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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第4章 トゥーカ奪還編
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97話 再びトゥーカへ

「くうう、とんでもない爆発だったな……」

「よく生きてましたよ今ので……というか成功したんでしょうか……?」

「マップでは目的のトゥーカ城より結構離れてしまっては居るが、移動自体は成功したようだ!」

「おおお! すごい!! 技術の進歩ですね!!」

「にしてもここはどこでしょう……誰かの魔力に引っ張られたんですかね……」

「なんか花がいっぱい生えてて凄く平和そうな所だな……。紛争中とは思えない……」

「おや……凄い音がしたと思ったら君達かね。一体どうやってここへきたんだい?」


「え、レッド!!」

「ふふ……こんな所で二人に会えるなんて……運命を感じるよ!!」

「レッド……なんでこんな所に……?」

「学園での仕事、長期休暇を頂いてね……私の別荘で休暇を楽しんでいたところだよ。流石に退屈になってきたがね……」

「いや! こんな所で話してる場合じゃないんだ! 行くぞネビア!」

「あっ君達少し待ちたまえ……」


 レッドには構ってられない! ここをまっすぐ行けばトゥーカ城に着くはずだ! 急いでいかないと……! 


「やぁおかえり」

「は!? あれ!? 最初の場所……?」

「ここは私の秘密の場所でね。しかるべき手順を踏まなければ入る事も出る事も出来ないよ」

「なんだよそれ早く言えよな!」

「君達が話も聞かずに先に行ったのだろう……」

「出る方法を教えてくれ!!」

「うーん……どうしようかね?」

「急いでるんだ! 頼むよ……!」


・・・


「わかった。どうやら本気で急いでるようだし、イジワルは止めよう。ただ、何故そんなに急いでいるのかだけ嘘偽り無く! 私に教えるのだ!」


 そんな説明の時間も惜しいと思ったが、別に言っても支障は無い事だ。事の顛末を全て話す事にした。


「ほう……3大勢力である風魔一味を倒したのは君達だったのか……。素晴らしいじゃないか!」


 レッドは俺達に軽い拍手をした。


「しかし、外がそこまで荒れているとは知らなかったね……」


 レッドは少し考え込む様な仕草をした。


「なぁ。もうちゃんと説明したからいいだろ?」

「よし! 私も同行しよう!」

「は?」


 一瞬何を言っているのか理解が出来なかったが、同行何て嫌な予感しかしない。


「いやいや、同行してどうするの? 邪魔でもするのか……?」

「何を言っているのだ! 共にその残りの2大勢力を潰そうじゃないか!」


「は……? いやちょっと意味がわからない……トゥーカを救うのを手伝うってのか? だってお前……!」


 俺はつい言ってはいけない言葉を口にする所だった。堕天使の癖に何故……? という言葉を……。


「えっと、なんで手伝ってくれるんですか?」

「ふむ……理由なんて無いよ。強いて言うならばここでの休暇が飽きてきたって所だろうか?」

「そ、そうですか」

「それにだ。自分が間違っていると感じたものは正しく直すべきだろう? その賊共は私が思うに間違いの塊なのだよ。まぁそれが理由になると言えばなるかね」

「そう、だな……」


 これ以上はやめてくれ、俺はお前を殺さないといけないんだぞ……? 極悪人で居てくれよ……。

 自然と拳に力が入った。ネビアはそっと俺の拳に触れ小さく囁いた。


「どっちにしろ、手伝ってくれるならこの場は非常に助かります。殺すチャンスも出来るかもしれません……」

「そ、そうだな……」


 ネビアよ、お前に迷いは無いのか……? それとも隠しているだけなのか……? 最近たまにネビア(自分)が分からなくなるな……。


「わかりました。行きましょう!」

「では話は決まった! 私について来い!」


・・・


「すんなり出れましたね……」

「私が居るから当たり前だろう。ではトゥーカ城へ向かうぞ」


 そうして、俺とネビア、レッドという正直考えられない組み合わせで城へ向かう事となった。本当にレッドは何を考えているのかまったく分からない……。


「フィアンさんっ、あんな変態と一緒に居て大丈夫なんですかっ?」

「そうだな……変態が感染したらごめんな、ルーネ……」

「まぁフィアンさんなら……!」


 そんな会話で自分を落ち着けつつ、急ぎ足で向かって行く……。


 以前、俺達が通ってきた時に比べて、状況が変わっているのは城へいくまでの道で体感できた。まず、舗装されて綺麗だった道は傷だらけになっており、まったく人の通りが無く、やけに静かだ。そして、時より遠くの方で爆発するような音が聞こえたり煙が立っていたりする。

 この惨状も俺達が一枚噛んでいると思うと、胸が張り裂けそうになった。


「さて、着いたぞ! 私はここら辺で時間を潰しておくから領主へは二人で会いに行くのだ」

「一緒に来ないんですか?」

「ああ。何かと絡まれると面倒なのでね。ではまた後で会おう!」


 そういってレッドはどこかへ行ってしまった。


「じゃぁとりあえず領主の所に行こうか……」


 倒すべき相手と一緒に居るのが凄く変な感じだ。正直、あまり居心地は良くないな。悪い奴じゃない気がするってのが逆にしんどい状況だ。複雑な気分だな……。

 とりあえず気分を変えて、初めてちゃんと来たトゥーカの城下町を目で堪能しよう。どんな国なのか? どういう人たちが住んでいるのか? 実際に来なければ分からない事は多いはずだ。

 しかし、現状ではかなり貧しい国に見える。話を聞くと、村や町を襲撃され、帰る場所を無くした人達、家族を亡くした人、そういう人達もこの城下町へと避難してきているようだ。何と言うか……負のオーラで満ちてしまっている。そして声を揃えて皆が言う、「3大勢力で均衡を保たれていた方がまだましだった」という言葉……俺の胸に深く突き刺さる……。

 あの時は、いい事をしたなーとか、この国が平和に近づいたんじゃないか? とか自分勝手な事ばかりを思っていたし、次来た時はどうなっているかなって楽しみにしていた。でも実際はこの状況だ……。

 いかん、またブルーになってきたこれから領主に会うというんだ。しゃきっとせねば。


「フィアンさんっ!」

「お、ルーネ」

「フィアンさんがやった事は何一つ間違ってないですよっ!」

「え……?」

「だって、3大悪者の一つを倒したんですよ? それのどこが間違った事なんですか?」

「いや、でもこの惨状だぜ……? 俺達のせいでさ」

「結局、遅かれ早かれ3大勢力での大きなぶつかりは絶対いつか発生してましたよっ! 絶対に平和になる為の第一歩を踏み出してます! 今は我慢の時なんです……!」

「そうですよフィアン。僕も同じような事を考えてましたけど、結局やる事は決まっています。残りの2大勢力を倒すって事です」

「そうだな……! ありがとうな。ちょっと元気でたよ」


 ルーネの言葉には本当に救われる。何を考えても仕方が無い。この惨状を終わらせる為に思いつく事は残りの2大勢力も無くす! それだけだ。

 しかし今回の事で勉強にもなった……中途半端に絡む事で余計に状況が悪化してしまう事があると言う事。3大勢力って事は知らなかったとは言え、肝に銘じておこう。絡むなら全力で最後まで……だ!

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