76話 試験1・完了
「二人で対戦するんだな? じゃぁそれぞれこのテーブルの前に立ちなさい」
試験官にそう言われ、俺と貴族はテーブルの前に立ち、向かい合った。
「ではカードを裏向きに出しなさい。合図と同時にめくる事。いいね?」
「試験官さん! ちょっといいですか?」
「なんだい?」
「実はこのお兄さんと約束して、2回勝負をしなければならなくなっちゃって。一回やってまた出るのは面倒だから、2枚置いて一枚づつめくって二回とも終わらすってのはだめですか?」
「うーん……そうだね……」
「試験官さんよ! それでいこうぜ! また出て入るのも面倒だからよ!」
「分かりました。ではそのルールで行きましょう。2枚をセットして下さい」
「くっくっく……」
「2枚セットし終わりましたね。ではまず一回目、私の方に近いカードをめくって下さい」
そうして俺と貴族は同時にカードをめくった。
「はっはは! これで二勝だ! ……ああ!?!?」
フィアン:1
貴族:10
「この勝負はフィアンの勝利です。腕輪を受け取って下さい」
「お……おい! どうなってる!」
貴族が俺につっかかってきた。
「え!? 何ですか? 僕の持っているカード変でしたか……?」
「くっ……! なんでもねえ、もう一枚やるぞ……!」
(くそ! どうなってやがるあのガキ……! だが……どちらにしろ、2枚は確実に7だ! あの時みえたからなあ……! 二勝すれば合格だ。)
「では2枚目もオープンして下さい」
フィアン:1
貴族:10
「あああああああ!?!?」
「おい、試験官! こいつはイカサマだ! イカサマをしているううう!」
「何を言っているのですか? どこにイカサマ要素があったのでしょうか?」
「だってお前! 1を2枚も……!」
「同じカードを持っているのは至極当然かと思いますが。ではフィアンさん。腕輪をお受け取り下さい」
「ああああ……!」
「おいクズ野郎が。喚くんじゃねえよ」
「なんだと……!?」
「お前は俺の簡単な策略に面白いくらいに引っかかってくれたんだよ。俺がカードを目の前で落とした時からな!」
「まぁ説明するまでもねえ事だ。来年また頑張れよ! まぁおめえみたいなゴミが入れる学園じゃなくなってるかもしれないがな!」
「ううううう……! 次の敗者復活戦で必ず合格してお前をぶち倒す!」
「ふうん。じゃぁ君、自分のカード燃やすのやめたほうがいいよ。失格者は敗者復活戦……受けれないよ?」
貴族のテーブルのカードが燃え始めた。まぁこれは俺がライトペイントで小さな魔方陣を描き、バーンファイヤをカード裏で発動させたからだけどな☆
「え!? あつ! ああああ! なんでええええ!?」
「君……負けた挙句相手をイカサマ扱いし、更にカードを燃やす行為……とても容認できません。即失格とします。学園から去って下さい」
そういって俺はボックスを後にした。
「か……勝ちましたか……?」
「ああ、二人のおかげだ。有難う!」
「いや、全然いいんだよ! むしろ俺らの勝ちも確定したし感謝しかない!」
「おう、じゃあカード返すよ。それで上手くまわすぞ」
簡単に説明すると、俺は1のカードを3枚持っている人と5以上のカードで1勝し、残り2枚カードを持っている奴を探し、声を掛けた。そして一旦俺に1のカード二枚と、7のカード2枚を預けてくれと。
そして、カードを交換した。
カード内訳
フィアン:1,1,7,7 (0勝)
細見男:10,10 (0勝)
筋肉男:10,1(1勝)
そして、そのカードを持って俺は貴族で7を2枚見せるようにぶちまけ、貴族と戦う時には1,1,7のカードをもって、1枚はポケットにしまった。
あとに起こったのはさっきの通りだ。そしてカードを返す時には、混ぜ合わせて
カード内訳
フィアン:7(2勝)
細見男:10,10,10(0勝)
筋肉男:7,1(1勝)
こうなり、俺と細見が戦い俺が敗北し、後は二人で戦えば、皆仲良く2勝づつって訳だ。このやり取りも試験官に見えるところで行ったが、不問だった。ルール外の行動だから黙認するしかなかったのだろう……。
多分、今までやってきて、ここまで悪知恵の様な物を働かせて試験に挑む奴はいなかったんだろうな……。そもそも10を持っているのに組む必要なんて無いしな。まぁでも、あのむかつく貴族を失格に出来たし、上出来だな!
「では合格者は先に退出して下さい」
そういって俺は先に退出することになった。
・・・
「あ、フィアン! 遅かったですね? 10のカードじゃなかったんですか?」
「いや……ちょっとむかつく貴族にまた会ってな……。そいつを失格にしてたら時間がかかっちまった」
「また手間のかかる事を……。まぁでも無事に合格できたのなら良かったです! 次の試験までは休憩みたいですよ。ご飯を食べて待ちましょう」
「リッタとオリアは来てないのか?」
「まだみたいですね……。こういうゲームは向いて無さそうだから心配です……」
そういって俺達は食事をしながら次の試験を待つことになった。




