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50話 平原が続く道

 関所を越えてからは平原と草原が続いており、簡単に整備された幅広な道が続いている。辺りを見渡すと、草木の長さは背丈くらいあったり、腰くらいまでだったり、色々だ。総評としては非常にのどかで平和な景色である。

 また、その道では途中で色々な人とすれ違った。すれ違う人によっては、何かを売りつけられそうになったりもしたが、アルネさんが一蹴してくれた。ついつい買ってしまう俺にとっては心強い味方である。


「ちゃんと整備された道があってびっくりだねー」

「そうじゃな。途中で二つに分かれていた道があったろう? その先へ行くとワンドという大きな城と城下町があってエルフが多く住んでおるんじゃが、そこのエルフ達がこの道を作ってくれたそうじゃよ」

「基本的に関所と関所の間にはそこを治めている大きな城があるんじゃ。ここいらはワンドの領地内って事になるのう」

「へーそうなんですね。ちなみに僕らの住んでいた所もどこかが治めているんですか?」

「いや、あの辺りは未所属地帯じゃな。あの一帯は知っての通り大きな森林で覆われておるんじゃが、瘴気で常に覆われているし、それが原因で日中でもシャドウが沸くし、ウォーカーなんかもたまに出る危険地帯とされておるんじゃ。そんな所をわざわざ領地にする者は現れんかったんじゃ」

「へー。全然危険な感じはしないけどなー……」

「それは二人がちょいと強すぎるからじゃよ。一般の兵士なんかはハイシャドウでも結構苦労するんじゃぞ?」

「なるほど、誰も管理していないから道も整備されてないし、放置された地帯になっているんだな……」

「ある意味、隔離された村じゃよ……。あの村は……」


 どうしてあんな所に村があって、人が生活しているのか……。理由は分からないけど、瘴気で覆われて不便なのは間違いないよな……。

 俺達に出来る、村を助ける方法はあるんだろうか。いっそ未所属って事は俺らの領地にして、色々やってみるのもありなんじゃないのか? と簡単に思っては見たものの、そうなると国を作るって事になるのか? 国ってどうやって出来るんだ……? 全然分からないけど、ちょっとやってみたい事が出来たな! これを大きな目標としよう。


「ネビアー」


 俺は今思った事をそのまま全部伝えた。ネビアも概ね同じような事を頭で考えており、意見は完全一致した。そういう意味ではしっかりと学校でその辺の事も調べないとな! 


・・・


 一見、子供3人での旅にしか見えない俺達……。自分で言うのもなんだけど、カモだと思うんだよな。何でこうも平和に冒険が出来るんだろうか。と思っていたらアルネさんが説明をしてくれた。この辺りはまだ治安が悪いところでは無いし、見晴らしが良いから悪い奴は現れにくいそうだ。通行人も多いしな。

 また、この道沿いには茶屋があったり、休憩が出来る場所や村などはぽつぽつとあるお陰で、野宿は今のところ無い。

 どうやらこの通りはメインストリートのようで、旅行者や冒険者が通る道らしい。エルフ族見たさに城の方へ旅行に出かけたり、観光目的の人も多数いるので、宿屋や茶屋は結構儲かっているのかもしれないな……。


「そういえば、ワンド城の方では可愛いエルフ族のダンスを見ながら酒を飲んだり、大人向けの施設も結構あるんじゃよ? まぁ二人には早い話だけどのう!」

「なんだって! 何歳から入れるの!」

「年齢制限は特に無いのう。いやそれより思ったより食いつくんじゃな……。子供のくせにのう!」


 アルネさんは笑いながら言ってるけど、そりゃ見たいでしょう! だって精神的にはもういい大人だもの! いつか、いつか見に行ってやる……! そう心に誓い、今回ワンド城は見送りとなった。


・・・


「次の関所が見えてきたぞ」


 ふと目を先にやると、大きな岩山の間に作られた関所が見えてきた。気がつけば草で生い茂っていた道は終わり、土と岩ばかりが目立つ景色になっていた。辺りは少し薄暗くなっている……。


「兵士さんご苦労様です。トゥーカ方面に旅に出たいので、通してもらえんか」

「ふむ、では冒険者カードか通行証を見せて下さい」


 そういわれたのでさっきの手順通りにカードを提示した。


「上級パーティか……アルネ殿。貴方は良いが後ろの子供は個人貢献度が0だ。実力が見えなさ過ぎる。申し訳ないが通す事はできない」


 まじか!? 冒険者カードもあるけど、やっぱり実績が無いのが大きいか……どうするんだろう……。


「ふむ……。実は今、この依頼を受けていてな。今回初めて組むんじゃが、通してもらえんとこの依頼を達成できないんじゃ」


 そう言いながらアルネさんは依頼書を兵士に見せつけた。シャドウゴーレムのコア収集の依頼だ。


「この依頼、ワンドで正式に受注したんじゃ。つまり、このパーティに国境を越えて依頼を受けていいと判断されておる。仮に私達が死んでしまっても、依頼したギルドの範疇での事になるのう」

「なるほど、そうであれば通ってよい。だが、シャドウゴーレムには本当に気をつけるんだぞ。武運を祈る」

「あ、その前にここの休憩所を使わせてもらえんかね。今日はもう薄暗いからのう」

「わかった。部屋は一つ空いているからそこを使用するといい。3人で青2だ」

「あいよ、有難うね。ではお借りするよ」


 一通り兵士との会話を終えたアルネは、俺達の元へとやってきた。


「二人とも、今日はこの関所で一晩過ごすぞ」

「はーい」


 二人で返事をした後に、馬から下りて馬は簡易的な木柵に止め、部屋へと移動した。


「依頼書の事を言ったらいきなり通してくれましたね。あれは一体……」

「ああ、この前少し話したが、兵士が通した人間が死んだりしたら結構責任を問われるからのう。しかも、名前と何時に通ったかはしっかりと控えておるから、誰が通した人間かはある程度わかる」

「じゃぁずーっと通さなければ良いんじゃないの? 誰もさ!」

「そういうわけには行かんのだ。兵士は通した分、給料も上がるんし、止めすぎると必ず兵士長が出てきて整合性を調査される。わりとしっかりと管理されておるよ」

「そんな中で、責任が兵士には問われず、通す事ができる人間……。それが依頼を受けた者達じゃ。依頼上仕方なく関所を通らなければならない時、その後の責任は全て冒険者ギルドになる。まぁ冒険者ギルド経由なら死ぬのも覚悟の上じゃから冒険者ギルドに責任といっても特に何も罰は無いがのう」

「何か複雑ですね……」

「この辺の話は関係ないところじゃよ! 兵士にでも就職せん限りはの。 とにかく私らは行った先で死なないこと! これだけじゃ」

「わかったよアルネさん!」

「とりあえず今日は飯を食ったらねるぞ。明日に備えるんじゃ。明日はシャドウゴーレムを狩る事になるじゃろうからな」


 明日ついにシャドウゴーレム討伐か……。わくわくするな! 

 そんな事を考えているうちに眠りについていた。

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