276話 いざ大海原へ!
「……広いな」
潜水艦は全部で4つの部屋に分かれていた。
操縦室と武装室の前後、そして簡易的なキッチンやトイレ設備が備えている仮眠室だ。
そして俺は今、設備を記載した部分を再度確認し、それぞれどの部屋を担当するのかを考えていた。
~神治さん作 武装潜水艦~
最大10名
前方武装室に3名、後方武装室に4名、操縦室に3名が最大定員となっている。
武装・装備等
・スピアートリガー2機・・・槍状の大きな弾を射出する。突き刺さった際に爆散する。非常に高威力だがチャージに時間を要する。
・アロートリガー2機・・・矢程の弾を連射して撃つ事が出来る。威力は程々。
前方後方にそれぞれ1台づつ装備されている。
艦内次元倉庫の中身
・ウェットスーツ 10着
・エアポンプ 10着
・簡易食糧及び飲料用水
「うーん……ケイトとシーンは主砲のスピアートリガーをやってもらう方が良いよな……てか操縦も正直難しそうなんだが」
「なら操縦は私がするわ」
「おお、なら助かる……て、サクエル!?」
「突然大きな声を出さないでくれる?」
「ああ、ごめん……てか何でここに?」
「あの後、やっぱり私もついていきたくなったのよ」
「いや、でも国の復興が大変だって……」
「その辺は全部レッドに投げてきたわ!」
サクエルは何故かドヤ顔で言ってきた。
「おお……レッド頑張れ……」
「とにかく、操縦は任せなさい! と言うより資料を全部見せて頂戴!」
「おおう」
そういってサクエルは俺の持っていた資料をパラパラと高速で見始めた。
その間、ネビアやケイト達がこちらに来て、サクエル!? ってなったのは全て割愛させて頂こう。
「ネビア、魔方陣を潜水艦の外に描けるかしら?」
「一応ガラスに手を当てれば外にライトペイントは出せますね。ただ、水の中だと操作がおぼつかないですね……初級程度しか安定して撃てないと思います」
「なるほど、オリアはどうかしら?」
「私はネビアさんの様にライトペイントを飛ばしたりできませんにゃ……難しいと思いますにゃ」
「分かったわ! では、この形で行きましょう」
そういってサクエルは触媒紙にライトペイントで人の振り分けを書いていった。
操縦室――サクエル、ネビア、オリア
前方武装室――フィアン、ケイト
後方武装室――シーン、リッタ
「ケイトとシーンがトリガーのメイン操縦者よ。随時操作するトリガーをスイッチしながら、うまく扱うように!」
「了解!」
「ネビアは初級魔法で攻撃の補助、オリアは操縦室から360度の様子を確認して何かあれば随時報告して頂戴!」
「了解ですにゃ!」
さすがサクエル……こういう事を決めさせたら早いな!
「じゃぁ準備が出来たら出発よ!」
「おー!」
その後、艦内の設備や道具の場所等を確認、それぞれ割り振られた室内へと移動した。
「すげえなほんと……視界もクリアだし、俺でもしっかりと狙って当てれそうだ……」
「というより、フィアン! 二人っきりだぜ?」
「二人っきりじゃないですけどねっ!!」
「おっとルーネちゃんも居たんだったぜ。いつも隠れてるからつい忘れちまうな!」
「ケイトさんそれはひどいですよ! ルーネはいつも小さくなってフィアンさんの胸らへんに入ってますからねっ!」
「む、胸?! う、羨ましいぜ……」
「皆さん聞こえますかにゃ?」
天井部に着いた丸い球のような所からオリアの声が聞こえた。どうやら艦内スピーカーの様だ。
「お、聞こえるぜ!」
「ケイト、多分このマイクのスイッチをオンにして話さないと聞こえないぞ」
「お? これか! あーあー聞こえるぜ!」
「こちらも聞こえるにゃ!」
「サクエルさん、テストはオッケーですにゃ!」
「よし、では早速出発するわよ。このまま真っ直ぐ進んでいく予定だけれど、なるべく敵が少ないルートを探して進むわ! 攻撃は必ず私の合図の後にするようにね! 避けられる敵はなるべく静かに避けていくようにするわ!」
「了解だぜ!」
俺は今凄くワクワクしている。目の前にはガラス越しに移されたモニターの数値や記号……手元にあるレバーを操作するとこの照準が動くのだ。まるでロボットアニメの操縦席だ!
ただ、照準を動かす毎に何かの数値が計算されているかのように動いているが、俺にはさっぱり何か分からない。
ケイト曰く、海流の流れ方向や速さ、照準の誤差数値? らしい……全然分からないな。
「まぁフィアンは難しい事は考えずに敵をその照準に入れて撃てばいいぜ!」
「お、おう……」
「では出発!」
そうして俺達は海と言う、まだ誰も踏み入れたことがないであろう未知の領域へと突き進み始めた。
……神治さんと父さんは一応先に入ったんだったな。




