73話 学園へ!
俺達は翌朝、朝食を取りそのままアルネさんとは一時解散、今日こそは学園を見に行こうと今馬車に乗っている。
「高速移動装置より高速馬車くらいがいいなやっぱ……」
「そうですね、ジェットコースターより恐ろしかったですもんね……」
そんな会話をしながら馬車に揺られ、俺達はついに最初の目的、学園へとやってきたのだ。
「うわーすごく大きいですね……何階建てでしょうね……」
目の前には大きな二つの建物が背中を向けたような形で建っており、それぞれ石造が立っている。その石造もまた大きく、自由の女神像くらいあるんじゃなかろうか……一つは剣と盾をもった石造、もう一方は杖を掲げている。どちらの建物が剣か魔法か一瞬で分かるなこれは……。
そして、目の前には大きな門があり、兵士が立っている。在学生じゃなくても入って見学とか出来るのだろうか……。
「すいません。中を見学とかは出来るんでしょうか?」
「あー、普段なら出来るんだけどね……。もうじき試験期間が始まるから外部の人は一切入れないようになってるんだよ。どういった試験になるのか……。ヒントがあるかもしれないし、フェアじゃなくなっちゃうからね」
「そうだったんですね……」
「ちなみに君達も入学希望者かい?」
「そうです! その前にどんな所か見てみたいなーと思いまして」
「なるほどな。では折角来たのだから、せめてこれを持ち帰ってくれ」
そういって渡されたのは学園紹介のパンフの様なものと願書、注意事項等書いた紙だ。
「願書は当日書くのでもいいが、書いてきたほうが並ぶ量が減っていいぞ! かなり混むからな毎年……」
「おお、有難う御座います! あ、願書あと2~3枚頂けますか?」
「いいよ。持って行きなさい。ルールとはいえ、ここまで来たのに入れてあげられないのは本当に申し訳ない……。試験がんばるんだよ!」
「はーい! 有難う御座いました!」
門の前から少し様子を見て、学園を後にすることにした。
「結局、しっかりと中を見る事は出来なかったな」
「ですね。まぁ願書を貰えただけよしとしましょう」
馬車の中でそれぞれパンフを見ながらその日は素直に帰ることにした。
・・・
パンフの中には色々書いていたが、その中でも少し気になったのが、イベントの項目に書いてあった、「剣魔合同闘技大会」「地下ダンジョン演習」の二つだ。闘技大会はその名の通り、剣と魔の学生混合で戦って1位チームを決める感じで、地下ダンジョン演習は剣と魔の学園の丁度真ん中にある地下迷宮ダンジョンで実戦を交えた演習……か。学園の中にダンジョンがあるとはな。是非とも入ってみたいものだ。あと、闘技大会では優勝できればレッドの目に付くかもしれないな……。これはとにかく頑張ろう。
「あ、おかえりにゃ。早かったにゃ?」
「ただいまー。いやー試験が近いからって入れてもらえなかったよ。代わりにこれ貰ってきたよ」
リッタとオリアにパンフと願書を手渡した。
「おお! ありがとうにゃ!」
そういって二人はパンフを見始めた。
「さーて、残りの時間はトレーニングと融合の思案をしなければな……! ルーネ、宜しく!」
「頑張りましょう!」
「テーネ、僕達も行きますよ」
「うん。がんばる」
「うへー。毎日修行やらトレーニングやら本当によくやるにゃ……休みも必要にゃよ?」
「そういうリッタさんは休みすぎですね! たまには一緒にやりますか?」
「いやいや! 大丈夫にゃ! 今日はごろごろしとくにゃ」
「ん、だめだぞ? 融合について俺達と一緒に考えてくれ!」
「にゅああああ」
そういってリッタをずるずると引っ張り修行を一緒にやる毎日が続いた。
・・・
――試験当日 朝
「……ふう」
「瞑想もやり続けるとかなり集中出来ますね……」
「だな。相変わらず魂を浮かすってのはよく分からないけど、完全に無になる事は出来るようになったな……」
「はい。瞑想の後のトレーニングの質は間違いなく上がっていますね……。正直舐めてました」
「さて! そろそろ行く時間にゃよ!」
「だな! よし、願書はしっかりと持っているな!?」
「はーい!」
「皆さん頑張って下さいねっ! ルーネは応援してます!」
「有難う御座いますにゃ。皆で入学したいですにゃ」
俺達は荷物をまとめ、学園行きの馬車へ乗り込んだ。試験とか久しぶりだな本当に……実は結構緊張しているが、しっかりとやらねば!
・・・
「うわ、物凄い人じゃないか……!」
「ヤバイですね……! まだ開始の一時間前だと言うのに……」
恐ろしいほどの人数が門前で並んで待機している。今からコンサートか何かが始まるのかな? と勘違いするほどだ。入学希望者ってこんなに居るんだな……この中で合格する人は一体どれ位なんだろうか……。
少し待っていると、門が開いた。ついに試験に動きがあるらしい。また緊張で胸が高鳴ってきた。正直この胸の高鳴りは嫌いじゃない。いい感じだ……!
「なぁ、門の中に続々と入っていくけどさ、それと同じ勢いで門から出て行ってないか……?」
「そうですね……もう不合格になったって事でしょうか……」
流れの勢いは変わらず、どんどん前に進んでいった。とりあえず気になるのは、ぞろぞろと出て行く人たち……。会話を聞いたが、どうやら不合格になったのは間違いないらしい。見た目はかなり強そうな人や、ご老人など様々だ。
そしてもう一つ、列とは別にすーっと先導されて入っていく小さなグループや人が居る……。俺の目で見る限りはとても合格できるような姿では無い。ぶくぶくに太った少年や、高そうな服や装飾品が目立つ少女。一体何をしに来たんだって言いたくなる格好だ。だが、そいつらは誰一人として出てきていない……。合格してるって事なんだよな……?
「にゃ! そろそろ順番がくるにゃよ!」
「あ、もうか! 何をさせられるんだろうな……!」
考え事をしているうちに俺達は門を越え、順番がもう目の前だ。6箇所程、テントの様なものが張られており、そこにぞろぞろと人が入っていく。そのテントを出て折り返して外に帰っていく人、そのまま奥に行く人で分かれている。どうやらあのテントの中で何かしらのテストをするようだな……。
並んでいる途中で剣か魔どちらに入学希望かを聞かれ、答えると各自違うテントに振り分けられた。一つ一つのテントが離れている為、ここで一旦皆散り散りだ。
「フィアン! 奥で会いましょうね!」
「当たり前だ! また後でな!」
さて、この目の前のテントで一体何をさせられるのか……楽しみだな!




