66話 vs獣人
「ここだにゃ! 店員さん、4名お願いしますにゃ!」
「いらっしゃいませ。あら……昨日の坊や達、また来たのね」
「あはは……。来る予定は無かったんですが……。あ、濃い黄色2個です」
「すいません。4名となると奥のコートになりまして、濃い黄色3個です」
「あ、そうなんですか。失礼しました」
「4名だけど3個なんだね!」
「はい。コートの結界の強さが違います。許容量を越えると割れてしまうのは昨日でご存知だと思いますが、複数の人で入ると単純に許容量がより越えやすくなりますからね。結界強度は人数によって違うところに入ってもらってます」
「じゃぁ……。2人で4人のとこに入ったら割れなかったかも知れないですね。フィアン」
「そうだな……。次はそっちに入るか!」
「申し上げにくいのですが、この結界場ではどれも壊れてしまうと思いますね。学園にある結界程の強度が無いと……。ですので長く楽しみたいのであれば、あの技は止めた方がいいですね」
「2人とも早くこっちに来いにゃ! 時間がもったいにゃい!」
「あ、そうだな! 行こうか!」
歩いて奥のコートに行く途中でめちゃくちゃ見られている。昨日の事が軽く噂になっているんだろうか。とりあえず気にせず俺らの使用するコートへと入った。
「にゃにゃ……。何でこんなに観戦してる人がいるのかにゃ……?」
「にゃん……緊張します……」
皆で入って30秒待機した頃には周りに凄く人が集まっていた。
「そういえば自己紹介をしてませんでしたね。僕はネビア。魔法使いです」
「俺はフィアン。柔型の剣士だ」
そういって俺達2人は、お辞儀を行った。
「にゃ。リッタはリッタにゃ。攻型剣士だにゃ」
「オリアです……。にゃ。両替士ですが、治癒士の勉強中ですにゃ」
「リッタは剣士なんだね! てっきり話を聞いてると2人とも両替士なのかと……」
「リッタとオリアは双子の姉妹なんだにゃ。勉強が出来る方が両替士の名を受け継ぐのにゃ」
「なるほど……。皆がなる訳ではないんですね」
「というか観戦者が多くて緊張するにゃ……! まさかリッタ達は知らない間に有名になってたのかにゃ!」
「多分違うと思いますにゃ……」
「坊主達! 昨日の技の続きを見せてくれよ!」
「二日連続であの子達の戦いを見れるなんて……。酒が進んじまうのう」
「突然現れたすげえ人達ってこの子供達の事なのか……」
すごく周りがざわついている。昨日いた人も結構居るな、まぁ……悪い気はしないけどな!
「さて、じゃあ俺がこのナイフを上に投げるから。地面に刺さったらスタートの合図だ。おっけーかな?」
「わかったにゃ! いつでもいけるにゃ!」
「リッタ、油断はしないようにいきましょう……にゃ」
リッタと俺は剣を構え、オリアは杖を構えた。ネビアはいつも通り盾に素手だ。
「では……。投げるぞ!」
その言葉と同時に俺はナイフを投げた。この時間は何故か凄く長く感じる。落ちてくるナイフがスローに見えるのだ。
――ザクッ!
(フィアン)――閃光脚!
俺は刺さると同時にいつも通り即効動いた。閃光脚で斜め上に飛び上がった。
「にゃ!」
案の定、2人は上に飛んだ俺に釣られ、上を見た。
そのまま俺は空中で魔装・一閃を構え放つ準備を行った。
「そこで技を放ってどうするにゃ……にゃ!?」
(フィアン)――魔装・一閃
(ネビア)――アースウォール
俺の魔装・一閃に合わせ、ネビアがアースウォールをリッタ、オリアの足元から出現させ、丁度俺が切りかかる所まで迫り上げた。
「やばいにゃ!」
咄嗟にオリアを掴み後退し、俺の攻撃は空振りで終わった。さすが獣人という所か……反射神経は半端無いようだ……。
ネビアはそのままアースウォールを解除し、壁は砂山になった。
「いつ魔方陣を描いたのかにゃ……」
「新しい作戦は上手く行きませんでしたね……」
「そうだな……でも今思えばアースウォールじゃなくてアイススパイク撃ってれば終わったんじゃないか……?」
「あ……確かにそうですね!」
「なに呑気に話してるにゃ! 次はこっちからいくにゃ! オリア! いきなり全開でいくにゃよ!」
「もう使うのね……わかりましたにゃ」
そういうと2人は手を繋ぐと、身体が光り始めた。
「何が起こるんだ……?」
光はどんどん強くなり、2人の光は一つとなった。そして、そのままその光は大きくはじけた。
~~ユニオン・ビースト!
「眩しい……!」
「くっ……!」
光が消えると、目の前には一人の獣人が立っていた。
「オリッタ! いくにゃよ!」
~~閃光脚!
~~ビートスタンプ!
「くるぞ! 見たことねえ構えだ!」
俺に一直線で向かってきたので、咄嗟に後退し、避けたと思ったが……。
ドーンという激しい音と地響きが起こり、空気がびりびりと揺れている感覚になった。心臓にかなり来ており、上手く動けない!
~~グランドスマッシュ!
そのまま、獣人は高く飛び、武器をそのまま振り降ろしてきた。ダメだ! 避けられねえ……!
(ネビア)――アースウォール
ネビアのアースウォールが斜めに俺の方へ向かって来た。そのまま俺はそのアースウォールに飛ばされ、獣人の攻撃を回避する事ができた。
獣人の攻撃の跡を見ると、剣で垂直に切ったとは思えない。大きなスタンプの様な跡になっている。あれに当たったらぺちゃんこになっていたかも知れないな……。
「間一髪ですね」
「まじで助かった。有難うネビア」
「一回目のが大気を揺らす技で、二回目の飛び上がって斬るのは周囲もろとも巻き込む技のようですね。少し避けただけじゃ当たっちゃいます。気をつけましょう……!」
そういって体勢を立て直し再度構えた。
悪い癖だ……どう見ても強そうではない獣人2人に、あろう事かまた油断をしていたのだ! 中々なおらねーな、この悪い癖は!
パシッと自分の頬を叩いて気を取り直した。
負けるわけには行かない……!




