56話 対人・決着
補足
こちらの攻撃は「――」
敵の攻撃は「~~」
で表してます!
「落石の件、どうやったかはわからねえが、お前は生かしては帰さねえ……。残念だが、ここで死んでもらう」
「ただではやられませんよ……!」
「はっ! 盾一枚で何が出来る!」
~~閃光脚!
そういうとボスは閃光脚で真っ直ぐに突っ込んできた。いよいよ戦闘開始だ。
・・・
いや、ちょっとまて……。
とりあえず僕は斧を一刀両断で振り下ろしてきたのを横へと回避した。
「ほう、今のを避けるとは……な!」
そのまま垂直に斧を振ってきたが、それも盾でいなして回避した。
「ふふ、盾を持っていて良かったな! でもこれで終わりだ!」
そういいながら目の前で斧をまた真っ直ぐに振り下ろしてきた。が……。
――ファイヤエクスプロージョン
振り下ろす動作でボスは腹ががら空きだった。そこにファイヤエクスプロージョンを発動。武器を振り下ろす前にボスは爆発で後方へ吹き飛ばされた。
「は……?」
お腹は丸焦げになり、1発で立ち上がれない程のダメージを負っている。
「死ぬ前に一つ聞きたいんですが……。いっぱい居た中で、貴方が一番強かったんですか?」
「ごふ、当たり前だ……。俺がここ一帯縄張りにしている山賊の頭だからな……!」
「ふうん……とりあえずこの斧は貰っておきますね」
――ファイヤエクスプロージョン
僕は這いつくばっているボスの下に魔方陣を生成。そのまま爆発させ、ボスは魂片となった。
「天衣ゼブの方が3倍は早いし強かったですね……」
僕はボスの残していった斧を手にして、フィアンたちの下へと戻った。
この時、こいつらがトゥーカの山賊三大勢力の一勢力で、その頭を倒していた事はまだ知らない……。
・・・
「戻りましたよー」
「ネビア! 帰ってくるのが遅すぎるよ! 大丈夫だったか?」
フィアンは必死にアルネさんを看病している。ふと気がつけば辺りは少し明るくなっていた。結構な時間、対峙していたようだ。
「はい。とりあえずこの一帯は安全になったと思います」
「もしかして、後で来るっていってた奴らを倒したのか……?」
「はい。たぶんそいつらを倒せたと思います! これ戦利品です」
僕はそういって斧を岩山に立て掛けた。
「まじかよ、すげえな! これで安心してアルネさんを見れる!」
「そいつはボスって言ってましたけど、天衣ゼブの方が、3倍は早くて強かったですよ……。フィアンなら多分止まって見えるレベルでしたよ」
「そうなのか、ゼブってやっぱり凄く強かったんだな……」
「僕達、人を殺める事に対してあまり抵抗が無かったですね……。むしろ途中からどうやって殺すか……。迷いは無くその事ばかりを考えてました」
「そうだな……。でもそうしないと生き残れなかったし、あとまだ何となく……。現実味が無いって感じているのも大きいかもな。まるでゲームの中に居るようだって意識が、完全に消えてない気もするし……」
「というか、僕達一度死んでるからか、割と大胆な行動が出来ますね。この状態を吹っ切れているとでも言うんでしょうかね……」
「はは、そうだな! それが良い事か悪い事か……。それは分からないけどな!」
アルネさんをここに運んでから、1日半経っている。
「う、うん……あれ、私は……?」
「ん、アルネさん! 目を覚ましたんだね!」
「そ、そうじゃ! 山賊が近くに来とるんじゃ!」
アルネさんはばっと起き上がった。
「アルネさん。大丈夫だから、まだ横になってて。そいつらは俺達で倒したから」
「あの山賊共をか……?」
「うんうん。アルネさんが捕まってるのを見つけてそこに居たやつを倒して、後から来た奴もネビアが倒してくれた!」
「これ、そいつが持っていた斧です」
「なんじゃと! こ、これは……!」
アルネさんが物凄くビックリしている。何の斧なんだろうか……。
「これは風魔の斧……。魔装具と呼ばれる装備じゃ」
「そういえば持っていた奴も、そんな事をちらっと言ってましたね……」
「世の中にはこの魔装具と呼ばれるものはいくつかあるんじゃが、簡単に言うと、魔方陣が組み込まれていて、その魔方陣の魔法を極少量の魔力で発動できる装備じゃ。出所はまったく不明じゃが、極稀にシャドウ系の敵が持っているみたいじゃの……。魔装具をつけたシャドウは通常より遥かに強いがの……」
「そんな装備があるんだねー」
「というより、この風魔の斧を持っていた奴は、ここらで三大勢力と呼ばれていた山賊の一味の頭じゃ……」
「そうなんですか? ゼブより遥かに弱かったですよ……?」
「本当に、末恐ろしい子達じゃ……。トゥーカ領主も手が出せないといわれている三大勢力じゃぞ……。その一つが無くなって、均衡は崩れるじゃろう。荒れるかもしれんのう……」
「え! そうなったら俺達のせいって事だよな……?」
「まぁそんな事を考えていても仕方が無い! 私もだいぶ良くなったし、腹ごしらえして、休憩した後に出発じゃ!」
「あ、アルネさんこの風魔の斧、使って下さい。僕達には合わないので……」
「なんじゃと! 使えなくとも売れば物凄い金額になるんじゃぞ!」
「いや! アルネさんが強くなればその分僕らも助かりますし! 丁度斧なんだから使ってよ!」
「この斧、下から上に仰ぐ事で、ウィンドウォールが発生するそうです。アルネさんやってみて下さい!」
「そうなんじゃな、どれ……」
アルネさんは下から上に斧を扇いで見た。すると、ウィンドウォールが発生、山賊の頭が使っていた時より、大きく濃いウィンドウォールだ。
「すごい。山賊が使ってた時より、かなり威力が高いですよ!」
「山賊は限界まで魔力を溜められなかったんじゃろうな。少ない魔力でももちろん発動するが、限界まで溜めた方がいいにきまっておるからの!」
「絶対アルネさんが使った方がいいじゃないか! それで俺達を守って!」
「ああ、分かった! この風魔の斧……。ありがたく使わせてもらうぞい!」
こうして、アルネさんは風魔の斧を装備した。
~デバシーmemo~
アルネさんが風魔の斧を手に入れた。