86話 学生生活中
俺たちは冒険者ギルドへ赴き、早速受付にてメッセージが届いてないかを念のために確認した後、依頼ボードを見に来た。
「メッセージは届いてませんね」
「しっかりと依頼内容を見たこと無かったけど、どんな依頼があるんだろうな」
まじまじと確認したが、本当に幅広くなんでもある……と言う感じだ。大体想像していたような感じだが。
「やっぱり討伐系がいいよな……探し物とか面倒だしな……」
「そうですねー。でも納品系は相性がいいかもしれませんよ? デバシーにかなり収納出来ますからね」
「たしかに。素材とかはしっかりと拾い集めた方がいいか……。鉱石とか採掘方法を調べて、取るようにしましょう!」
「そうですね……お、これ、持ってる奴かもしれないです!」
ネビアが指を刺したのは、瘴気に満ちた木片を3つ以上納品と言う内容だった。
「こんな物持ってたかな……?」
「はい。とりあえずフォレストウォーカーから出てきたので、不要かもしれないけれど回収だけはしておきました。これです」
デバシーから取り出したのは、瘴気で覆われた木片だった。こんな物よく拾う気になったな……。
「カウンターでとりあえず聞いてみましょう!」
俺達は、その依頼書を持って、カウンターへと向かった。
「すいません! この依頼の品ってこれで間違いないですか?」
「えーと、瘴気に満ちた木片ね……。そうですね! こちらの品で間違いないですよ! 早速納品されますか?」
「します! ちなみに3つ以上となってますが、いくつまで受け付けてくれますか?」
「こちらは、一つにつき青2で買取、預かり金が青60ですので、最大30本ですね」
「わかりました。では、30本お願いします」
「まじか! そんなに拾ってたのかよ!」
「何かわからない物も拾ってみるべきですね!」
「そうだな、俺も次からそうしよ……」
「では、30本買い取ります。こちらが青60個です」
「有難う御座います」
~デバシーmemo~
(残金:赤5個・紫4個・青75個・濃い黄色8個)
「うわー。凄い大金だね……!」
「ですね! 結構袋がいっぱいですね……」
「両替しとくか?」
「そうですね! お願いします!」
「上手くできるか心配だな……。11個でやるね!」
「ですね! 消失したら結構痛いですからね……」
――コンバージョン!
――成功!
(残金:赤5個・紫8個・青31個・濃い黄色8個)
「ふう……よかった」
「だいぶ軽くなりましたよ! 有難うございます!」
「とりあえず帰るかー!」
「そうですね!」
少し早いが、今日は宿に戻る事にした。時間はお昼を少し過ぎたくらいだ。毎日の修行時間が多めに取れそうだな。
「そういえば……来年の夏頃に剣魔合同闘技大会がありますね。参加自由ですから、出ましょうね!」
来年の夏、丁度俺たちが旅立ち始めた暑い時期だ。
「そうだな! それまでは特に何も無い感じか……」
「ですね……。それまでやる事は、授業を受けて、修行して、合体について調べて依頼を受けて……この繰り返しですね」
「立て続けに色々あったから、そのサイクルは凄く平和な気がするね……」
「僕達7歳児ですよ? 色々と起こりすぎだったんですよ……」
「だな! 平和な学園生活を楽しむとしよう!」
とにかく方向性は以前と変わらない。レッドを倒し、貴族が幅を利かせているこの異常な状況を元に戻す。頑張るぞ……!
それからはひたむきに授業を受け、修行をし日々を過ごした。
友達? いや、俺にはネビアとルーネ達が居る。そんなもの、必要ないんだもん……。
実際自分から話しかけに行かないと友達は出来るような環境ではない。基本は皆、実技があってそこで仲良くなるからな……。
あと、この歳になるとどうしても打算的になってしまう。友達を作るメリットをまったく感じないのだ。
友達を作るなら強い先生とかと仲良くなっていきたいと思っている。それでいいだろう……多分。
――約8ヵ月後 (夏) 8歳
「いやー、暑いな……てかちゃんと四季がある事に本当感動を覚えるね」
「ですね……」
「精霊は気温を感じないからその気持ちはよく分からないですね……!」
「……いつも快適」
「うらやましいな……」
入学してから8ヶ月ほど経った。しっかりと勉強と訓練、依頼を受け続けた。この周辺の国の成り立ちとかどういうところなのかとか……とにかく色々な知識がついた。まだまだ浅い知識だと思うから、これからもっと学習していきたい。国を作るって言う無謀な夢も諦めたわけでは無いからな。
そんな事を思いながら冒険者カードをみた。俺らの個人貢献度は4400まで上がり、総合貢献度は12280とかなり上昇している。アルネさんとリッタオリアも依頼をこなしているのだろう……。
「ん……なんだろこれ」
俺は冒険者カードに書いている、上級(昇給可)が気になった。
「上級の横に昇給可ってかいるんだけど……、こんな表記無かったよな?」
「あ、本当ですね。数字ばっかり見ていて全然気づきませんでした……」
「最近ちょっと冒険者ギルドに顔を出してなかったですから、今日行って聞いてみましょうか」
「そうだな!」
午前の授業が終わり、図書館に居た俺たちは、冒険者ギルドへ向かう事にした。