74話 試験開始!
「次の人! こちらへ!」
とうとう俺の前のやつが呼ばれた。何やら説明を受けているようだ。耳打ちな上に少し遠いから聞こえないが……。
そしてそいつも入っていった。次は俺の番だ……。
「試験会場へようこそ。テント内では願書を出す前の試験……言わば試験を受ける資格があるかテストを行っている」
「試験受けるための試験……先は長そうだな……」
「中での説明を短くする為に今、簡単に説明するよ。中ではある棒状の物を手渡される。それに対して思いっきり力を込めて、光らせる事ができればクリアだ。お……前が終わったようだ。入るがいい」
言われるがままにテントに入場した。すると3人の試験官が立っており、こちらに寄ってきた。
「ではこの棒を使って、入場試験を始める!」
そのまま試験官が俺に棒を手渡してきた。
「方法は簡単だ。腕を水平に出して、こうやって力を込める。するとこのように棒が赤く輝き、数値が高いほどこの赤い光は上に大きく伸びる」
そういって試験官がやって見せてくれた。棒の上半分が綺麗に輝き、その光が棒より先に伸びている。これは……ぱっとみでラ○トセイバーだな……!
「ではやってみろ! 試験官は長年訓練を行っているからこうやって簡単に出せたが、君はまだ若いし、力も無いだろう。思いっきりやらないと入場できないぞ! では、今から1分以内に出来なければお帰り願おう。では、はじめ!」
「分かった!」
そういって俺は棒をもち、腕を水平に上げた。力を込めるって事は魔装・一閃を使う時の感じでいいのかな……。いやでもその時は基本全力ではなく、技を打ちやすく調整している。今回は調整とか考えなくていい。ただ全力で込めるだけだ!
「よし……いくぞ!」
俺は言われたとおり、ありったけの闘気をその棒状の物に込めた。すると、棒状の物は眩しいほどに光り輝き、パリンと音を立て、真っ赤な光が棒の5倍以上の太さとなり、更にそのままテントの天上を突き破りテントまでも破壊してしまった。
「なんだこれは!?」
「やば……不合格かな……?」
「いやそれより! 危ないから早く止めてくれ!」
「すいません! 闘気はもう込めてないんですが止まってくれない!」
「なんだと! どれだけの力だよ!」
「仕方が無い、そのまま上を向けて地面に固定しよう! しっかりとな! ころばしたら甚大な被害が出る!」
「と……とにかく君は文句なしの合格だ! 先に進みなさい……!」
「わ、ありがとう! で、では失礼しますね……」
俺は棒を前にあたふたしている試験官を横目に奥へ向かう事にした。ネビアは大丈夫だったかな……。そう思いふと横を見ると、奥のほうでは青い柱が天に向かって伸びているのが見えていた……。
・・・
「フィアンもやっちゃいましたか……」
「いやだって仕方ないだろ! 全力で込めろって言われたらそりゃその通りするよな……」
「にゃ! 二人もやっぱり合格してたかにゃ!」
「お、リッタとオリア! 二人も無事に通れたんだね!」
「てかすごかったにゃ! みたかにゃ? テントですごい綺麗な柱が二本上がって、みんな大騒ぎだったにゃ! おかげで二箇所使えなくなって、少し流れが遅くなってたにゃ」
「へ、へえー……見てなかったなぁ……。まぁそんな事より早く願書もって手続きしようぜ!」
「そうですね! 行きましょう!」
「にゃ? 気にならにゃいか? まぁいいけどにゃ……」
俺達はそのまま奥へと進み、受付と書かれた所までやってきた。そこで冒険者カードと願書を見せると、場所の案内図のような物を貰った。部屋が並んでおり、一つに丸を付けられている。どうやらそこで待っとかなければならないらしい。ネビアと俺が一緒の場所だからとりあえず皆ひとつの部屋に入れられるのだろう。
「広い……しかも思ってたより多くの人がいるな……」
その部屋はかなり広く、講義室のような形をしている。全員入りきるのだろうか……。
・・・
しばらく待っていると人が入ってくるのが止まった。どうやらこれで全員のようだ。その後すぐに試験官がやってきた。
「さて、ここにいる君達は入学試験を受けることが出来る。おめでとう。早速だが、最初の試験を始める!」
そういうと試験官は3枚のカードを取り出した。そこには数字の6が描かれている。
「君達の魔力及び闘気の量と質は、先程の試練で大まかに計らせてもらった。そして、その結果を10段階に分けて表示したカードだ。魔力及び闘気の質と量が高かった者は最高の10、ぎりぎり合格レベルの力なら1のカード……となる」
「そのカードを持って、選ばれた30人で対戦してもらう。ルールは簡単だ。お互いカードを1枚出し合って、数字の大きい方が勝ち。2勝した者が次の試験に進む事が出来る」
「え! それなら1のカードの人は絶対勝てないじゃないか!」
周りから野次が飛んでいる。たしかにその通り……。1の人はこのルールだと100パー負ける。
「安心しろ! 1のカードを持つ者は、特別に10のカードにだけは勝てるというルールになっている」
「でもやっぱり少ない数字だと不利じゃないか……! 不公平な試験だ!」
そんな野次が飛び続けているが、試験官が手を出し、小さなエクスプロージョンを掌で爆発させた。音だけは凄く、皆一斉に黙った。
「あのな……お前達はこの試験の目的は何かをまるで理解していない。この学園じゃ、魔力や闘気が凄い奴は優遇されて当たり前なんだよ。強い奴には、より強くなってもらうのが目的だからな。考えてみろ! この試験がこんなカードゲームではなく、実践だったらどうだ? 1のカードを持つ程度の力量の奴が、10のカードを持つような奴に勝てるか? まず無理だろうな」
「それでも……1にもチャンスを与えているのは1のカードでも勝ち残るような……頭の良い奴は伸びる可能性があるからだ。そういう奴しかこの学園には要らないんだよ」
ざわついていた周りの空気は一変し、しーんとしている。しかし、実践とばかり思っていたが、こんな試験があるとはな……。しっかり頭を使わないといけないな。苦手だ……非常に!
「では、細かいルールを再度確認していく! しっかりと聞いて理解するように!」
試験1~カードゲーム~
・受験者は自身の力に応じたカード(1~10の数字)の中から同じ数字3枚を貰う。
・自由に対戦相手を決めて、誰にも見えない部屋に移動、二人でカードを出し合い、数字の高い方の勝ち。但し1のカードのみ10に勝つことが出来る。勝者は試験官から勝利の赤い腕輪を貰い、両者には消費したカード分、黒い腕輪を渡される。数字が同じ場合は無効試合とする。
・2勝し、尚且つ3枚のカードを全て消費した者は合格。つまり、黒い腕輪が3つと赤い腕輪が2つ以上
・対戦後に相手側のカードの数字を口外した者は即失格とする。
・カードを捨てる破く燃やす等した場合も即失格。かならず3回使用する事。
・カードの数字を盗み見るような行為も即失格。
・この試験は敗者復活戦を何度か行う。但し、カードを全て消費していなかった場合はその権利は失効する。敗者復活戦は何度行うかは開示されない。
「これから30名づつ名前を呼ぶ! そしてこの3枚のカードを渡すから、それを受け取って別の部屋に移動してもらう」
さて、最初の試験が開始だ!




