
「え?」