47話 出発の時
「ネビアー、準備は出来たか?」
「うん、ばっちりですね!」
食糧と水をデバシーに詰め込み、鉄の剣とシャドウノヴァを装備、紅の瞳を首から掛けた。魂片も濃縮してもらい、二人で合計、赤1個・紫5個・青5個・濃い黄色20個にしてくれた。日本円で言うと、大体157万円位か……多すぎる! 前の世界でもこんな大金持ち歩いた事ないぞ……。
また、ゼブにシャドウノヴァ用に鞘を作ってもらったが、なんと、闘気が吸われていくのを抑制できる効果のあるものだ。さすがゼブ! ほぼ無限とはいえ、ずーっと吸われるのもなんだか気持ち悪いから本当に助かった。手に取ったらガンガン吸われるのは変わりないけど……。
最後に風、砂避けにマントを羽織った。道中気候の変化が結構あるらしい。体調管理はしっかりとしなければならない。後、デバシーの事についてはアルネさんには伝えた。
かなり驚いていたが、道中の細かな道をマッピングできればより早く行き来が出来るかもしれないと喜んでいた。しっかりとマッピングしながら進んでいこう。
「フィアン、ネビア! 本当に気をつけていって来るんだよ。入学したらあっちでの生活になるだろうから、あまり会えないだろうけど……。たまには連絡してね」
「元気にやっていくのよ! でも、本当に辛くなったら帰って来なさい! いつでも!」
両親の優しい言葉に思わずうるっとしそうになったが、一生会えないわけではない。たまには帰ってこよう。
「はい! 頑張ってきます! 父さんも実の販売は任せましたよ!」
「立派になって帰ってくるよ!」
「ああ! 任せてくれ。特産品にしてみせるよ!」
「よし! では行くぞ二人とも!」
最後にぎゅーっと両親と抱き合い、俺達はアルネさんと共に村を後にした。
・・・
「アルネさん今日はどこまで進むんですか?」
「んー、とりあえずどのように中央都市まで行くかなんじゃが……」
アルネさんは歩きながら説明し始めてくれた。
「まずこの先には関所が4つ程あるんじゃ。その関所を全部抜ければ、中央都市は目の前じゃ。大体一つの関所を抜けるのに3週間程かかるのう。どこまでと言うか……。とりあえず今日はいける所まで行くって感じじゃな!」
「なるほど……」
正直、結構わくわくしている。まさに旅をしているってような感じだし、未知なる所を進んでいくのは物凄く好きだ。方向音痴なのに分からないところを進むから困ったもんだとは自覚している。
だが! デバシーがあるから迷ったらこれを見ればいい! とても便利で助かるな!
「まず、初めに目指すのは馬を借りる事ができる村じゃ。ずっと徒歩だときついからのう」
「馬……! 乗った事ないけど大丈夫かな……」
「とりあえず二頭借りて、フィアンとネビアは一緒の馬に乗るんだよ。馬は私が選ぶから任せるんじゃ。乗りやすい奴を借りてやろう」
・・・
途中で休憩しながら、進んでいくうちに、気づけば辺りは薄暗くなっていた。
「よし、今日はこの辺で一晩すごすぞ」
まだまだ森が続いていて、今日は森の中で野宿のようだ。アルネさんが手際よく俺達に指示をくれた。言われたとおりにデバシーから寝袋や食糧を準備し、バーンファイヤで火を起こした。
「浄化の光はしなくていいの?」
「うむ。本当はしたい所じゃが、ありゃ目立ちすぎるからのう……。シャドウは避けられても人は避けられん。目立ちすぎるのも良くないんじゃ。まぁ火がついている限りはシャドウも寄っては来ぬよ。これを混ぜて燃やしているからのう」
そういってアルネさんが見せてくれたのは少しキラキラしている粉だった。
「これは、浄化の粉といって、聖水から作られた粉なんじゃが、これを一緒に火にくべると浄化の光の様な効果をもたらしてくれるんじゃ。結構値は張るが、必需品じゃよ」
「てか、人が避けられないというのは……」
「二人はあの村でいい人しか見てこなかったと思うが、この世の中いい人だけじゃない。夜に忍び寄り、荷物を盗んだり殺して奪おうとする奴だって居るんじゃ……。まだこの辺にはそんな奴らは居ないとは思うが、そういう治安の悪い所も今後通らなければならない。野宿をするときは特にそういった事に注意せねばなるまい……」
何となく山賊とか盗賊とかは居るんだろうなとは思っていたけど、やっぱり居るんだな。そういう奴らと対面し、殺しあわないとならない時っていつか来るのだろうか……。
「ちなみにじゃが……私が行き帰りで襲われた回数は3回。そして、8人、この手で殺したんじゃ」
リアルな数字を聞いて変な汗をかいた。なんと言えばいいのか分からない。実際に人を殺した事なんて勿論無い……。その時になって俺はしっかりと動けるだろうか……。
「襲ってくる奴に遠慮する必要は無い……。とは言え二人はまだまだ子供じゃ……。出来れば人殺しなどさせたくないのう……」
俺らの試練はレッドを倒す事……。こういう場面には対応できるようにならなければならない。気を引き締めていこう。
「でも、襲ってきたら遠慮なく倒します。守られるばかりではこの先やってはいけないと思いますから……」
「そうか……。7歳とは思えない程に悟っておるの……しかし! 頼れるときは頼っていいんじゃ! それがパーティと言うもんじゃよ」
「分かりました! どうぞ宜しくお願いします!」
こうして一日目は無事に終了した。




