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23話 雑貨屋にて

「こんにちはー!」


 そう言いながら俺たちは雑貨屋らしきお店に入っていった。


「いらっしゃい。おや、君達はもしかしてゼブさんとこの子達かい?」

「はい! ネビアと申します」

「フィアンです! こんにちは!」

「元気のいい子達だねー。店内の商品で分からないものがあったら何でも聞くんだよ~」


 店内入り口からぱっと見渡すと、商品が乱雑に置いてあり、木の彫り物とかネックレス、武器、防具や本まで置いている。

 入り口すぐ横にある、カウンターテーブルにはおいしそうなパンと飲み物も置いている。

 また、雑貨屋の店長さんと思われるおばちゃんは普通の人間の姿だが、店内で商品を見ているお客を見ると、耳が尖がっててエルフのような姿の人と、狼男のような人が仲が良さそうな感じで会話をしていたり、猫耳の少女がじーっと商品をみていたり……。ぱっと見でヒト以外の種族と思われる人達が居る。というかそういう方ばかりだ。以前父さんから聞いた話ではいろんな種族が居る村といっていたよな。

 場所によっては人間だけだったり、猫耳少女だけの村があったりするのかな……一回行きたいな。


「フィアン、何を買いましょうか」


 ネビアの声ではっとなり、本来の目的を思い出した。


「うーん、剣術とか魔術の本があれば欲しいけど、高すぎて無理だな……」


 並んでいる商品と価格をみて魂片の価値観がわかってきた。

 大体無色が10円、薄い黄色が100円、濃い黄色が1000円程のようだ。ここでの物価しか見てないから何とも言えないが、いったんこの目安で覚えておく事にする。

 つまり今財布には濃い黄色が1個、薄い黄色が5個、無色が10個……つまり1600円位入ってるってことだな! 7歳のおこづかいにしては多い方な気がするが。


「フィアン、どうせなら両親に何か買って帰りません? 欲しい物はとても買えませんし」

「うんうん。俺もちょうどそれ思ってたとこだ!」


 その話が聞こえていたのか、おばちゃん店長がこちらに来た。


「両親にプレゼントかい! いい子達だねー! どれおばちゃんがいいプレゼントを見繕ってあげるよ!」


 そう言いながらおばちゃんはごそごそと物を探し始めた。


「ほら、これなんかどうだい!」


 どんと出してきたものは、木でできた可愛いコップだった。同じような鳥? の模様が彫られているがよく見ると違う。俗にいう夫婦茶碗的なコップだろうか。


「フィアン! これいいじゃないですか! いつも同じコップを使ってますし、あっても全然困らないですよ!」

「そうだな! おばちゃんこれください!」

「あいよ! 薄い黄色6個だよ!」


 会計を済まして、コップは袋に入れてもらって、リボンを付けてもらった。サービスがいいねえ! 


「あとこれはサービスだよ!」


 そういうとおばちゃんは剣の模様と魔法の模様が彫られたコップを二つ手渡してくれた。


「え、いいんですか……?」

「いいよいいよ! 君達7歳になったお祝いのお買い物だろ? 自分に何もなしじゃ味気ないからね!」

「じゃ、じゃあお金払いますよ!」

「いいんだよ! これはおばちゃんからのお祝いさ。おとなしく受け取っとくんだ!」

「ありがとう! 大事に使うね!」

「気を付けて帰るんだよ!」


 そんな会話をした後、お店を後にした。ものすごく良い人じゃないか……。

 久しぶりに人情みたいなものに触れた気がして、凄くうれしい気分になった。

 これからも利用させてもらおう……。


・・・


 村を一回りして、俺たちはマイホームへ戻ることにした。村の人たちは皆良さそうな人ばかりだった。

 そして、口をそろえて皆が言う言葉が……。


「ゼブさん達のおかげでこの村は救われた」


 と……父さんたちはこの村の英雄のような存在なんだな。俺もそんな人から信頼される奴になりたいものだな。


「ただいまー!」

「まぁ二人とも! お買い物に行ってたのね!」


 出るときにはぐっすりと寝てた皆はすっかり起きていて、お昼ご飯の準備をしているところだった。

 モトゥルとカレナの姿が見えない。荷物もないようだからもう出かけてしまったようだ。


「お帰り。何かいいものは買えたかい?」

「うん、買えたよ! はい! 二人にプレゼント!」


 父さんと母さんはきょとんとしていた。


「いつも俺たちのために色々してくれてたから感謝の気持ちだよ!」

「どうぞ、開けてみてください」


 そういって二人に袋を差し出した。


「まぁ、可愛いコップね!」

「二人とも……」


 両親はすごく嬉しそうに渡したコップを見ていた。


「二人ともありがとう! 大好きよ!」


 母さんがばっと俺たちに駆け寄ってきて、ぎゅーっとしてくれた。


「ありがとうね。大事にするよ」


 ゼブもとても嬉しそうに微笑んでいた。


「本当にいい子達だね! そういえば私にはないのかい!」

「あ、それは考えてませんでした……」


 そんなやり取りをしながらお昼ご飯の準備ができた。早速俺たちのあげたコップを使ってくれていた。

 母さんはニヤニヤしながら使ってくれている。母だけど可愛い人だ……。


 さて、俺はネビアと顔を見合わせた。

 そろそろ言ってみるんだ。学校へ行きたいと……。

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