77話 試験2~総当たり戦~
「にゃー! 何とかクリアできたにゃ!」
「お、二人ともお疲れ様! 合格できたんだな!」
「なんとかできたにゃ……。1回目は無理だったけど、敗者復活で行けたにゃ」
「そうだったんですね。ちなみにカードの数字はいくつだったんですか?」
「うちらは両方8だったにゃ」
「8で1回目無理だったのか……」
「そうなんですにゃ。オリア達は相手の力量はかなり大まかですけど感じ取る事ができるから、相当弱そうな人ばかりに声を掛けてたんですが……。そいつら全員10のカードを持っていて……。自分に自身がなくなりました……にゃ」
「絶対おかしいにゃ。全員ワンパンでやれそうな奴らだったのににゃ!」
「多分、貴族でしょうねそいつらは……」
「貴族……?」
「はい。この試験ずーーっと違和感のある動きをしている奴らがいて、順番に並ぶ場所は別の所だったり、僕が入ったグループにも明らかに弱い魔力を放った奴が10のカードを持っていたりしました。そいつらに僕は声を掛けてみたんです」
「んでどうだったの……?」
「見事に全員貴族でしたね……。全員嫌味ったらしくてハッキリ言って嫌いなタイプでしたね」
「なるほど……」
やはり、貴族が優遇されているのは事実だったか……。にしてもここまで露骨にやってくるとはな。失格になったあいつ以外にもああいう奴はたくさん居るんだろうか……うんざりだな。
会話しながら待っていると、俺の前に二人の男が現れた。一人は金髪でひょろがりの男、もう一人も金髪で、お腹がぽっこり出ている。二人とも健康体とは言えない感じのやつらだ……。そして、唐突にそいつらは俺の机をバンと叩いた。
「おい! お前か。うちの弟を失格に追い込んだのは!」
「こいつで間違いないでやんす」
「弟……? あっ」
話し方が独特なぽっこりお腹野郎だな……。弟って俺が失格に追いこんだ貴族の事だろうな……。
「あ、じゃねーよ! ゆるさねえからな……! 何をしたかわからねえが、1のカードを7に見せるなんてイカサマをよ!」
「何を言っているのか分からないけど、試験中なんで揉め事はやめようぜ? 勝手に俺のカードを見て、7と1を見間違えただけだろうよ」
「うるせえ! 言い訳をするな! お前は次の試験で俺達が必ず落としてやるからなあ……? ひっひっひ!」
「せいぜい次の試験まで震えるがいいでやんす!」
そういいながらその二人は去っていった。落とすってどういうことだ……? 変な奴らに目を付けられてしまったな……。
「にゃんださっきの二人は……」
「まったく……なるべく目立たないようにと言われているのに。変な奴に目を付けられてしまいましたね……フィアン」
「あはは……まぁ落とすってのが気になるが、まぁ大丈夫だろうよ。なんとかなるさ」
「とりあえずそろそろ部屋に行きましょう。時間になります」
昼食を終えて、俺達はまた部屋へと戻った。やはりかなりの人数がさっきの試験で落ちたのだろう。目に見えて人数は減っている。それでもまだ多いと思うが……一体どの程度の人数が入学できるんだろうか。
「さて……では時間になってので、次の試験内容を伝える!」
試験2~総当たり戦~
・剣と魔、それぞれ分かれ5名づつのグループをこちらがランダムで作る。
・その5名で総当たり戦を行う。
・合計2勝以上すれば合格。勝利数は、入学後のクラス分けの際に参照する。
・装備は支給する事もできるが、自分の持つ装備でも可。
「やっぱり実技はあるよなー」
「どんな奴がいるのか……わくわくしますね!」
「変に頭使う奴よりシンプルでいいにゃ!」
「治癒士の私にとっては、少し不利です……にゃ」
「弱音を吐くんじゃにゃい! 治癒しながら長期戦狙いで相手の体力を削っていけば勝てるにゃ!」
「うん……! がんばりますにゃ!」
「フィアンさん、私の力は使ってくれますよねっ!」
「おお、ルーネ……。じ、状況見て……かな? てか隠れときなさい! 変態に目を付けられるから!」
「何ですかそれは! ちゃんと必要になれば使って下さいよ……?」
渋々ルーネは引っ込んでいった。女の子が自分を使ってとか言うもんじゃないよまったく……。
しかも、すまないとは思うんだけど、試験は鉄の剣でいくつもりだし、精霊の力はまず耐えられないだろう。結論使う事は無いな!
「では1名づつ発表していく! 呼ばれたら試験官の誘導で移動する事!」
そうやって順番に名前を呼ばれていった。まずは魔法から呼ばれているようで、ネビアとオリアは先に会場を後にした。
しばらくすると俺の名前も呼ばれ、手を上げていた試験官の誘導の元、移動を始めた。
・・・
そして剣と魔の学園の丁度真ん中程の所へ誘導され、大き目の円盤の上に乗った。すると、その円盤はすーっと上へと移動を初め、僅かな時間で最上階まで上がっていった。言ってしまえばエレベーターだ。どうやって動いているのか物凄く気になるな。とりあえずそれは置いといて……着いた先には、広めの結界のコートがあり、剣の学園側と魔の学園、そして丁度真ん中にも1面あり合計3面ある。
だが、そこには誰もいない。なんだろうか。
「まず、この場所を皆に説明している。ここは選ばれた魔法士、剣士が戦う場所になっており、君達受験生にも最終ここで戦う事を目指して欲しい。神聖な場所であり、闘いの場所でもある。人によってはこれが最後で、二度と見る事は無い。しっかりと見ておくんだ」
確かに、すごく変わった空気を醸し出している。なんというか、今まで戦いの痕跡が空気中にも残っているような……何かに触られているような……。また、闘争本能をくすぐられるような感覚になった。
「神聖な場所ってのが肌で感じるよ……」
「よし、では少し下に戻って、試験会場へ行くぞ」
一通り見た後、試験会場へ誘導され、着いた場所には10面の結界コートが設置されている。続々と人が集まっているようだ。
「君はこのコートだ」
誘導された先にはさっきみた顔があった。見たくも無かったのにな……。
「ひっひっひ! また会ったな! お前は俺らに倒されてここで失格だ!」
「謝ってももう許さないでやんす!」
「はぁ……」
誘導された先には、さっきの貴族二人と、見た事のない大剣士、そして、さっき一緒にカードゲームを行った、1勝していた7カードの剣士が居た。




