284話 深海ダイビング!
「あら、遅かったわね」
「あ、ああ、中々起きられなかったんだよ……」
「あらそう」
「ケイト、顔が赤いよ? 熱でもあるんじゃないの?」
「え! だ、大丈夫だぜ! 元気いっぱいだぜ!」
「ふーん。それならいいんだけどね」
そんな会話をしながら軽く朝食を取った。
・・・
「さて、ネビアとオリアはもう見たけど、前方500mほど先に怪しい遺跡の様なものを発見したわ!」
「おお! それってまさか!」
「そのまさか……かどうかはこれから調べるけれど、ほぼ海神族が住んでいた場所だと考えているわ!」
「すげえ! ぜひ調査したいな!」
「そうね。失われた太古の遺跡……これはそそるわね……!」
「海神族以外はそこへ誰も行くことは出来ません……。壊れた当時のままで残っているでしょうね……」
「写真とかも撮っておこうな! デバシーってこの水圧に耐えられるかな……」
「まぁ今も機能していますし、大丈夫でしょう。流石未来の機械って感じですね」
「ウェットスーツ等は十分にあるから、潜水艦を出て調査しましょう。潜水艦で行けば壊れてしまうかもしれないわ」
「にゃー! いきたいにゃ! 潜水艦の中は飽きたにゃ!」
「その通りだぜ! ずっと中に居たら身体がなまっちまうぜ!」
「ええ、皆行きたいでしょうけど、潜水艦を空っぽにする訳には行かないわ」
「それならオリアはここで待つですにゃ。ここで重要なのは魔力より体力や闘気……きっとオリアは途中で疲れてしまいますにゃ。
「なら私も残るよ。トリガーを使える奴が居ないってのは困るよね?」
オリアとシーンは潜水艦で残ってくれるようだ。
サクエルとリッタ、ケイトは行きたいだろうからネビアと俺がどうするかだな。
「では、僕も残りましょう。闘気が重要なのであれば、フィアンの方が適任です。そもそも水中では魔法が上手く書けませんし、魔法使いには不向きですね……」
「おっけい! なら俺は調査に回るよ!」
「では決定ね。調査組が私とケイト、リッタ、フィアンの4人」
「おう!」
「ネビア、シーン、オリアが潜水艦に残ってもらうわ!」
「任せてください」
「では早速準備を始めましょう!」
そういって俺達は早速ウェットスーツに着替え始めた。
・・・
「すげえ……自動調整で自身のサイズに合わされるのか……普通に動きやすいしな」
「こんな服初めて着たぜ……ピタッと張り付いてるけど、違和感はないんだぜ!」
「尻尾がきついにゃ……!」
リッタだけはスーツと相性が悪いようだ。獣人特有の尻尾とかの問題だが……。
「よし、皆着たわね!」
「何か……サクエルのその姿新鮮だな」
「確かに! 女神さまがこんなぴちぴちの服着てるんだもんな!」
「なによ。この姿も似合うでしょう? それに、女神様だった私はもう居ないわ」
サクエルは腕を頭の後ろで組み、背筋をピンと伸ばした。
「……ッ!」
「あら、フィアン? 目をそらしちゃって……可愛い子ね」
「いいから行くぞ! 時間が惜しいんだろ!」
俺は話をそらすように提案した。ウェットスーツで元気になっちまったらまた目立ってしまうだろうが……!
「そうね……では潜水艦の事は任せたわ! 何かあったらデバシーで報告して頂戴!」
「分かりました。念の為水の中に入ったら一度、話しかけてください。ウェットスーツの通信がしっかり通っているか確認しますので」
「それより……エアータンクは?」
「必要ないです。これだけで呼吸が出来るみたいですよ」
「ええ!? だってこれエアポンプだろ? 押し出す空気が無いじゃないか!」
俺が持っているのはそれこそ、足で踏んで空気を入れるエアーポンプの様な形・サイズの機械だ。
その先に咥える部分が付いているだけ……。
「僕も分かりません! けどそのポンプの先は次元倉庫に繋がっているみたいです。その中の空気をそのポンプで押し出す……のでしょうかね?」
「こんな軽いもんで水中で呼吸が出来るのか……凄いな本当に」
「ほら! フィアン早くそれをつけなさい! 後は貴方だけよ!」
「あ、ああすまん!」
「とりあえず魔装魂をしっかり張っていればまぁ大丈夫でしょう。気を抜かないようにね!」
「はーい!」
魔装魂、そういえば最近は一切意識せずずっと張っているな……むしろ、魔装魂張ってれば全裸でもすいすい泳げるかもしれないな!
「周辺に敵の気配は無いですにゃ!」
「よっしゃ! じゃぁ行こうぜ!」
そういって俺達は意気揚々と潜水艦を飛び出した。