70話 シャドウホールへ
――ドーン! ゴゴゴゴ……。
……はい。この動かし方は予想外でした。
「気合入れていくぞ!」
「おおおー!」
――ドーン……ドーン……
俺達が乗り込んだ後に、3人のマッチョな男達が乗ってきた。何事かと思ったがその人たちは優秀な魔法使い達だそうで、乗ってきたと同時に後ろの方で構えて、火の魔法を先端の部分から外に撃ちまくっている。この乗り物は爆発を原動力とし、驚くべき速度で進んでいっている。但し、ファイヤエクスプロージョンを撃つごとに緩急が付いて、今にも吐きそうだ。
「ファイヤエクスプロージョンに似てますけど……。見た事にない魔法ですね……」
「おう! これはエクスプロージョンピラーという上級魔法だ! その場で爆発するファイヤエクスプロージョンより、真っ直ぐ柱の様な形で爆発するこの魔法の方がより早く遠く移動できるんだよ!」
「へー! 宜しければあとで魔方陣を見せていただけませんか!」
「おう、興味があるのか! 嬉しいね! なんぼでも見せてやろう!」
「有難う御座います!」
「もうだめにゃ……でちゃうにゃ……」
「おい、我慢してくれ! 前で吐かれたらこっちに飛んでくるだろーが!」
「てか、この動かし方……。止まる時はどうするんですかにゃ……」
「お客様たち! もうすぐ到着します! 衝撃に備えて下さい!」
言われるがままに椅子にしがみ付き、衝撃に備えた。
一人のマッチョがレバーを降ろし始めると、キイイイイっと金属の擦れるような音が鳴り響き、かなりの衝撃が来た。
「にゃあああ! しぬにゃあああ」
――キィィィィ……ガシャン。
「とまった……」
「お客様、到着しました! お疲れ様です!」
「ふう……」
ジェットコースターよりスリルのある乗り物だったな……。めちゃくちゃ早いのはとても便利だが、慣れるのに時間がかかりそうだな……!
「さて、では早速現地に向かうぞ!」
アルネさんはあんな乗り物に乗った後なのに、全然元気だ。すごいなあ……。
・・・
南へ向かって真っ直ぐ進んでいくと、シャドウホールはすぐに見つかった。と言うより、かなり目立ったところに出現している。その周辺には3名の兵士が警備している。間違って触れてしまう人がでないように見張っているのだろうか?
「わかりやすい所に出ておるな……。それに結構大きい。内部が面倒な事になってなければいいが……」
「これ、一度入って途中で出たりは出来るんですか?」
「大丈夫じゃよ。ご親切な事に、入ったところから普通に出られる」
「それは安心ですね……」
「警備の方、ご苦労様です。依頼を受けたアルネ隊の者です」
「おお、依頼を受けてくれたのか。ありがたい。十分に気をつけてくれ」
「有難う御座います。では行ってくるわい」
そういって俺達は早速シャドウホールに触れた。すると辺りが真っ暗になって、闇が晴れたと思ったら別の場所に飛ばされていた。後ろを向くと入ってきたであろうシャドウホールが不気味に光っている。真正面にはシャドウディメンションの時と同じように大きな扉があり、壁は瘴気で覆われている。少し違う点といえば部屋が全体的に深緑色の色調になっている。
「これは言ってしまえばワープになるんですかね……。原理を解明さえ出来れば色々できそうですよね……」
「たしかにな。ただ、人工的な生物の転移等は天の掟で御法度とされておるんじゃ。見つかったら牢獄か処刑が待っておる……」
「天の掟……そんなものがあるんですね。転移以外のルールとかもあるんですか? 知らない間に破らないようにしないとですね」
「まぁ普通に生活してる分には引っかかる事はないぞい、多分な。まぁ気になるなら図書館でも行けば天の掟について、まとめている本とかがあるじゃろうて」
「図書館あるんですね! フィアン、今度行きましょう!」
「そうだな。見ておいたほうがいい気はするね……」
「ほら! 会話してる場合じゃないですよ! さっさと踏破して帰りますよっ!」
ルーネの一言で皆が戦闘準備を行い、目の前の大きな扉を開いた。今回はすんなりと扉は開き、その先には瘴気と木の幹で覆われた少し広めの曲がりくねった通路が広がっている。道は右と左で二本ある。とりあえず右側から進む事になった。
「にゃー……なんか神秘的な雰囲気だにゃ……」
「瘴気で覆われているせいで、森の良い匂いってのはしないな……」
「そうですにゃ。そもそも葉っぱが無くて瘴気を帯びた幹だけじゃ良い匂いはしませんにゃ」
「さて、気を引き締めるんじゃ。進んでいくぞ」
・・・
「通路が続くばかりで何も出てこないですね……」
正確な時間は計って居なかったが、かなり歩き続けた。敵も全く現れていない。
「とりあえず浄化の光は設置して行ってるけど、もう少し間隔をあけてもいいかな……?」
「ふむ、どうやら無駄に歩かされた様じゃな……。前を見てみるんじゃ」
アルネさんに言われ前方を見た。すると俺が最初に設置した浄化の光が見えてきた。
「え! まさか同じところをぐるっと歩かされているとか?!」
「いや、ここは最初の所みたいだにゃ」
「うーん、つまり通った道は円になっていたって事か……」
「さて、とりあえず歩きつかれたじゃろう、一回休憩じゃ」
そういって最初の地点に設置した浄化の光にて休憩する事となった。ぐるっと一周できるダンジョン、他に分かれ道も無かったしどういうことだ……?




