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328話 相違

――1日後


「ふぁー……かなり雲行きが怪しいな……雨も降り始めてるし……」

「……そうですね……」

(おかしい……ここまでの流れは一切変わっていないはずです……あの時、雨なんて降っていたでしょうか……)


「座りっぱなしってのがやっぱつらいな! 新幹線の椅子にずっと座っているような感覚だ」

「とにかくあと一日程で到着ですね……」

「うんうん。それまで暇だな」

「というかネビア、さっきから大丈夫か? ずっと何かを考えてるような感じじゃねーか」

「え? そうですか……? 多分僕も座りっぱなしで少し疲れてるのかもしれませんね」


 その後、突然アラート音が船内に響き渡り、飛行艦はその場で停止した。


「にゃああああ! 何事にゃ!!」

「ちょっと……空にはシャドウは居ないんじゃなかったの!?」


 サクエルはそう言うと前方に見えている一つの黒い影にズームを行った。

 そこには黒い雲の様な物が複数おり、ゆっくりとこちらに近づいて来ている。


「なんでしょう? 黒い……雲?」

「ネビア君、中央をよく見て。コアがあるの! シャドウだわ……初めて見る形状だけれど」

「どうするんだ? この飛行艦、武装は無いぜ?」

「今考えている所よ……!」


 少しして、ネビアが声を上げた。


「僕が魔法で迎撃します! この天井のハッチ、開きますよね? 停滞している今なら上に乗って魔法で倒せます!」

「だめよ! 空も荒れている上に、上空で風は強いわよ!」

「大丈夫です! この紐で自身を繋いでおきますので!」

「……わかったわ! ネビア君! お願いするわ!」

「はい!」


 そう言うと天井部にあるハッチを開け、ネビアは飛行艦の上部に飛び出した。


「……以前より遥かに風が強いですね。 前方に雲形シャドウ……10体以上は居ますね」


 ネビアは以前と同じく、スチームエクスプロージョンの魔方陣を描き始めた。


――スチームエクスプロージョン

超広範囲に水蒸気爆発を起こす。


「纏まっているし、これで行けるでしょう!」


――ドォン……


「何と美しい爆発だ……」

「破片も残ってないな……オーバーキルすぎるだろうネビア……!」


 雲形シャドウは完全消滅、周囲にあった普通の雲までも綺麗に吹き飛ばし、その部分だけ雲一つない快晴になった……。


「一掃完了です!」

「お疲れネビア!」

「ありがとうネビア君。じゃぁ出発するわよ! また出たらお願いするわね!」

「了解です!」


 そういってネビアは船内へと戻った。その時だった……。


「まって! 周囲の雲の様子がおかしいわ……!」

「え?! そんな……!」


――ビービービー


 緊急アラートが船内に響き渡る。


「まずいわ……制御が効かない……ッ!」


 必死に舵を切るサクエルの努力も虚しく、飛空艦は乱回転し制御が効かないまま徐々に降下していく。


「にゃ……回転を止めてにゃ……うっぷ」

「このままじゃやばいぜ! 色々!」


「だめよ! このまま降下していくのはもう止めれないわ!」

「ならばせめて降下速度を落とさねば! サクエル君、非常用のウイングを開くんだ!」

「……だめよ! あれを開いてしまったら、もう降下すると言う選択肢しか取れない! 立て直しも不可能になるし、なによりその後の修理が死ぬ程大変よ!」

「大丈夫だって! 今よりは死ぬ程じゃねーだろ! サクエル! 頼む、開いてくれ!」

「……しょうがない……わね! どちらにせよこのまま降下し続けて死んじゃうかもしれないけど……ね!」


 そういってサクエルは非常用ウイングを展開するレバーを思いっきり引いた。


――バンッ!


「うわああ!」


 急降下していた機体はパラシュートのようなウイングが展開されたことで、一気に減速した。


「ふう……今のはやばかったな! ネビア!」

「ええ……」

(どういうことですか……本当に……ここまで状況が変わる事って……)


「ネビア本当にどうしたんだ?」

「……フィアン! ここを無事に脱出できれば伝えておきたいことがあります。信じられないかもしれませんが……」

「ネビア……そんな死亡フラグみたいなのはよせよ……それに今だって聞けるぞ?」

「いや、今はちょっと……二人きりの時に」

「ええ……なんか怖いんだけど……」


 そのまま一行はゆっくりと降下していった。


・・・

・・

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