92話 決勝戦!
「まじで疲れた……魔力が殆ど残ってねーや。これ、ちょっとの休憩はあるとはいえハードなスケジュールだよな……」
「ですねー。ヒーリングで回復はしてるとは言え、闘気と魔力はそこまで回復しないですからね……」
「テーネが回復してあげたいけど……さっきので疲れて……無理」
「お疲れ様ですフィアンさん! かっこよかったですよ!」
「おう、ありがとう!」
ルーネちゃんの声は本当に癒される……。疲れも吹き飛ぶってもんだ。
「にしてもさ、アリシアって奴最後に、[堕天衣・彩花]って言ってたよな……?」
「はい。間違いなく言ってたと思います」
「てことは多分、堕天使って事だよなあいつも……」
「ほぼ間違いないでしょうね。しかもそのアリシアが、レッドの言う事を素直に聞いていましたよね……。単純にレッドの方が格上と想像ができますね」
「そうだな。堕天衣に対抗できる術は、俺達にあるのだろうか……」
「今のままでは難しいでしょうね……。纏を使った状態でもアリシアにすら勝てる気がしませんでした……」
「堕天使……化け物級の強さの奴ばかりだな……!」
「準決勝、第4試合!! 間もなく始まるぞ! 選手は準備をしてくれ!」
「あ! 俺達だ。行くぞ」
もう他の試合終わったのか……いや、考え込んでいたせいか。とにかく目の前の試合に集中しよう。
・・・
「勝者!! 1番! その強さ圧倒的だ!」
「うむ、さっきの戦いのせいで加減がよく分からなくなってるな……」
「いや、まぁすぐにおわるならいいんじゃないですかね」
準決勝だが、観客からすればまったく見ごたえの無い物だっただろう……。アリシアの時と同様、開幕でファイヤエクスプロージョンを撃ってもらい、突撃する予定だったが、爆発が見事命中し、そのまま終わりとなった。
・・・
「さーて! いよいよ! 決勝戦の時間が近づいているぞ! この時間で改めて人物紹介だ!」
「まず1番! 今回初出場! 突如現れた最強の2人! 伝説とも言われる属性! 光と闇をそれぞれ操る! 光の剣士フィアンと闇の魔法士ネビアだ!」
喝采が凄い! でも、なんだか恥ずかしい紹介だな……。今更だけど、こんな盛大に光と闇を使えるってバレても大丈夫なんだろうか……。
「ちなみに光と闇属性は私、初めてしっかりと目にさせていただき、感動しております! 決勝戦でもその技を見ることは出来るか!?」
期待されているが、多分使わないだろうな。相手は誰なんだろう? ずっとフードを被っているから顔が見えないんだよな……。
「次の紹介は15番! 圧倒的防御力を誇り、後方には一切ダメージを漏らさない絶対防御! モトゥル! 繊細さが要求されるエンチャント魔法に特化し、魔法も使えるカレナ!」
「ひさしぶりじゃのう! かなり成長したな!!」
「モトゥルさんとカレナさん! こんな所でお会いするとは!」
「一応わしらもここの学生じゃからな!!」
「では! そろそろ時間ですので、両チーム結界内へ!」
「あの時でも相当な力を感じたが……今は逆に感じ取れないほどに上に行っているな……」
「感じ取れない……そんな事あるんですね!」
「あるともさ! だから、力があまり見えない奴は相当弱いやつって事もあればその逆もある。気をつけるんじゃぞ!」
「ありがとう! 為になります!」
「では……! 決勝戦!! スターートだあああああ!!」
鐘の大きさがいつもより大きく感じだ。モトゥル相手でも関係ない! まずは爆発だ!
(ネビア)――ファイヤエクスプロージョン!
先に後方のカレナを狙い爆発させた。あっちが落ちさえすればモトゥルの防御も減るだろう! そのまま俺はモトゥルに斬り込んだ。
(モトゥル)~~ディフェンスオーラ
自身と自身の近くに居る仲間に対して、闘気の防御膜を貼る。
――キンッ!!
「うわ……硬いな!」
「なめちゃ行かんぞ!」
(モトゥル)~~インパクト!
モトゥルはインパクトを放ち俺は吹き飛ばされた。ダメージは無いが、吹き飛ばす力は半端無いな……。
するとそのままモトゥルは突然炎に包まれ始めた。
「フィアン! カレナにダメージが無いようです!」
「なにっ!」
(モトゥル)~~ウォールアタック!!
火だるま状態のモトゥルが俺に突っ込んできた。とりあえず受けきる!
俺は剣を前に出し、防御の構えをとった。
「これは……! フィアン避けた方がいいです!!」
「遅いぞい!!」
モトゥルが当たった瞬間重い衝撃とともに、凄まじい爆発が起きた。
俺は思いっきり壁に叩きつけられ、丸焦げになったようだ……やばい、意識が遠く……。
「フィアンさん!!」
(ルーネ)――光精霊のささやき
「はっ! あぶねえ……!」
ルーネが飛び出し、速攻で俺を全快にしてくれた。相変わらず凄い魔法だ……。
「ルーネ! ありがとう!! 助かったよ!」
「ふう……心配掛けさせないで下さい!」
「凄い技だな……。ソードエクスプロージョンを全身でやった感じか。爆発も威力も大きい」
「これで決まらんとわ! つらいのう!」
「モトゥル……もう一回かけるね」
~~オーラ・ファイヤバースト
全身に炎を纏う。闘気と馴染み、何かに触れると大爆発を起こす。
「なるほど……あの炎はカレナの魔法だったのか……」
「何故無傷なのか気になるとこだが……」
「もいっちょ行くぞ!」
「流石に次は当たらない!」
(ネビア)――ファイヤピラー
炎の柱を生成する。
「うお!?」
ネビアは走り始める前のモトゥルに対し、ファイヤピラーを放った。するとファイヤピラーの炎の柱に飲み込まれ大爆発し、モトゥルは自身にダメージを受けてしまった。
「モトゥル!?」
(フィアン)――ブレードブラスト!!
「あっ――!」
モトゥルの爆発を確認できたと同時に、カレナにブレードブラストを突き刺し、そのまま二人とも光に包まれ退場となった。
「おーーっと! 勝敗が決した!! 勝者は1番!! ! フィアンとネビアだ!!」
決勝戦も無事に終了した。俺達は無事に優勝することが出来た。