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53話 続・襲撃

 二人の話し声が聞こえる。何を話しているかまではまだ良く聞こえない。


 だが、かなり近づいて来ている……! 慌てず、ぎりぎりまで待つんだ……! 

 そんな事を思う内に、足音はどんどん近づいてきた。俺の心臓の鼓動も高鳴りすぎて相手に聞こえそうで不安だな……。


「おいおい! 座り込んじまってどうしたんだよ! 寝てるのか? セーフティリンクをいきなり切るんじゃねえ!」


 一人の男がこちらへ歩きながら語りかけてくる。

 まだ気づいている様子は無さそうだ。


「ボスが到着するまでしっかりとあいつを縛っとかなきゃならん。4人じゃきついから起こしたら早く戻るぞ」


 どうやら四人でアルネさんを魔法か何かで縛り付けているようだ。流石のアルネさんも複数に捕らえられるとやはり厳しいか……。足音から判断してもう数歩で完全射程内だ。この杖ごと魔装一閃で吹っ飛ばす……! 

 俺は闘気を溜め始めた。


「おい! おきろ……ッ!?」


 一人の男がすぐ傍まで来た瞬間、もう一人の男がそれを止めた。


「まて、何かがおかしい。明かりをつけろ」

「おいおい、何がおかしいんだよ……」


 そう言いながらもう一人がライトウィスプを描き始めた。非常にまずい。

 完全にローブの裏に隠れている俺は見つけられないだろうが、人の後姿ではないと言う事は明かりをつけたら一瞬で分かってしまう! 警戒したらそのまま残りの奴らに報告するかもしれない……! そう思った瞬間、咄嗟の判断で飛び出した。


――閃光脚! 

――ブーストスラッシュ! 


 ライトウィスプを描いている奴を無視し、後方にいた奴に飛び掛かった。それと同時にブーストスラッシュで左首から右胸の方にかけて両断した。


「は……?」


 何が起こったのか理解が追いついてない様子の男を目の前にし、俺はそのまま胸を一刺しし、声を出されぬよう剣を引き抜くと同時に即座に首を刎ねた。気がつけば完全に震えは止まり、ただ無心で魂片となり、消え行く二人を見つめていた。感想としては相手にならない程弱い……その一言だけだった。


「ネビア、二人とも始末した。残りに動きはあるのか?」

「さすがフィアンです……。今の所動きは無いですね。さっきは即座に反応していたのに何故でしょうか……」

「たぶん最初の奴は何かしらの魔法を全員に掛けていたんだろう。感知系の魔法……かな? それより、ボスが来るまで拘束すると二人が会話していた。もうじき増援が来るのかもしれない。それまでに終わらせるぞ」

「分かりました。作戦はもう考えています。戻ってきてください」


 ネビアがもう作戦を考えているようだ……流石だな! すぐに戻らなければ。


・・・


「ネビア、戻ったぞ!」

「分かりました。状況を言います。4人がアルネさんを囲んでいる状況で死角はないです。とにかく僕達が攻撃を仕掛けた際にアルネさんを人質の取られるのが最悪の状況です。幸いこの距離なら僕の閃光脚でも一瞬で詰められるので、その為の隙を作らねばなりません」

「警戒しているだろうから、隙をつく方法なんて……!」

「いえ、あります。少し時間はかかりましたが、アルネさんを中心に、周り4方向と4人を分断する為のアースウォールの魔方陣を設置しました。それを発動させたと同時に突撃し、手前2人をやります。僕は左側を、フィアンは右側を頼みます。そのまま真っ直ぐ奥の奴も不意をついて倒す、これで行きましょう」

「全然ライトペイントの光が無いし、見えないけどアースウォールが? 一体どうやって……」

「このダークライトペイントで上に設置しました。ライトペイントと違って、真っ黒なので、こんな夜だと気づかれないみたいですね! アースウォールを上から落として壁を作っちゃう感じです。さて、早い事やっちゃいましょう」


 ここまで用意しているとは……流石だ! 後はしっかりと仕事をするだけだな。


「いつでもいけるよ。ネビア」

「分かりました、3カウントで行きますよ……」


「3……2……1……GO!」


――アースウォール! 


 黒く光りだした上空の魔方陣からアースウォールが出現し、下へと落ちていく、それと同時にその場から飛び出し、壁で分断された手前の奴に切りかかる。


――ブーストスラッシュ


 何が起こったんだと上に気が行っていた手前の奴の首を刎ね、そのまま壁の奥へと回り込み、もう一人の首を突き刺し、声を発する間も無く敵は魂片へと還った。

 それと同時にネビアも手前の奴に対して、近距離でファイヤエクスプロージョンを発動し、相手は木っ端微塵になり、そのまま流れるようにその場でダークライトペイントを駆使し、壁の向こうに対してアイススパイクを放った。見えてないのに、なんて正確な魔法なんだ……。

 魔法と剣……。方法は全く違うが、完遂した時間はほぼ同じタイミングだった。普通なら剣の方が絶対早いはずなのに、恐ろしいな……! 


「アースウォールを解除します! すぐに担いで僕達のいたところへ戻りましょう!」

「いや! その場所はバレてるんじゃ!?」

「大丈夫です。いち早くアルネさんが察知し、ここで交戦してくれたんです。あの場所が悟られないように! とにかく一旦そこへ!」


 ひどくぐったりとしたアルネさんを抱え、即座にその場を後にした。とにかくまずはアルネさんの状態が心配だ。一刻も早く置いてきたヒーリングライトの触媒紙を……!

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