315話 祭壇へ……
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「魔王影が完全復活すれば、この世界は飲み込まれて魔王影と一体化する……信じがたい話だけど……」
その後、俺達は村長の話を聞き続けた。
その話は想像以上に大きな話だった。
だが、やる事がより明確に理解できた。
とにかく俺達は変わらず魔王影の完全復活を阻止しなければならない。
そのためにはまず宝珠を奪い返す。
そして、魔王影復活を目論む魔王影兵もぶっ飛ばす。
「やるべき事はシンプルでいいな!」
「まぁ分かりやすいですけどね……」
「……君らを見ていると、半年ほど前に会った奴らを思い出すヨ」
「半年前……! それってレッド達の事だろ!」
「そう名乗る者もいたな。我々の様な耳の形をしとっタ」
「まじか!! あいつらもここに来てたんだな」
「その人たちは何処へ向かいましたか? 村長!」
「北部の祭壇へ向かうと言っていタ……」
「フィアン、こうしては居られません。僕たちも急いでいきましょう!」
「だな!」
「まて、地図が無いんだろう? これを持って行くとヨイ」
「あ、そうだった……」
村長は俺達に1枚の地図を手渡した。
「少し古いが、問題はないはずダ」
「……有難う村長! これ、話と地図のお礼で置いて行くよ」
そういって俺達は赤い魂片と紫の魂片を2個づつ程手渡した。
「こ、こんなにモ……!」
「もらっておいてくれ。代わりに平和になったら飯でも奢ってくれよな!」
「ありがとう……ありがとウ……!」
俺達は早速地図を片手に、北部の祭壇へと向かう事にした。
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村を出てから数日、やっと森の出口が見えてきた。
「あ、出口ですよ!」
「おお、やっと森から出れるのか!」
俺達は森の出口が見えると小走りでそこへと向かった。
そして、森を抜けると同時に前方を見ると、平原の先にあるピラミッドの様な建造物が目に入った。
「祭壇……あれかな? ピラミッドみたいだけど……」
「地図を見る限りは……そうですね」
「とにかくあそこまで向かおう!」
ここまで本当に順調だ。どれだけ進んでも、敵も何も現れていない。
魔王影兵とやらが邪魔しに来たりするとでも思っていたが……俺達がここに来ているのは気づかれていないのだろうか。
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「近くで見ると大きいな……!」
「ええ、多分頂上まで行くと何かあるんじゃないですか?」
俺達は北部の祭壇と思われるピラミッドへと着いた。
一部が階段の様になっており、そこからてっぺんまで上がれそうだ。
「よし、あがるか――」
~~水撃・激流葬影式
天力と瘴気にを混ぜた水を発生させ、嵐の様な激流の渦を発生させる。
「あぶない!!」
突然の攻撃だった。俺はネビアを抱え、何とか回避を行った。
その攻撃により、上がろうとした階段は綺麗に抉り取られた。
当たったらひとたまりもなさそうだな……!
「だれだ……?!」
「今のを避けるとは……貴様らもただ雑魚ではなさそうデスネ……」
「お前は……ヴァルキュリア……!」
「トール、ベレヌス、イシス……さっさとおわらせマスヨ」
ヴァルキュリアがそう言うと、3人が影から出てくるように地面から出現した。
「相手はガキ二人ダゾ? 4人でやるのカ?」
「トール、相手の魔力と闘気の量を計算した上でデスヨ。4人でやれば10分で終わるでショウ」
(ベレヌス)~~フェローリンク
極細の光の線で自分と複数の対象者を繋ぐ。
線で繋がっているもの同士は気配が察知でき、誰かがダメージを受けると繋がったメンバーで傷が分散される。
詠唱者が倒れると解除される。
「ネビア……分かるよな? あいつら4人ともやべえ……!」
「ええ……影纏での初戦闘だと言うのに……ハードですね」
「ダンジョンマスターと言われたヴァルキュリア隊……堕ちたものだな……!」
「フフ、堕ちたというよりは昇華といってほしいものデスネ」
ヴァルキュリアは剣先を俺達に向けた。
その瞬間――
~~影張り
対象自身の影と身体が張り付く
「なっ!!」
俺とネビアは突然、地面に背中が張り付いて動けなくなった。
~~シャドウエクスプロージョン
周囲に存在する影を爆発される。
――チュドン!!
「1分で終わってしまいましタカ……」
(フィアン)――天装・光裂斬
天力を混ぜた闘気を剣先に込める。光を纏った一閃を放つ。
「ナ……ッ!」
「同じ技は何度も食らわないさ」
――ドシャッ……
「影張りの解除方法はしっている。大天使が教えてくれたからな……!」
一瞬で詰め寄ったフィアンの剣技がベレヌスを両断し、消滅させた。
「……貴方達まだ舐めていたようですネ……」
~~堕天衣・将校
ヴァルキュリア達の雰囲気は一変し、全員天衣を纏い始めた。