31話 改め、SFチックなお部屋調査
正直まったく予想のつかない機械類ばかりで、触れようにも誤作動で爆発とかしたら怖い。中々しっかりと触れないでいた。
もっと俺にもわかるようなフォルムをしたものは無い物だろうか……。
そう思いながら辺りを探索した。正直、中央にある大きな箱が一番気になるが、そういうものは最後に見るのが俺の性格なのだ。とにかく安全そうなものは手に触れて、じっくりと見てみたりしながら辺りを探索した。機械机の所をじっくりと見てみると、机はつやつやな素材なのだが、四角形の艶のないマット調の部分があった。俺はそこを恐る恐る触れてみることにした。
まず軽く押してみたら、少しカチッという音がして、四角形の真ん中の部分がしゅっと開き、4本の金属製の棒の様なものが出てきた。
「ネビア! これ見てくれよ! 机を押したらしゃっと出てきたぞ!」
「ほう! なんでしょうね、これは……」
ネビアはさっとこちらへとやってきて、4本の棒に目をやった。
そのまま俺達はそれぞれ1本づつ手にとって見た。
「近未来の武器とかでしょうか……? このフォルムを見て僕は真っ先にビームの剣がでてくる系の何かに見えました……」
「だよなー。ぱっとみたらそうなるよな! いきなり刃が出てこないように注意しないと……」
慎重にくるくる回しながらよく分からない金属の棒を隅々を確認した。持っていて気づいたのだが、金属にしては異様に軽い、まるで紙を持ってるようだ……。
その割にはしっかりと硬く、思いっきり叩きつけても傷すらつかなさそうな感じだ……。
「フィアン、やっぱりこの先端についてるマット調の丸い部分がスイッチとかじゃないですかね……?」
「俺もそこには気づいてたけど、そこから何かが出力したら怖いなーとか思ってた……でも、びびって触らないのは違うよな! よしネビア、何か出てきて怪我したらヒール頼むな!」
「分かりました、目の前で構えときます!」
準備万端でその先端の丸い部分を触れてみた。
触れるだけでは何も起こらなかったので、ぐっと押してみると、机を開いた時同様に、カチッと押し込むことができた。
その瞬間、その部分が青く光りだし、その光は押した側から反対側へと線上で向かい、反対側の先端までに達した。その後、線上に光っている部分が少し飛び出した。
「武器では……ないのかな?」
とりあえずその飛び出しと部分を引っ張ってみることした。
すると、電子的に光り輝く、薄いスマホの画面の様なものが出てきて、金属の棒の様なものからしゅっと外れてしまった。それはしっかりと硬さを保っており、見た目はまるで極薄のタブレットだ。
その画面に目をやると、いくつのもフォルダの様なものが並んでいる。
「なあ、タブレットみたいだよな? 極薄すぎるけど……。そもそもこの金属棒からどうやって出てきたのか全く理解できないけども……」
インターネットに繋ぐようなアイコンもあるが、当たり前だが押しても接続できませんという画面になるだけだ。
それ以外はすべてフォルダで、フォルダ名は左上から2482、2483、2484...と順番にフォルダが続いている。
まずは、一番左上の2482のフォルダを開いてみると、さらにフォルダ分けしており、1月、2月と続き、12月まで並んでいた。
「これ、日本語だし……1月から12月までってことは月日別に分けているのかな?」
この世界でも月日の概念はある。12か月で1年だが全部30日区切りとなっているざっくりとしたものだが。
1月のフォルダを早速開いてみたが、何も入っていない……。
順番に2月、3月と開いていき、6月にやっとメモ帳らしきものが入っていた。
「お、6月にメモ帳入ってるな! 早速開けてみてみようぜ!」
「そうですね。何か凄いことが書いているかもしれませんもんね……!」
そういうと二人で早速そのメモ帳を開いた。
----
西暦2482年、私は化学者の権威でありながら、宇宙工学の最高責任者だった。
地球は弱っており、隕石がよく降る星となってしまっていた中、隕石落下予測管理システムにて流星の如く、無数の隕石が地球に降り注ぐことが分かった。
それは、とても全てを迎撃する事は出来ない、圧倒的な数であった。
大災厄とも言えるその光景を目の当たりにし、私は死の恐怖を改めて感じた。……私は何としてでも生きたかった。
こういった事態に備え、研究にて大抵の隕石にも耐えうるシェルターを作っていたのだが、大きさにして15畳程度だ。数百人いる研究者全てはとても入る事は出来ないだろう……。
私はそれが分かった瞬間そのシェルターに入り、誰一人として入れずに閉じこもった。自分の命が何よりも可愛かったのだ……。
その数時間後、とてつもなく大きな音と衝撃が小一時間ほど鳴りやまずになり続けた。
愚かで、最低な行動だったと何度も罪悪感で死にそうになった。
音がやんだ後、私はなんとか生きていた。つまりこのシェルターのおかげで耐えきったのだ。
外の様子を見ようと、扉を開けようとしたが外気成分判定に致命的な気象状態と判定されており、開けることができなかった。
外気を人にとって毒性のものに変えるほど、隕石は恐ろしく酷いものだったのだろう。
一旦、私は外に出るのはやめ、探索用ナノマシンを外に放ち、状況を確認する事にした。
もしかしたら私は、人類最後の一人となってしまったかもしれないが、何としても現状を確認したい。
----
「西暦2482年……?! ネビア、どういう事だろこれ!」
「わかりませんが、私達が元々いた世界は2018年、これだけ見たら遥か未来から来た人ですね……」
「時系列とか……その辺どうなってるんだろう。気にしても仕方がないけどな……!」
「ていうかこれで1つのメモ帳は終わってますけど、まだまだありますよ……。全部読むには時間が絶対に足りませんね……」
「とりあえず、俺はもう真ん中の箱をチェックするけど、その間に読んでみてくれよ!」
「そうですね。ではフィアン、真ん中の箱は任せましたよ!」
そういうと分担して俺は箱調査、ネビアはメモ帳を読み続けることになった。