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81話 ネビア側の試験

「では構えて!」


――ザン! 


 剣が刺さり試合が始まった。


~~サークルスラッシュ! 


 先ほど見たサークルスラッシュだ。たしかに剣士同士の戦いで迂闊に近づきにくいし、良い技だと思う。だけど……。


――ブレードブレスト! 


「ぐはっ!」


 弱点と言えば自分の行動も制限されてしまう。正直魔法や飛び道具には通用しない技である。使いようによっては化けるかもしれないが……。


「勝者! 1番!」

「うお、まじかよ! 俺あんなに苦戦して負けたのによ!」

「えーここでお知らせです。2番と3番ですが、棄権となりましたので、自動的に4と5番には2勝つきます。自動的に試験は合格ですが、最後まで試合をしっかりと行って下さい。

「棄権かよ! 試験を受けて以来初めて聞いたぞ!」

「では最後の試合です! 1番と4番結界内へ」

「よっしゃ! やるからには全力だな! よろしく!」

「おう! 終わった後ダメ出ししてあげるよ!」

「くう、厳しい! でもお願いします!」


「では始めます!」


――ザンッ! 


~~ウォールアタック! 


 剣士はウォールアタックで開幕突撃してきた。……スピードが遅すぎるんだよっ! 

 俺はぎりぎりでさっと回避し、そのまま垂直に斬った。


「げふ……」


 剣士の胴体が真っ二つになり、周りが光り始めた。


「勝者、1番!」


「ひええ、速攻でやられたな……さすがだ……」

「ウォールアタック、当たればいいけど外れたときの隙が大きすぎるね……」

「そうなんだよなあ……。威力は結構高いんだぜ?」

「ではこのブロックでの試合行程は全て終了しました。全てのブロックが終わるまで自由行動です。各自、終了を待って下さい」

「二人居なかったからだいぶ早く終ったな……。俺は飯を食いに行くが、少年も来るか?」

「あ、ありがとう! でもちょっとやる事があるから遠慮しておくよ」

「そうか。んじゃあまた後でだな!」

「そうだね!」


 そうして、剣士とは別れた。俺はネビアのブロックに行き、その試合を観戦したかったのだ。


「よう。ネビア」

「あれ? もう終わったんですか?」

「そうなんだよ。貴族二人が棄権しちゃってさ……。今何試合目?」

「貴族が棄権て……。また何かやったでしょうフィアン。うちはまだ1試合目ですよ。まだまだ長いですね……」

「そうなのか!? じゃぁ俺もここで観戦しようかな」

「見ててもつまらないかもですけどね……」


 そう言われながらも俺は結界内を座って観戦した。状況を見る限り、最初の位置から二人とも動いていない。そしてその場で二人とも指を出して、魔方陣をせっせと描いている。


~~ファイヤスピアー! 


 一人が先に魔方陣を描き終わり、ファイヤスピアーを放った


「くっ……!」


 もう一人はその場で魔方陣を描くのを中断し、回避行動を取った。その間、ファイヤスピアーを撃った奴はまたせっせと魔方陣を描き始めている。

 回避行動を取ったやつも同様に魔方陣を描き始めた。


「ネビア、こいつら何やってるんだ……?」

「何って……魔法でのバトルですよ……」

「魔方陣描いている時に殴りに行った方が早くない?」

「いや。あくまでも魔法をみる試験なので、物理攻撃は禁止となってます。基本はパーティを組みますから、前衛が攻撃を抑えてくれているという前提みたいですね」

「そうなのか、にしても……」


 お互いせっせと魔方陣を描いて、先に描き終わった方が魔法を放ち、もう一人はそれを回避、また魔方陣を描く。先に撃たれてしまうと回避行動分魔方陣を描き始めるのが遅くなってしまう。常に不利になると思いきや、ファイヤボールとか簡単な魔方陣の魔法を織り込む事で回避した方が先に撃ったり……。主導権の取り合いって感じの戦いだ。

 周りを見ると唾を飲んで観戦している……まさに釘付け状態だ。こんな試合が……。


「こいつらなら、俺でも魔法で勝てそうなんだが……」

「間違いないですね……。何となく忘れていましたが、基本魔法って指先にライトペイントを発動して、魔方陣を描いて、放つんでしたね……」

「その方法で描いたのって、最後いつだろうな……」


 よく考えると、ライトペイントを飛ばして、異常な速度で魔法を放つのはどちらかと言うと俺らの方だった。普通はこんなもんなんだろう……。もちろん描く速度は個人差があるだろうけど……。


「ぐあ!」

「勝者! 3番!」


 凄く地味な決着だった。途中から描くのが間に合わず、防戦一方だった方がそのまま避けきれずに被弾した。


「どうしましょうかね? これ、いつも通りで描いていいのかな?」

「そこは気にしなくてもいいだろう! 俺も結果的にシャドウノヴァでぶちのめしてきたし!」

「次! 1番と2番!」

「そうですね……あ、1番僕だ。行ってきますね」

「おーう! 頑張って来い!」


「宜しくお願いしますね」

「ふふ……。さっきの戦いに見入っていたかも知れないが、俺の魔方陣を描く速度はさっきの奴らより速いぞ……?!」


 そういいながら2番の男は両手の指先をライトペイントで光らせた。


「2番の人、両手で魔方陣を描けるのか……?!」

「単純に2倍早く描けますね……。1番の人、苦戦するだろうな」


「では始める! 構えて!」


 試験官はナイフを投げた。ネビア、どうやって戦うんだろう。

 俺は強すぎるネビアがどのくらいの感じで勝つのかが気になって仕方が無い。やりすぎたら不正とか言われてしまうかもしれないからな……。

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