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25話 卒業試験!

 家の裏にさっそく着いたところで、ゼブが触媒紙を4箇所に設置した。すると光の柱が上がって、それを基点に光の壁のようなもので四方を囲まれた。


「この中で大けがをしても瞬時に回復をするんだ。例え首が飛ぼうとも……ね」

「ええー! 本当かよ!」


 俺がそういうとゼブはその中で腕のナイフで切った。

 途端に、傷は治り元通りとなった。


「超回復的なものですか……凄い効果ですね……」

「端的に言うと回復とは少し違うんだ。この中で致命的なダメージを受けると、結界が反応して、時間を約20秒だけ戻してくれるんだ。そして、戻した後に範囲内にヒーリング効果が発生するようになっている。公式な決闘などで使われる、特別な結界だよ」

「そんなものがあるんですね、凄いです……」

「元々はこれも4人の魔法士が基点にならないといけなかったんだけどね……さて、お喋りは終わりだよ。ここで父さん達と戦って、勝てば入学を認めようじゃないか! フィアンは母さんと、ネビアは父さんが相手をするからね! まずは、ネビアこちらの中へおいで」


 いつもおっとりしている父さんだが、そう言い放った姿はかなり覇気があった。

 しかし、正直余裕で勝てるんじゃないだろうか……。戻るとは言われても致命打を与えて万が一にも死んでしまったりしたら……。

 ネビアは心配そうな顔をしながら、結界の中へと入った。ネビアも同じような事を考えているのだろう……。


「ネビア、全力で来ないと多分……勝てないよ?」


 ゼブはそう言うと力を溜め込むような構えをし、全身がうっすらと光り始めた。その状態で気合の入った大きな声を出した瞬間、薄い光の膜を纏った姿になり、背中には光り輝く天使の翼が出ていた。片翼だが……。


「な……何ですかこれは……」


 光を纏った姿には神々しさがあり、すごく気圧された。シャドウナイトと対峙したときのやばさみたい物が感じ取れた。


「さて、ネビア、試験を始めよう」


 父さんはそう言うと、4枚の触媒紙を取り出した。


「メテオ!」


 ネビアははっと我に返り咄嗟に[ドレインマジック]を目の前に展開した。ゼブはそれを見た途端すかさずもう1枚の触媒紙を発動、ウォータースピアだった。


「また真正面から撃っても、ネビアの[ドレインマジック]で二つとも吸収されるんじゃ……」


 俺は思っていることを思わず口に出してしまったが、ネビアも同じ考えでそのまま[ドレインマジック]を展開、だが[ウォータースピア]はネビアではなく、[メテオ]突き刺した。

 その瞬間[メテオ]はその場で爆発し、大きな衝撃と煙が舞った。


「ウィンドウォール」


 ゼブはその状態から立て続けに触媒紙を発動、ウィンドウォールの風で漂っていた煙全てがネビアを襲った。視界がほぼゼロを打開すべく、ネビアも風魔法を放とうとした瞬間……。


「ネビア、遅いよ」


 ゼブは煙に紛れて一瞬でネビアの後ろへ回っていたのだ。


「い……ッ! いつのまに!」

「ファイアエクスプロージョン」


 ゼブは最後の触媒紙を取り出し、ネビアに対してほぼゼロ距離でファイアエクスプロージョンを発動するとともに大きく後退した。

 爆発により、大きな音と衝撃が発生し、ネビアは前方へ大きく吹き飛ばされてしまった。


「父さんつよ……! ネビア大丈夫かよ!」


 土煙が収まりネビアの姿が見えた。すると、ネビアの体には分厚い岩の壁が張り付いた。


「流石だね。ネビア……土の壁で直撃を防ぐとはね……」


 ネビアは咄嗟に体の周りに土魔法・[アースウォール]を発動し、爆風を防いでいたのだ。


「本気で来ないと勝てないって、理解できたかな?」


 父さんがものすごく生き生きしてる。この感じの父さんは見たことがある……。

 そう! 夜の営み中の母さんに対する態度だ! いや何を思い出しているのか……と自分に突っ込みを入れつつその試合に見入っていた。


「じゅ、十分に理解できました……」

「じゃぁ続きをいくよ? 休んでる暇はないよ!」


 そう言うと父さんはまた触媒紙を取り出し、戦闘態勢に入った。

 ネビアはウィンドスピアや、アイススパイクを駆使し、父さんを必死に攻撃するが、すべて避けられる。動きがとにかく早いのだ。


「母さん、父さんの纏っている光は一体……?」

「ふふん! あれは天族だけに宿る、[天力]を使用しなければ発動できない、[天衣]という神技よ。天衣は発動中は自身の魔力と闘気を消費し続けてしまうけれど、あんな風に身体能力が飛躍的に上がるのよ! しかも! [天力]は魔法と剣技を使用する際に魔力、闘気に混ぜて放つと威力を格段に上がるの! ざっくりいうと[魔装魂の超強化版]ってとこね!」


 父さんの自慢話になると本当に饒舌になるな母さんは……。


「あんな技があるんじゃな……わしは使えんのう……」

「天族になれば天力は皆に備わるけど、うまく使えるように修行しなくちゃね!」

「大変そうじゃな……! ティタは使えるのかい?」

「もちろんよ! フィアンは後で私と戦うんだから覚悟しときなさいよ!」

「は、はい……」


 父さんであの速さを実現している。母さんが使ったらもっと早そうだな……これは全く油断できないぞ……!

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