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75話 試験1~カードゲーム~

「えーそしてフィアン! 以上の30名はこの試験官についていくこと!」

「む、俺だけか……」

「そうみたいですね。しっかりと頑張って下さいよ! 冷静にですよ……!」

「わかってるよ! じゃぁ行ってくるぜい!」

「フィアン。君のカードはこれだ」


 試験官から渡されたカードは[10]のカードだ。まぁわかっていた事だが……。10なら割と気楽に勝てそうだな。弱すぎそうな奴以外を探して、戦うとするか……。

 そうして試験官の先導の元、少し広めの部屋にやってきた。部屋の真ん中には3つ、中が見えない部屋が並んでいる。また部屋の中には別の試験官が複数おり、不正が無いかを厳重にチェックするようだ。


「全員入ったな! それでは5分後スタートする! 制限時間は3時間だ!」


 とりあえず俺は周りを見渡した。よく目を凝らすと、闘気であればなんとなく力量を見る事が出来る。これで判断して勝負を吹っかけるしかないな……。

 人の顔を見ている間に、見た事のある顔が一人出てきた。


「あいつは……」


 そこには、中央都市の入場待ちをしている時に、女性を倒してどんどん順番抜かしをしていたクズ貴族の姿があった。こんな所で会うとはな……! 


「では五分経った……。始めるぞ!」


 そうして試験は始まり、周りはざわつき始めた。とにかく対戦相手を探さなければならない。


・・・


 30分くらい立った時に、一人の男が動き出した。例の貴族だ。目を凝らしてみると、闘気は放っているが、周りと比べてもかなり低いように見える。どうみても1のカードだろうな……。


「おい、そこのお前! 俺と勝負してくれよ!」

「お、俺か? ……いいぜ!」


 貴族と男は真ん中のボックスに入っていった。

 誰の目から見ても貴族とその男の力は明白……。カードの数値は間違いなく負けているだろうと思っていた事だろう。だが……。


「ふひひ! 早速1勝~!」


 なんと勝ったのは貴族だった。と言う事はあの男は10のカードで貴族は1だったのか……? 


「なんでお前みたいな奴がそんなカ……ぐはっ!」


 男が何かを言いかけたところで、貴族は思いっきりそいつの腹を蹴り飛ばした。


「おい! 俺のカードの数字のヒントになるような事を口走りそうになるんじゃねえよお? この馬鹿がっ!」


 そういってもう一回蹴りを入れた。試験官は何故止めないんだ! 


「おい、それ以上はだめだ! 流石に見過ごす事は出来ない!」

「はっ! よかったな! そこでくたばってやがれ!」


 貴族は男に唾を吐きその場を後にした。ムカつき過ぎで体が震えるが……冷静になれ俺……! と言うか試験官も止めるのが遅え! 何の為にいるんだよ……。


「おい! 他に俺とやるやつはいねえのかよ! なあ!」


 貴族が吠えているが誰も目を合わそうとしない。一応同意があってボックスまで一緒に来てくれなければ対戦できない。あいつは誰とも勝負が出来ないだろう。

 しかし絶対にいずれ皆動き出す。負けると分かっていてもカードを全て消費しないと敗者復活にも出られないからだ。その時にあいつは勝ちあがってしまうだろうな……くそ! こんなにむかついても殴り倒す事が出来ないなんて……! せめて奴を不合格にしねえと気がすまねえ……! 

 とにかく今はぐっと堪え、作戦を考える事にした。


――残り1時間20分


「あー……。どうしようー……」


 制限時間が迫り、おろおろしている奴がいる。細見で眼鏡をかけた青年だ。


「なぁ! 俺はフィアンって言うんだけど……。ちょっと話をしないか?」

「え……?」


・・・


「よっしゃ! あと2回戦って1回でも勝てば……!」

「失礼! 俺はフィアンって言うんだけど、ちょっと話だけでも聞いてくれないか……?」


 俺はある二人の男に話しかけた。そして……。


――ドンッ! 


「あっ!」


 か弱い少年フィアンは誤って貴族に足を引っ掛けてしまい、自分の持っているカードを3枚ともぶちまけてしまった。そして2枚は表になってしまい、数字がさらけ出されてしまった! か弱い少年フィアンはそれをあわてて回収した。だが、その様子を貴族はしっかりと確認していた。


「おい! いてえな!」

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

「謝って許されるもんじゃねえんだよ!」

「どうすれば許してもらえますか……?」


 か弱い少年フィアンは涙目で貴族に訴えた。


「じゃあお前……俺と二回勝負しろ! それで許してやるよ!」

「本当ですか……! で、でも! ぼくのカードがもしお兄さんより強かったら2連続でぼくの勝利になっちゃうよ……?」

「ははは! まぁその時は潔く負けを認めよう! じゃぁ受けろよ?!」

「分かりました! それで許してもらえるのなら!」


 そういって俺は貴族と二人でボックスの中へと入った。

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